古代中国思想「五行の特徴 相剋関係」PART.2~中医学は自然界の条理と関係し合う

皆さん、こんにちは。美容鍼灸師の折橋梢恵です。
10月もとうとう後半に入りましたね。まだ半袖でも過ごせる日があるため、私はなかなか衣替えができていませんでしたが、やっと先日衣替えをしたところです。
皆さんは、いかがですか?

一般的に世間では、10月からが「衣替え」という認識が多いように見受けられますが、ここ数年の10月は、残暑が長かったり、前日との温度差が激しかったりと、昔とは気候にも変化がみられるため、従来のような季節感とは少し異なってきているのかもしれませんね。

このような気候の変化は、当然、私たちの体にも様々な変化をもたらします。中医学の基本的な概念に、「人間は、自然界の一部であり、季節や気候など自然の環境変化に常に影響を受けている」という考え方があります。

実際に夏から秋へと急激に気温が下がり始める時期には、体調不良を訴える方々が多いように感じられます。ですから、昔から言われている季節の変わり目や冬至や夏至の時期というのは、特に体調管理が重要だといえます。現代に残る先人たちの教えからは、学ぶべきことが沢山あると改めて考えさせられます。

 

さて、前回は、再び古代中国思想の一つである五行論のお話をしてきましたが、今回は、前回の「五行の特徴」である相生(そうせい)関係に続き、相剋(そうこく)関係についてお話をしていきたいと思います。

相剋(そうこく)の関係とは、五行のうちの一つの事柄が別の事柄を抑える、抑制するなどの作用を現しています。

この関係を木・火・土・金・水で説明すると……
・木剋土(木は土を剋す):木は、地面に根を張り、栄養分を吸収し、土から様々なものを奪い、土をやせさせることを意味しています。

・土剋水(土は水を剋す):土は、水を吸収し、流れる水の行く手を堤防などでせき止めることを意味しています。

・水剋火(水は火を剋す):水は、燃え上がる火を消し、消火することを意味しています。

・火剋金(火は金を剋す):火は、その熱で金属を溶かし、形を変えさせることを意味しています。

・金剋木(金は木を剋す):金は、金属で作られたノコギリや斧を意味し、これらによって木は、切り倒されることを意味しています。

このように相剋関係とは、木⇒土⇒水⇒火⇒金⇒木・・・・・というように常に循環を繰り返しているといえます。

この関係は、自然界では、法則的な現象と考えられており、私たち人体においては正常な生理現象と考えることができます。

中国医学では、この5つの木・火・土・金・水の要素を五臓である肝・心・脾・肺・腎に当てはめたり、また五官である目・舌・口・鼻・耳などに当てはめて病気の診断や治療に応用しているのです。

例えば、目が疲れやすくなると肝の働きが弱っている場合が考えられます。それには木と相剋関係である金の肺の力が強くなることによって、肝の働きに抑制をかけている可能性があります。なんらかの形で人体のバランスが崩れるとある臓器の機能を抑制してしまい、病気の原因を作り出してしまいます。

今回のような例の場合には、まず木である肝の働き自体を高めながら、金である肺の強すぎる働きを安定させるための治療を行います。

このように人体においては、5つの要素のバランスの取れた状態こそが健康的な身体であると考えられており、相生関係と相剋関係は鍼灸治療の根本的な考え方の一つと言えます。

前回と今回の2回にわたり、ご紹介した相生関係と相剋関係からもわかるように中医学は、常に自然界の条理と深く関係し合っているのです。

また新たな視点で、私たちの体を見ていくこともとても面白いと思います。
皆さんの普段の生活の中でも、ほんの少し中医学の知識を活かして頂けたらと思います。

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