ココロセラピストが語る! 令和むかしばなし~桃太郎とかぐや姫の苦悩~

昔話

はじめに

今回はちょっと趣向を変えて昔話風に話をしていきたいと思います。

もちろん本家本元の物語を否定したり、イメージを変えようという意図はありません。
これは現代の問題を昔話風にしてみた、と解釈して気軽に楽しんでみてください。

 

むかしむかし……

むかしむかし、あるところに、お爺さんとお婆さんがいました。
二人の間には子供がいませんでした。
それはそれで仕方がないのですが、近隣の人たちに「いつまでも気楽でいいわねぇ」とか「子供がいない分、蓄えもあることでしょう」とか言われ続け、とても悲しんでいました。

 

天からの授かりもの…

お爺さんは竹を摂りに林の中へ、そしてお婆さんは川へ洗濯に行きました。
お爺さんは偶然にも光る竹を見つけました。
中にはとても可愛い女の子が入っていました。
お婆さんは川上から大きな桃が流れて来たので拾ってみると、中には元気な男の子が入っていました。

二人は「奇跡だ!」と神様に感謝をしながら大喜びで、その子たちを我が子として育てることにしました。

そして男の子は桃太郎、女の子はかぐや姫と名付けたのでした。

ずっと子供が欲しかっただけに、その喜びは何にも勝るものでした。

昔話

 

忙しい二人……

子供に恵まれて嬉しいのは良いのですが、何しろ二人は貧乏です。
生活のためには朝から晩まで働かなくてはなりません。
せっかく子供に恵まれたのに、途方にくれました。

あるとき『おとぎのへや』という何処かのお侍さんが善意で作った施設の噂を聞いて、さっそくそこに申し込むことにしたのです。
親切な値段で子供を預かってくれるのです。

二人は「これで『安心』だ……」と大喜びでした。

 

お爺さんとお婆さん……

桃太郎はとても元気で活発な子供でした。特に食べる事が大好きだったので、『おとぎのへや』で出されるおやつだけでは足りませんでした。

桃太郎は夜、家に帰ると「おやつじゃ足りない」と言いました。
すると、お婆さんは翌日、顔を真っ赤にして『おとぎのへや』に駆け込みました。

「うちの子がお腹を空かせて帰って来て可哀想なんじゃが。これはどういう仕打ちなんじゃ!」

お婆さんは問答無用で使用人に文句を言いました。
しかし現実問題として半分善意で行われている施設なので、満腹満足なおやつなんて出せるはずもありません。

でも、お婆さんからすれば、そんなことは問題ではないのです。
使用人は何の発言権もなく、ただただ泣くだけでした。