ココロセラピストが語る! メンタルヘルスを本気で考えてみました!~精神疾患だけが問題なの?~

心とコミュニケーション

心が病んでしまうと、その人に問題があるように考えてしまう。
残念ながら今の時代も、まだまだそのように考えられている気がします。

苦しみや、悲しみ、その他ネガティヴな感情が一時的なものでなく、長期に渡ったり、頻度が著しく高かったり、何かがあったわけでもないのに急にスイッチが入ってしまう状態。
おそらく、これが心の病気と呼ばれる類の症状なのでしょう。

そうすると、そういう症状、状態の人が問題であり、その人を改善させれば問題解決という風潮が未だに根強く残っています。

本当にそうなのでしょうか。
個人が心の健康管理を怠ったからメンタルが不具合を起こしてしまったと言いきってしまって良いのでしょうか。
病院に行って、病名を貰って、薬を貰って、学校や会社を少し休んで、少し回復したら、それでOKなのでしょうか。

この発想は大きく間違っているのです。
でも、気づいていない人がとても多いのです。
心の不具合が遺伝か何かの影響で先天的だと言い切れるなら話は別ですが、そうでない以上、環境的要因にもっとフォーカスした方が良いと思うのです。

たとえば、学校や会社でイジメ(orパワハラ)があったとします。
何割かの人たちの心が病んでしまったとします。
イジメというものはとても難しい問題です。
殆どのイジメ加害者は自分に加害者意識なんてないと僕は思います。
もちろん確信犯もいるとは思いますが。

「なんか、あの子、使えないのよね。態度も気に入らないし……」という程度の思いが、徐々に態度に表れて、相手に対する話し方がキツくなったりということはありませんか。
でも、その程度だとその人は自分がイジメ加害者になっているとは気づかないのです。

相手がその態度に怖がって萎縮してしまったらどうでしょう。
「あの子、私が話しかけてもどうも反抗的なのよね?」とか「何度言ってもダメよね?」とか、余計コミュニケーションにヒビが入ってきませんか。

自分の表情は鏡を見ない限りわかりません。
自分では気づいていなくても、自分が気に入らない相手に対しては無意識に睨みつけたり、軽蔑の笑みを浮かべたりしているものなのです。
アゲアシを取りはじめたり……。
僕はそれも立派なイジメだと思うのです。

だとすると、そういう人間関係が影響して心が病んでしまったとして。
薬で脳内物質をコントロールできると、その問題は解決できるのでしょうか。
脳内物質のバランスが崩れてしまったことも問題かもしれませんが、その人間関係が根本的な問題ではないでしょうか。

でもイジメ加害者が法に触れないギリギリの範囲で誰かをイジメ続けたら、心の病をその集団から減らすことはできないのです。

「適度に休憩をとって、メリハリをつけて仕事(or勉強)しましょう!」なんてどんなにスローガンを叫んでも無駄なのです。
休息が問題とは限らないのです。

心の病の人が出てきてしまったという事実を決して軽視すべきではないのです。
心が病む要因がそこにあるから必然的に病んでしまったという可能性も考えた方が良いのです。

一時的に元気になって復帰しても同じ環境のままだったら、再び病んでしまっても、不思議でもなんでもないのです。
なのに「なんなの、あの子。まったく根性がないわね!」とキレたところで何の解決にもならないということを決して忘れてはなりません。

家庭も、学校も、会社も、地域も、「心の健康は個人だけの問題」と考えず、お互いがお互いの心を守り合う関係を目指すことを僕は強くお勧めします。

「心が弱い人を甘やかせば良いんですか?」とか、そういう話ではありません。
繰り返しますが、心が強いとか弱いとかの問題ではないのです。
甘やかしが大事だとも言っていません。

人間間のバランスが円滑に行われているかどうか。
特にリーダーポジションの人は、そこを注意して仲間を見守って欲しいのです。
何かのスキルに秀でているだけでは今の時代はリーダーにはなれません。
学歴や資格も関係ありません。

逆に人間関係のバランスを上手に保てるリーダーならば、個々のスキルの高い仲間の能力をどんどん引き出してあげれば生産性があがるので、必ずしも本人が何らかのスキルに秀でていなくても良いのです。

「そうは言っても、集団には、ルールというものがあって……」とか言いたくなる人がいるのも理解できます。

でも、「私」という人間は後にも先にも今しか存在していないのです。
「私たち」という存在も永遠ではないのです。

つまり過去の人がどうだったかも大事ですが、今、集団を構成しているメンバーたちの常態にあわせて、ルールだろうと文化だろうと歴史だろうと、状況に応じて改善していく必要がある場合もあるのです。

ブラック会社は離職率が高いです。
「どいつもこいつも辞めて行くなんて根性なしばかりだ……」と嘆く前に、自分を振り返ってみて欲しいのです。

そう言っている本人が、歴代の仲間の心を破壊している可能性はありませんか。
追い詰めていませんか。
困っていても助けないで責めたり、無能扱いしていませんか。

 

本当に病んでいるのは誰?

法ギリギリのグレーゾーンのイジメ加害者。

僕は彼らこそ『病んでいる人』ではないかと思うのです。
うつ病や統合失調症だけが問題ではないのです。

イジメ加害者はイジメられるストレスが少ないから元気なのです。
ストレスはあってもイジメをすることで解消できるから良いのです。
罪悪感も自覚もないので脳内物質のバランスを崩すこともないのかもしれません。

なら、そういう人たちの心は健康なのでしょうか。
僕は、そうは思えません。

罪の意識も、相手を思いやる気持ちもなく、自分の考えこそが常に正解で、自分の思い通りの結果を出さない(or言うことを聞かない)相手は問題アリ。
そういうタイプこそ、問題アリだと僕は思います。

でも、法に触れていませんし、病名もつきません。
僕が心の問題は、脳内物質がどうこういう問題ではないと言ったのは、そういうことなのです。

どんなに精神医学を学んでも、どんなにマインドフルネスをしても、どんなに自己啓発しても、自分に病名がついていなくても、困っている人や悩んでいる人を助けず、相手の気持ちを考えて本気でコミュニケーションを取ろうとしない人たちがいる限り、心の健康なんて維持できないのです。

これは学校や会社だけの話ではありません。
もし、自分の関わる人たちの気持ちをみんなが本気で大切に扱えば、結果的に『心の健康』が保たれるのです。

 

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