ココロセラピストが語る!『定番の日常会話の罠』とは? ~当たり前のように使っている定番フレーズが混乱を招いているかもしれない~

「仕事はどう?」という質問も、何気に厄介です。 そもそも質問の意味が不明瞭だからです。

危険を感じたら、あなたの大切な時間を守るためにも、質問返しをせずに強引に話題を変えてしまった方が有効な場合もあります。

会話の基本は傾聴だと言います。
もちろん傾聴は大事ですが「相手に喋らせれば勝ち」と言ったような安易な考えは今の時代ではもう古いです。
自分があまり語らず、相手に質問ばかりして「自分に意識を向けられたくない理由があるから、こっちの話題にフォーカスしてるんだな?」とか「私から何か情報を聞き出したいのかしら?」と勘ぐられてしまう場合もあるからです。

そんなに深刻に考えなくても良いですが、今は情報社会です。
特に個人情報はしっかり管理しないと危険な時代です。
奇妙な心理テクニックが出回っている時代でもありますので尚更です。
もちろん親友など信頼できる相手なら警戒しなくても良いですが……。

 

「元気だった?」と『時間軸改変の術』とは?

「元気だった?」という質問も定番です。
これは「うん、元気だよ」と答えるのがベストです。
相手は、話相手が無事でいた事、今も無事でいる事を確認して安心したいだけだからです。
安心出来ればとりあえずOKです。

「すこぶる元気だよ!」と答えるのも元気があって良さそうですが、注意が必要です。
「すこぶる」にフォーカスされてしまい、「何かあったの?」と、また先ほどのように何か面白いエピソードを期待されてしまっても厄介です。
普通に考えれば生きていれば原因不明の体調不良の時もあれば、原因不明の快調の時もあります。
必ずしもそこにドラマチックなエピソードがあるわけではありません。

「昨日と比べて元気だよ!」という微妙な表現も避けた方が良いでしょう。
「昨日何かあったの?」という事になってしまいます。
ポイントは思わせぶりな枕詞をつけないことです。

正直過ぎない方が良い場合もあります。
「いやぁ。参ったよ。持病のヘルニアでしばらく外出もできなかったんだよ。でも、お蔭さまで、ここ数日は痛みも無く日常生活に支障もないから元気だよー」と言ったとします。
話の内容を確認すると「ヘルニアで外出できなかった」「今は元気」という2点がポイントです。
つまり、過去の話と現在の話です。

しかし、この手の返答をすると時々、魔法のような不思議な現象が起こる事があるのです。
次のセリフをよく読んで下さい。
「それは大変ですね。お辛いですよね。ご自愛くださいね……」。

妙な違和感はありませんでしたか。
そうです。
いつの間にか、すべて現在形になっているのです。

「今は元気」という情報をきちんと伝えているにもかかわらず、相手はネガティヴな情報に意識を奪われてしまい時間の概念を捻じ曲げてしまったのです。
確かに大変だったし、辛かったのも事実です。
そして自分を大切に(自愛)していたから回復して元気になったわけです。

相手は意識して時間の概念を変えてしまったわけではないのでしょう。
現在元気なのも、一応理解はしているのでしょう。

しかし、この『時間軸改変の術』を使われてしまうと、「ヘルニアで辛かった→元気になった→再び痛くなるであろう」という、過去の延長線上の未来に時間軸が改変されてしまうのです。
「ご自愛くださいね」と現在形で言われてしまうと、言われた方は今もまだ療養中であるかのようなニュアンスに意識が変化してしまうのです。

ちなみにこれは「時間は過去の延長上に未来がある」というやや古い常識の元に成り立つ考え方です。
最近の考え方では時間軸は「未来から過去に流れている」というのが主流です。

つまり、「過去にヘルニアになったから、未来にそれが再発するだろう。よって自愛が必要なのだ」という未来はあり得ないとは言いませんが、それは可能性の1つであり、パラレルワールドの1つに過ぎないのです。

折角ヘルニアが良くなって現在は元気でも、その人の『時間軸改変の術』に気付かず、言葉を文字通りに受け取ってしまうと、潜在意識が勘違いしてしまい「ヘルニアは今も大変で辛い。あす以降も危険だ……」と認識してしまう危険性があるのです。
これでは「現在元気」であることはどうでもよくなってしまいますし、折角の心配も無駄になってしまいます。

近況を報告しただけで同情して欲しいわけでもなんでもなく、現在それはまったく問題では無かったとしても、相手の潜在意識がそれを現在と認識してしまうと、あたかもそれがリアルタイムであるかのように感情が動いてしまうのです。
だから「ご自愛くださいね」と過去の話題に現在形で助言するのです。

本来ならば「大変でしたね。辛かったでしょうね。でも、元気になって良かったですね!」と時間の概念を性格に返答します。
しかし人はネガティヴな情報にフォーカスしてしまう習性があるので、それどころではなくなってしまっているのです。