白鳥哲監督映画最新作インタビューPart.1 白鳥哲監督 ~人間の愛が地域や地球を蘇生させていくという希望の道筋を示す!~

2018年に劇場公開され大ヒットし話題を博した映画『リーディング~エドガー・ケイシーが遺した、人類の道筋。~』の白鳥哲監督が、次に選んだ作品が『蘇生Ⅱ~愛と微生物~』だ。2011年に起きた福島第一原発の事故をきっかけに、地球規模で広がった放射能汚染。美しい自然を取り戻すために立ち上がった琉球大学名誉教授・比嘉照夫農学博士の人生と、浄化のカギを握る有用微生物群の可能性を描き、大きな反響を呼んだのが2015年に公開された映画『蘇生』。その続編である。 現在、その『蘇生Ⅱ~愛と微生物~』の制作が進んでいる。山の冷気が肌を刺す森の中で、撮影は佳境を迎えていた。映画『蘇生Ⅱ』を通じて訴えたいこと、撮影のなかで感じた一個人としての想い……。熱気あふれる現場で、監督とキャストのみなさんにお話を伺った。 第1回は白鳥哲監督のインタビューをお届けする。

スピリチュアルへの関心と実際の行動をつなげたい
その力が地球を救う

ニューヨーク・マンハッタン国際映画祭グランプリなど世界各国の国際映画祭で受賞し、3年3か月という国内最長ロングラン記録を樹立した『祈り~サムシンググレートとの対話~』(2012年劇場公開作品)や2018年㋁に公開しチケットがあっても見られないというぐらいに人気を博した『リーディング~エドガー・ケイシーが遺した、人類の道筋。~』、ファスティングなどのブームの火付け役となった『不食の時代~愛と慈悲の小食~』。
『ストーンエイジ』『魂の教育』
など多くの映画作品を生み出してきた白鳥監督。
作品づくりでは、常に人間の内面や自然の神秘について深く迫る。

2019年に公開を予定している本作『蘇生Ⅱ~愛と微生物~』は、2015年に公開された『蘇生』の続編となる。

 

今回なぜ続編を作ろうと思われたのか

一番のきっかけとしては、これまで作品を発表してきたなかで、スピリチュアルな意識を持つことと、地球環境の問題についての関心は直接結びつかないと感じたということがあります。

 

 

具体的にいうと、スピリチュアルをテーマにした映画『祈り』を観てくれた人イコール地球環境をテーマにした『蘇生』の観客にはならなかったということです。
おそらく地球の問題は大きすぎて、個人の意識とのつながりと結びつけて感じることがむずかしいからだと思います。

スピリチュアルが環境に及ぼす影響の大きさは、私自身が映画『祈り』を制作していくなかで体感しました。
人間が微生物にお祈りをすると、微生物の発酵状態が実際に変化する。
微生物に限らず、植物や動物たちの存在にも、私たちの意識がすごく介在していくということを『祈り』で知ったんですね。

『蘇生Ⅱ』の副題は「愛と微生物」なのですが、本作では、人間の愛と微生物の力で、汚染された環境が浄化されていく過程を描いています。

「汚染とはなにか」という定義はいろいろありますが、ある原因により、生き物やモノが過度に酸化してしまうことも「汚染」のひとつのかたちです。

そして、酸化現象の最たるものが放射能汚染です。
酸化をくいとめ、環境を浄化するという点において、発酵というパワーを持つ微生物は非常に大きな働きを持つのですが、微生物が力を発揮するためには私たち人間の意識も大きな働きを持つのです。

これらのことを知るにしたがって、個人の意識と地球環境の結びつきを作品にしたいという思いが大きくなり、『蘇生Ⅱ』の制作につながりました。

 

映画に込められたメッセージとは

これまでは、ともするとスピリチュアルへの興味と、具体的な行動の間には断絶がありましたが、それがこの映画で結びついていくという風に思っています。

まず伝えていきたいのは、地球全体の問題は、どんな立場の人にも関係があるということです。
例えば2018年10月に、ヨーロッパで干ばつが起きています。
一方、同じ時期に、イタリアの一部では洪水が起きています。
そのほか、寒波と熱波が同時に発生するなど、地球環境の異常性は過激さを増してきている。
その原因は何かと言うと、私たち人間一人ひとりなのです。

前作『蘇生』が公開された2015年から今に至る間、地球環境をめぐる状況は悪化しています。
2014年以降ブラジルでは、国家規模で熱帯雨林の伐採が進み、海洋ではマイクロプラスチックの問題も大きくなってきています。
いまでは、ドイツのビールの中にもマイクロプラスチックが発見されているんですよ。

そして放射能汚染の問題。
地球の健康状態が自分たち人間の健康に直結していることを理解することが非常に大切です。

現在はけっして楽観できる状況ではありません。
このまま見過ごせば、確実に「その日」は来てしまいます。
地球を守るには、「今」がラストチャンスなのです。

 

今作のサブタイトルには「愛」とありますが、その意味とは

環境浄化のカギが「愛」なのです。
『蘇生Ⅱ』の登場人物の米倉(演:中村繁之)や今泉(演:浅野彰一)は実在の人物ですが、彼らは国からの避難勧告を断って、この7年間、有用微生物群の散布を続けています。
比嘉先生(演:前田耕陽)はもちろん、人知れずボランティアの方々が山に分け入り、ひたすらに微生物の散布を続けている。

その結果、放射能汚染された地域が蘇ってきているのです。
そこでとれた作物は検出限界以下。
放射能がなくなっているのです。
放射能がなくなるだけでなく、生き物たちが増え、木々の植生が勢いを増し、絶滅危惧種のモリアオガエルすら戻ってきている。
汚染の最前線が、浄化の最前線になっているのです。
散布している方たちは何の見返りも求めていません。
その愛の心こそが回復のカギなのです。

ひとりひとりの愛の意識が、微生物を変える。微生物が変われば、自然が変わり、地球が変わります。
今回の映画では、人間の愛が地域や地球を蘇生させていくという希望の道筋を示していけると思っています。

 

 

 

白鳥哲監督の最新作、映画『蘇生Ⅱ~愛と微生物~』のインタビューを全4回でお届けします。

第1回 白鳥哲監督
第2回 比嘉照夫(ひが・てるお)先生役  前田耕陽さん
第3回 米倉金善(よねくら・かねよし)役 中村繁之さん
第4回 今泉智(いまいずみ・さとし)役  浅野彰一さん

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取材協力:株式会社 OFFICE TETSU SHIRATORI
取材・文:桜倉麻子