新天文台建設問題で揺れる ハワイ島の聖地、マウナケア山の神秘とパワー

最近、ハワイ島にあるマウナケア山に新設予定の天文台に関して、ハワイの人々の間で反対運動が起こっています。失われる聖地を守るべく立ち上がった原住民たちが、今も信じるマウナケア山のパワーとはどのようなものでしょうか?
マウナケア

ハワイ島にあるマウナケア山は、ハワイに存在する山々の中でも最高峰で、標高4205mで富士山よりも高い山です。

その名前、マウナケアが意味するのは「白い山」で、ハワイといえども雪が積もる場所でもあります。

マウナケア山はおよそ100万年前に海底噴火を起こし、30万年ほど前に海上にその姿を現しました。

そして今から約5万年前に最後の噴火を起こして以来、眠れる火山になっています。

またマウナケア山は、非常に空気が澄んだ場所であり、天体観測には最高の条件が揃った場所でもあることでも知られています。

 

マウナケア山とハワイの人々

マウナケア山は、ハワイの人々にとっては最も神聖な場所であると考えられています。

山頂には祭壇もあり、今も絶えることなくお供えものが置かれています。

古代ハワイにおいてマウナケア山は、非常に地位が高くて名のある酋長のみが、山で行事が行われるときのみに登頂を許されていた場所だったのです。

またハワイの人々は、マウナケア山の最上部の斜面の一部で、かつて埋葬を行っていたことが、調査でも明らかになっています。

今でもごく一部の人たちの間では、この山に登り先祖の霊のために祈ったり、家族や愛する人の火葬された遺物を山頂で撒くという風習が残っているようです。

かつては子供が生まれると、マウナケア山の標高4000メートル地点にあるワイアウ湖に、赤ん坊のへその緒を持って登り、湖にヘソの緒を投げ入れて赤ん坊の健康と成功を祈るという風習も存在していました。

現在でもマウナケア山を守るレンジャーの中には、ハワイの祈祷師カフナと呼ばれる人も存在し、カフナによる早朝のチャント(詠唱)がマウナケア山に響き渡ることもあります。

マウナケア

 

マウナケア山の伝説

ハワイ創造の伝説においては、地球の母パパハナウモクと空の父ワーケアが、ハワイ島から順にハワイ諸島を生みました。

これらハワイ諸島の誕生は、長い間ハワイの人々の間で口伝で「ハーロア」というチャント(詠唱)として伝わっています。

こうしてハワイで最初に生まれた地、ハワイ島のマウナケア山頂の西には、ポリアフという聖地が存在しています。

このポリアフとは、実はハワイ島に存在する女神四姉妹のうちの最もパワフルな雪の女神のひとりなのです。

しかしポリアフはハワイの女神の中で最も美しい女神と言われており、そのためにハワイの火山の女神であるペレと何度も対決をするはめになった伝説も残されています。

ポリアフには、霧の女神リリノエ、湖の女神ワイアウ、衣の女神カホウポカネという妹がいました。基本的にはこの四姉妹は、下界の人々に安らぎを与え、人々を守ってきたのです。

これら四姉妹は、今もマウナケア山に棲みついていると信じられています。

また氷河期に雪や氷で固められた溶岩は、硬い石に変わったため、のちのハワイの人々にとっては武器や生活道具として加工して使うことができるようになったのです。

これも女神様がハワイの人々の授けてくださった賜物であると人々は信じているのです。

マウナケア

 

新天文台建設の反対運動

マウナケア山の山頂には、現在13基の天文台が存在しており、日本を含む11ヵ国がプロジェクトに参加しています。

そして、日本、アメリカ、カナダ、インド、中国が出資する新しい巨大天文台の建設が予定されており、それは地下2階、地上18階というちょっとしたビルなのです。

ハワイの人々にとっては、マウナケア山は数々の神様が棲む信仰の対象であり、非常に神聖な場所となっています。

また、環境の変化に伴い、絶滅危惧種の植生物も多くあり、さらにこの新しい天文台建設の作業で、ますます環境にダメージが与えられるのではという大きな懸念もあるのです。

実は10年前からこの建設の話があったものの、抗議活動により一旦中断していたのが、2017年にハワイ州が建設許可を再び出したことから、多くの先住民や反対派の運動家が集い、建設阻止のデモや座り込みを行う騒ぎになり、州政府による非常事態宣言まで発令されました。

建設を進めたいグループは、新しい天文台を建てることで、世界中の気候変動や宇宙の観測がより正確にでき、メリットも多いと唱えます。

しかしハワイの人々にとっては、すでに13基も天文台があるのに、今更巨大なものを建てることで、その建築資材の搬入のためにこれ以上自然を破壊され、聖地を踏みにじられることは許されない気持ちなのです。

世界や宇宙の変化をより細かく観察することも大切ではありますが、ハワイの人々が長年培ってきた歴史、文化、信仰は一度失うと元に戻すことができません。

何が大切か、何が必要か、ハワイの人たちのみならず、ここでもういちどみんなで考えてみたい問題だと思うのです。

ホームページ:https://tarotreiko.amebaownd.com

 

《伊庭野れい子(いばのれいこ) さんの記事一覧はコチラ》
http://www.el-aura.com/writer/tarotreiko/?c=153236