日本人なら生まれた時から、当たり前のように毎日使っているお箸。
生まれたときに「お食い初め」として箸を使うのが「箸初め」で、人生の終わりに「死水」として水を口に含ませるときにも箸で含ませてもらうわけです。
お箸は、主に食事をするための道具ではありますが、実はお箸には色々な種類があります。
普段に食事をするお箸から、菜箸、取り箸、祝箸、茶懐石の利休箸、揚げ物に使う揚げ箸、そして割りばしなど、このほかにもたくさんの種類があるのです。
そしてお箸には開運をもたらすものや、縁起物と呼ばれるものも数々存在しています。
お箸の歴史とその役割
お箸は日本のみならず、アジアの各国で広く使われてはいますが、日本以外の国ではお箸だけでなく、スプーンと併用している国がほとんどです。
日本人がお箸を使うようになったのは、飛鳥時代頃に中国から伝わったとされています。
小野妹子が遣隋使として中国に渡り、お箸とスプーンを使った食事作法を日本に持ち帰り、宮中で広めたのが日本におけるお箸の文化の始まりです。
しかし当時は「折り箸」と呼ばれるピンセット型のものだったのですが、今のような2本に分かれたお箸を使うようになったのは、奈良時代以降とされています。
一般庶民が現在のように日常的にお箸を使い始めたのは、平安時代の後期とされており、鎌倉時代に入ると漆塗りなど、いろいろなデザインを施されたものが出回るようになったのです。
お箸は繊細な和食文化を支えると共に、正しくお箸を使うことで、忍耐強さを養ったり、脳の発達や活性化を助け、手の動作を形作る作用があります。
従って、お箸は食事をするための道具だけではなく、人間の生活を支える大切な役割を担っているのです。
祝箸
お正月になると、どこの家庭でもお正月用の「祝箸」が用意されると思います。
新しい年を清潔で、生命力があるので縁起がよいとされる柳の木を使った白いお箸、「白木箸」を使います。
この白木箸は、普通のお箸とは違い、両端が細く作られています。これは両口箸と呼ばれ、一方は人が、もう一方は神様が使うとされているのです。
おせち料理はまず神様にお供えし、そのお下がりを頂くのが本来であり、神様と食事を共にすることで1年の恩恵を授かるとされています。
また、神社ではこの「白木箸」を祈祷し、神箸として参拝者に授与していることもあります。
これらの祈祷されたお箸は、長寿箸、福箸、厄除け箸、開運箸などと呼ばれ、赤ちゃんのお食い初めや還暦、古希などの長寿を祝う席などでもよく使われているのです。
お箸で開運!
案外お箸は長年同じものを使っていることが多いかと思いますが、本来は毎年新しいお箸を使うことで、人生に幸運をもたらしてくれると考えられています。
また、お箸の素材や形によって、いろいろな意味や縁起ものが存在しています。
お箸はもとともと食事を頂く道具です。つまり食事ができるということで、長寿や健康を意味しています。
最近ではプラスチック素材のお箸も多く出回っていますが、木のお箸のほうがぬくもりを感じたり、手にしっくりするだけでなく、開運ももたらしてくれるのです。
たとえば「幸運」「長寿」「健康」をもたらすとされているのが栗の木で作ったお箸です。
「商売繁盛」や「学業成就」には櫟(いちい)、つまり1位を表す木を使ったお箸が好まれます。
「目標達成」には翌檜(あすなろ)の木、そして「富」「繁栄」祈願には桑の木を使ったものが好ましいとされています。
結婚祝いに差し上げるなら柞(ゆす)、つまり結寿ということなのです。縁結びを願う方にも好まれるお箸です。
このほか八角形のお箸も「八」が末広がりを表すことから、おめでたいお箸とされています。
色で言うならば、金色が施されたものが、やはり富や繁栄をもたらすお箸と言われています。朱色は幸運をもたらす色なので、色々なお祝い事にも使えそうです。
どんなお箸がおめでたいのか、開運を呼び込むのかを知っておくと、プレゼントにしても喜ばれることでしょう。
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