こんにちは鍼灸師のSUMIYOです。
様々な感情についてお話してきましたが、その中でも私たちの生命(いのち)ともっとも深く結びついている感情といえるのが、今回のテーマ“恐れ”です。
恐れは本来、生命の危機を感じた時に出る感情です。もし恐れを感じなければ私たちは無防備な行動をして命を失うことになります。
それは恐れを予想して感じて起こる不安も同じです。私たちが天災等に備えて安全対策をするのも恐れや不安を解消し自分たちの生命を守るためです。もし恐れや不安がなければそういった行動をしようとは思わないので、生きていくためには本当に必要な感情です。
そんな恐れというのは中医学では水の特性があります。
水は冷たく、そして天から地へと下に向かって流れ、万物を濡らして潤すことから、水の特性は寒湿・下行・湿潤を表します。
つまり恐れは起こった危険を察知し、気持ちを冷静にします。そしてそのために行動することで心身が守られ潤されます。
例えていうなら、生命の危機を感じるほど過労状態の方がいるとします。その人が不安や恐れを感じた時に、今の自分の状況を冷静に見つめ直します。そして休息をとり元気を取り戻し心身共に潤うということです。
もしその人が不安や恐れがなかったら……もしくは感じながらも無視して行動ができなかったら大変なことになってしまいますね。
恐れや不安をマイナスに感じる方もいますが、それよりも恐れや不安を無視せずにしっかりと受けとめて行動していくようにしてほしいと思います。
しかしながらやはり、中医学では恐れの感情も過剰になると体調を崩します。
内臓機能でいうと腎と関係しています。
腎は腎臓とも関係していますが、その働きは排泄機能だけでなく、新しい生命の誕生に関わる成長や生殖の働きとも深く関わっているのです。
ですから不安や恐れすぎると、排泄機能の低下や発育不足、生殖器系の疾患になりやすいと中医学では考えられています。また恐怖のあまり足腰が立たなくなったと云われますが、恐れは足腰とも関わりがあると云われています。
では、どうすれば不安や恐れの過剰を失くせば良いかを
中医学的にアドバイスします。
恐れは季節でいうと冬と関係しています。冬の寒さは不安や恐れをさらに悪化させると云われています。つまり恐れは寒さに弱いので、不安や恐れを取り除くには“温かさ”が一番です。
不安や恐れでいっぱいの時には、温かい飲み物や食べ物をとり、温かいお風呂に入るなど体が温まると自然と不安や恐れも緩和されます。
そしてもっとも効果的な温かさは“人のぬくもり”である触れ合い(HUG)です。私たちは生まれる前、お母さんのお腹の中にいた時はお母さんのぬくもりに包まれて守られていました。それは赤ちゃんが羊水に浮かびながら成長していく水の世界です。
そう、水の特性をもつ恐れ(腎)と深く結びついています。
生まれてからも、赤ちゃんは抱っこや触れ合いによって、恐れや不安を取り除き安心するように、お腹の中で守られていた記憶は思い出せなくても、私たちはお母さんに守られていた感覚が触れ合いによって甦るからです。ですから触れ合いは赤ちゃんの時だけではなく、大人になっても不安や恐れを乗り越えるためには必要なことです。
触れ合いはもちろん体もですが、
心の触れ合いも同じです。
不安や恐れが過剰にある時には、触れ合い不足かもしれませんのでぜひ人との触れ合いを大切にして下さい。そして不安や恐れが過剰にある人がそばにいる時には、ぜひ触れ合いを大切にしてあげて下さい。
どんな感情もマイナスにするかプラスにするかはあなた次第です。
あなたの今の考えや悩みが学びとなり、あなたの人生の肥やすになりますように願っています。
天・地・人の恵みに感謝を込めて 鍼灸師SUMIYO
<<バックナンバー>>スピリチュアル中医学