SMAP解散に見る、芸能界と心の成長の関係
~華やかな世界の裏側~

「老若男女、誰もが気軽に心をケアし癒すことができる」、そのような社会を作っていきたいものです。

【日本中を震撼させた国民的アイドルグループの解散報道】

今年に入ってから、国民的アイドルグループ「SMAP」の解散に関する話題が多く流れました。一度は解散を免れたと思ったものの、結局8月に正式に解散決定という報道が深夜に急遽流れるという、日本を震撼させる展開となりました。

解散が決定したにもかかわらず、現在にいたるまで様々な報道が続いています。娯楽系の情報誌や女性誌はもちろんですが、芸能界の闇として報道されたり、「ファンクラブの年会費だけで40億円以上、経済効果は数百億円というSMAPの経済的影響に関して考察される」など、その切り口もさまざまです。

今年の頭には、地方創生担当大臣である「石破茂」氏がSMAPの解散に触れるなど、いかにSMAPというグループが大きな影響力をもっていたかということがわかります。入れ替わりの早いアイドルという業界にありながら、長い間トップを走り続けたということからも、彼らが背負っていたものは「想像がつかないほど重いもの」だったのでしょう。

 

【グループ最年少が抱えていた重荷】

解散が決定した理由は、現在でも様々なことがささやかれていますが、これから数十年たって、事務所の関係者が少なくなりSMAPのメンバーが老境に入るまでは、「真相はわからない」でしょうが、解散の正式決定までは、「木村拓哉」さんと「中居正広」さんという年長者の対立がクローズアップされていたものが、正式決定後には、最終決定に強い影響を与えたのは、最年少の「香取慎吾」さんだという報道がなされています。

これに関しても、所属事務所として今後の使い勝手の良い木村さんと中居さんを温存するための戦略ではないかという説もありますが、解散をかたくなに譲らなかったのが香取さんだという説には、「納得できる面」も多々あります。

SMAPの中で最年少の香取さんは、年長者ふたりからは5歳離れており、グループ内の親友である「草彅剛」さんとも3歳離れています。「小学校低学年」のころからジャニーズ事務所に所属しており、SMAPが結成された時も小学生でした。にもかかわらず、年長組のスケジュールを管理していたのは彼でした。近年では、SMAPのライブの企画構成演出なども手がけており、「責任感が強くまじめで、なおかつアーティスティックな気質をもっている」ことがわかります。

幼い頃から芸能界で仕事をしてきて、そのせいで中学校にもろくに通えず、友達はほとんどいないという香取さんは、テレビ番組などで芸能界で友人を作りたくないということをよく語っています。実際に何年も一緒に番組をやった関係者すら電話番号を知らなかったりするほどです。グループ全体が幼かった頃は、そこに全力投球していれば、孤独感も忘れられたかもしれませんが、全員が40歳前後になってきた中で、未だに友達の作り方がわからないというのは、本人にとって厳しいものがあったのかもしれません。

 

【心の闇を具現化した黒いウサギ】

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香取さんの精神が不安定なのではないかというのは、以前からささやかれており、「部屋の中に黒い兎が見えて」おり、それを「絵として昇華することで、見なくてすむようになった」というエピソードもあります。笑い話のように語られていますが、実際に、香取さんが書く黒いウサギは、かわいらしい反面、どこか「抑圧された幼児性」のようなものが感じられます。

芸能界で早くから仕事していた子役の中には、周りが大人ばかりであり、なおかつ一般社会とは異なった原理で動く仕事場に身を置くことで、「一般社会への適応が困難になるというケース」があります。そのせいで、「成人してから犯罪を犯したり、不幸な道を選ぶ」ことも多いのですが、香取さんは持ち前のまじめさと責任感、アーティスティックな才能をコンサートで自己表現すること、そしてSMAPという日本一忙しいグループに属していたことで、なんとか抑えられていたものが、ついに「限界になってしまった」のかもしれません。

 

【精神的ケアは子供時代から必要】

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今年頭の解散騒動に影響を与えたといわれている、SMAPの育ての親ともいえる女性マネージャーに一番懐いていたのが香取さんだといわれています。小学生から面倒を見て貰っていたわけですので、当然ともいえますが、彼女が事務所を去ったにも関わらず、尊敬している兄貴分たちは、会社や社会の原理にそって行動している姿を見てしまったことで、「繊細な心が砕けてしまった」としても不思議ではありません。

実際、ここしばらくの香取さんの言動や表情からは「うつ病の兆候が見られる」という報道も増えてきました。前述したような女性マネージャーの退社、そして人生の大部分を占めていたSMAPというグループの解散。報道のように香取さん自身が解散を言い出したとしても、「その喪失のストレスは大きくうつ病になる」のも無理はありません。

最年少とはいえ、すでに39歳の立派な大人といえばそれまでですが、特殊な環境で育ってしまった故に、精神的に追い詰められざるを得なかったと考えると、芸能界という特殊な業界はもちろん、そこで幼い頃から働く「児童にたいする精神的なケア」に関して、より注意を払っていく必要性が感じられます。

日本でも近年はカウンセリングなどが比較的一般的になってきましたが、子供に対する心理的なケアというと、まだまだ偏見が多いのも事実です。しかし、子供でも心が傷つくことはありますし、それを無視していると、「年を取ってからそれが表面化してしまう」ということは充分にあります。「老若男女、誰もが気軽に心をケアし癒すことができる」、そのような社会を作っていきたいものです。