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塩田妙玄さん連載コラム③犬や猫の動物保護施設ボランティアを通じて知った大切なこと

みなさんもご自分でできる範囲のボランティア活動を始めてみませんか? 何かの誰かの役に立てることは、ボランティアをする側にも生きがいや幸せを与えてくれます。

トリニティ読者のみなさま、こんにちは。高野山真言宗僧侶の塩田妙玄です。
このコラムでは、私がカウンセリングやペットのご供養の現場、動物保護施設のボランティアを通じて経験した不思議な出来事や、ときどき聞こえてくる、あるいは感じ取る動物たちの言葉にまつわる出来事をお話しさせていただきます。

今回は私がお手伝いさせていただいている施設のお話をしたいと思います。

 

動物保護施設との出会いとその活動について

私がお手伝いしている施設は、愛さん(ニックネーム)という高齢の男性が個人で行っている施設です。旧施設は河川敷のホームレス集落に捨てられた120匹以上の犬猫を保護する目的で、25年前に愛さんが自己資金で始めました。

もともとが「一時的な保護」を目的とした施設でしたが、河川敷に捨てられる犬猫は後を絶たず、愛さんの保護活動は25年も続いてしまいました。旧施設は、雨漏りや配線などの老朽化が激しく、文明の利器がほとんど使えません。

私は2009年から縁あって、施設をお手伝いするようになりましたが、家電が使えない夏は灼熱地獄で、冬は過酷なほど極寒。なかなかハードなボランティア活動でした(苦笑)。
さらに施設では、暑さ、寒さに加えて、ホームレスさんがさまざまな事件や捨てられた犬猫を持ちこんできます。ご存じの通り、猫1匹でも飼い続けていくのは、お金も労力もかかります。
愛さんはそんな保護活動をほぼ25年、自己資金だけで続けてきました。
そんな施設には、エイズや白血病という不治の病の子や、全盲や脳梗塞、痴呆、
さまざまな理由で捨てられた、里子に行けなかった犬猫がたくさんいます。

 

病気を患っても懸命に生きる動物たちの命の輝きとは?

思い出深い子はたくさんいますが、特に「ビビり屋ちびり」のことは鮮明に記憶に残っています。ちびりはものすっごいビビリで、目があっただけでおしっこをちびるので、愛さんが「ちびり」と命名した茶白の雄猫です。

コラム3①

 

彼はエイズキャリアでもありました。とにかくビビリですぐにおしっこをちびるので、なるべく目を合わせないようにお世話をしていたものです。
難治性口内炎と慢性鼻炎を持つちびりはいつも鼻をたらしていて、どろどろベタベタでガビガビ、お世辞にもきれいといえない猫。
ですが、愛さんの施設ではそんな猫でも内外自由な生活ができ、自分の好きなところで寝て、好きな隠れ場所を探せて、ごはんの時間にはどこからともなく現れる。猫たちはそんな自由な生活を満喫しています。

ビビり屋ちびりは大食いなのですが、いかんせんビビリなので、他の子のように「おかわりちょうだい!」と私たちに催促することができません。
そこでちびりは必殺技を考案しました。
それは「秘儀! ぐるぐる大作戦」!!

コラム3②

 

おかわりが欲しい時には、私や愛さんの足元をぐるぐる回るのです。
これなら人と「目は合わない」けど、「目にはつく」。
なんというアイデアでしょう!
この必殺技をちびりは自分で考えたのです!!

捨てられた1匹の猫が、こんなふうに物事を自分で一生懸命考えて、精一杯生きている。
小さい命から届くメッセージは感動的です。
ちびりは、愛さんの足元をグルグル走りながら、
「ここ、ここ! ここにいるよ!」
と、いつも声にならない生への言葉を発していました。

コラム3③

 

このちびりのように、愛さんの施設では、猫が自分自身で生き方を決められることを一番に考えています。すべての子を室内やシェルターに閉じ込めれば、そんなにお金もかからず、お世話や掃除も簡単です。猫たちを自由にするということは金銭的なことを筆頭に、人間側にさまざまな負荷がかかってきます。
ですが、そこにはその大変さ以上の「命の輝き」や「生き物としての躍動感」「生命の力強さ」など、日々感動的なドラマを私たちに与えてくれます。
そんな犬猫たちとのドラマを紹介することによって、私たちもさまざまな死生観を学び、感動を共有することができるのです。
ちびりのようなエイズの子でも長生きする子はたくさんいますし、反対に若くて病気もない子が短命だったり……。私たち人間は命をコントロールできない。図らずしも、そんな悟りに近い諦観も学ぶことになります。

そんな旧施設ですが、ひどい老朽化や愛さんの病気、加齢も加わり、たくさんの方の協力のもと、2015年夏に施設移転が実現しました! なんと今度は電気やガスが普通に使えるという魔法の施設(笑)!
豊かな自然の中、フェンスに猫返しをつけた500坪の広い敷地で、犬猫たちは自由に飛び回っています。そんな犬猫の姿を見られることが、無償のボランティアの醍醐味であり、勲章であると感じています。

どうか、みなさんもご自分でできる範囲のボランティア活動を始めてみませんか? 何かの誰かの役に立てることは、ボランティアをする側にも生きがいや幸せを与えてくれます。それは「人が受け取るものは、自分が与えたもののみ」という宇宙の法則を体現する世界のように私は感じています。
あなたのやさしい手を待っている子はたくさんいますよ。
「してあげるから、させていただく世界へ」。
私が大好きな高野山の言葉です。

 

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