伽座守珊瑚の開運『狼語り狐語り』第13話~突如襲い掛かる、巨大な化狐! 霊威強靭な眷族達が立ち向かう!!

祠に集う狐達、狼眷族・狐眷族と巨大な化狐との戦い! 祠に集う皆を一口に飲み込もうとする『チーム眷族』の戦いぶりや如何に!!

 

霊威の強靭な眷族 VS 巨大な化狐……戦い終わり夜が明ける

その朝、夜が明けても眩い日差しと温水の中を歩くような高温多湿の空気の中、薄暗い妖気が街中を徘徊していた。

これでもグラウたち眷族狼が夜明けまでに過半数を捕らえたのだが、8019匹とは1件の家の池や祠から出たにしては膨大な数の『はぐれ眷族』で、狼達はかなり陽が高くなってもその捕獲に奔走している。はぐれの大半は稲荷狐で今のグラウには胸が痛む仕事だ。

狐眷族も暇では無い。
町稲荷、屋敷稲荷の眷族は、祠や民家にはぐれ眷族が入り込まぬように守りを固め、恨みや妬み、不平不満を心に持つ人間を見つけては、はぐれ眷族が憑依しないように楽しい妄想や買いたいモノへの前向きな執着をその人間の心に湧き出させていた。

なぜなら恨みや妬み、不平不満が心に満ちた人間は、同じような感情で歪んだはぐれ眷族を呼び寄せ、同じ次元のモノとして融合したり憑依されたりしやすい。
憑依されれば、人間の意思と体を持った『不満と怨念が心を支配した凶悪事件を起こす人』になる危険がある。

はぐれ眷族に限らず、人間の怨念霊や自然界の悪霊に取り憑かれて、とんでもない事件を起こす人間は多い。人は大なり小なり自分の心に捻れや闇といった『地獄』を持っている。憑依予備軍=恨みや不満だらけの、肉体は生きていても心が地獄に堕ちている人間は結構いる。

狐たちはその一人一人の肩に乗って、スケベなおっさんにはそれにふさわしい妄想を、食いしんぼうには何食おうかなの執着に誘う。女性ならば服や化粧品何買おうかなな興味ってところか?

狐たちの軽妙なおしゃべりは人間の耳には聞こえないが、心に直接響く。下品な方法ではあるが、恨みや不満からくらべれば『楽しい』を思う事は、はぐれ眷族や悪霊の堕ちている地獄の境地よりは格段にマシで明るい『天国』な次元ので、楽しい妄想や嬉しい執着をしている人に凶悪霊は取り憑けない。境地に落差があると憑依はし辛いからだ。

狐 祠 212322892

 

狐たちの奮闘で、無事に人間や物品、力の弱い眷族のいる祠にはぐれ眷族が憑依したり入り込む事なく、狼たちが『はぐれ眷族』を全て捕らえたのは午後三時を過ぎてからで、最近には無い大捕物だった。

 

狼眷族と人間社会の関係性とは?

街にいる狼眷族は人間社会でいう警察官に近い働きをしていて、グラウも妖怪変化の捕獲や迷子の保護、道案内が仕事だ神様がお造りになった存在なら、人間も人間でない者も、命がある者もそうでないものにも、魂が宿るものに眷族は働きかける。

この界隈は眷族の縄張りで言えば神楽坂の『赤城神社』・門前仲町『富岡八幡』を含むの南の東西のラインと北新宿の『鎧神社』・青戸の『熊野神社』を擁する北の東西のラインに守られる武蔵東部八結界の内の1つで、『下谷神社』を臍(中心)にして『根津神社』、『湯島天神』、『鳥越神社』、『小野照崎神社』、御大『神田神社(神田明神)』の結界の中にある。

どの地域にも神社は大小重複して結界を成しており、その範囲で生じた悪霊や邪気は人間やモノに憑依でもしない限り結界の中からは出られない。だから今日の捕物も、密室の中で逃げた羽虫を探すようなもの。数が多くて難儀しただけだ。

眷族たちも神様も、人間が人間の意思で行う事に干渉はしない。

祠を放置しようが池を埋めようが。人間の都合でする事は人間が原因で人間が作った縁で人間に結果が出る。

今回みたいに人間が喧嘩だの破壊だのになる時点で、人間の側の怠惰や身勝手が蓄積していた。よそに迷惑がかかる件で、はぐれとは言え、稲荷眷族に関わることなので甚六やグラウたちの仕事になったが、人間の身勝手の尻拭いは理不尽だと甚六は思った。

 

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