出雲大社だけでは片参り!? 愛の化身と謎の神☆三穂津姫神&御穂須須美神

今は民家があり、ここから海を臨めませんが、きっと神代では海が近くまで来ていたのではなかろうかと思ったのです。その風を気持ちよさそうに全身に受け、遠くに見える大山を眺めていらっしゃったのではないでしょうか。

処暑も過ぎ、急に秋めいてきましたね。
今年の夏は珍しく、連日の渡って日暈や環水平アーク、幻日が多く現れる空模様でした。島根県東部は特に雲が多い地方。薄雲が空に棚引き、それに反射して虹が観られやすいように感じます。
島根にお越しの際には、太陽を手で遮りながら是非空の方も見上げてくださいね。龍の化身で神様の乗り物とも言われる美しい虹が出迎えてくれているかもしれません。

 

美保神社参道

 

 

事代主神を支える神々の社へ

さて、美保神社から鳥居を出て美保関灯台方面に5分程度歩くと、進行方向左手に神の小経(かみのこみち)の案内看板が出ています。こちらは美保神社の境外末社が多く鎮座する場所です。
こちらの境外末社の中から、今回は比翼の御神氣の片翼である三穂津姫神(みほづひめのかみ)の幸魂神社(さきだまじんじゃ)と、出雲風土記に美保郷に坐す神として記された大穴持命と奴奈宣波比売命の御子神と謂われる御穂須須美神(みほすすみのかみ)の地主社をご紹介したいと思います。

地主社

 

 

謎多き神・御穂須須美神

民家の間の狭い路地を通っていくと、うっかりすると見落としてしまうほどこじんまりとした、名の掲げられていない社が鎮座しています。この社が地主社で、御穂須須美神が祀られています。
御穂須須美神は事代主神の別名とも謂われますし、またそうではないという謂われもあります。まさに謎多き神。それ故に様々な諸説があり、それがまた神代のロマンとミステリアスさを感じさせます。
謎は多いがひっそりと祀られているその社からは、どこでどんな社や姿だとしても、心はいつでも自由で縛られず在るがままに在り、小さいからこそ人々の優しさを感じられると神さが微笑んでいらっしゃるように感じました。

御穂須須美神イラスト
謎の神様なのですから御姿も自由に想像させていただいて、私はこんな海を眺める姫神を思い浮かべました。(他の神々も自由に想像して描いていますけどね。)
今は民家があり、ここから海を臨めませんが、きっと神代では海が近くまで来ていたのではなかろうかと思ったのです。その風を気持ちよさそうに全身に受け、遠くに見える大山を眺めていらっしゃったのではないでしょうか。

 

新しい時代の訪れを告げる愛の化身・三穂津姫神

地主神社から山へと進みますと、木々の間に石の鳥居が見え、その先に小さな社が鎮座しています。こちらが三穂津姫神を祀る社であり、三穂津姫神の霊廟といわれている場所です。

幸魂神社

幸魂神社由緒看板
看板にある通り、霊廟、すなわち三穂津姫神の御墓なのです。その為か、こちらは三保神社よりも優しく温かで穏やかな御神氣を感じます。
美保神社左殿が公の御姿であり御神氣なら、こちらはさしずめプライベートな御姿と御神氣を感じられる場所なのでしょう。

 

三穂津姫神イラスト

三穂津姫神をイメージするならこんな感じでしょうか。
大国主大神の后神として高天原から稲穂を持って降り、稲作を出雲地方に広めたと謂われる三穂津姫神。后という漢字は正妻の意味です。
大国主大神の正妻といえば須世理姫神を思い浮かべますが、三穂津姫神は国譲り後、出雲の姫神が正妻であるのは信用ならぬと、国譲りの証と誓いの一つとして高天原より降ったという謂われもあるようです。

多くの妻を持った大国主大神の最期の妻であり、出雲と日向を繋ぎ結んだ姫神であり、新しい時代の始まりの象徴の様にも感じます。女性はいつの時代も平和と温かさをもたらしてくれる愛の化身なのでしょう。

さて、この他にも美保神社から車で5分程度進み美保灯台まで足を伸ばしていただくと、岬の先には鳥居があり、事代主神と妻である活玉依姫神を祀った沖之御前・地之御前を遥拝することが出来ます。
鳥居から4キロ先に浮かぶ島が沖之御前、鳥居直ぐ下に見える島が地之御前です。
地之御前は事代主神の釣り場であったと伝えられ、沖之御前の海底には常に神楽の様な響きあがり、神異奇瑞の島と謂われているそうです。この神楽の音は、もしかしたら鳴り物好きな事代主神の奏でる楽器や唄声なのかもしれませんよ。

美保神社と出雲大社、えびすだいこく両参りをし、さらにご縁を深めてくださいね。

 

◆急きょ、9月4日~7日まで上京する事となりました。セッションなどを開催します。詳しい内容はHPをご覧ください→http://tukisarara.com/

 

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