歴史を知って「幸せの参照点」を捉え直す〜感情美人への道Vol.83

皆様こんにちは。感情美人デザイナーの柊です。 今回は、歴史を使ってストレスを軽減するコツをご紹介します。

歴史は暗記するものではなく、先人達の生き様を学ぶもの。

知恵の宝庫でもあります。

それがなぜストレス軽減に効果的かというと、いわゆる「幸せの『参照点』を柔軟にする」のに効果的だからです。
「参照点」というのは「基準点」。
ある点を境に、これに届かない自分は不幸・届いた自分は幸せ、と感じるイメージです。

「不幸」「不安」「焦り」「孤独」というのは、基本的に「他人との比較」から生まれます。
例えば、友達が全員独身だったりパートナーがいなければ、自分が独身だとしてもそれが「普通」と感じますが、周りが幸せな結婚をしていたりしている人ばかりだと、独身でいる自分が何だか不幸に思えてきます。

こんな時、「幸せ」の参照点を柔軟に捉えられれば、ネガティブな感情に振り回されにくくなります。
といっても、現代の日本では、ほとんどの人は衣食住に事足りていますし、職業選択の自由も憲法で保証されていますよね。

となると、「感謝すべき事が見つかりにくい!」という状況に陥ってしまいます。
「現代」の枠の中で考えられる「幸せの参照点」は必然的に高くなってしまうのです。

 

そこで、「昔」を知ると、幸せの源である「感謝すべき事」がたくさん見つかります。

例えば、塩野七生先生の「ローマ亡き後の地中海世界」という本では、西ローマ帝国崩壊後のイタリアが語られています。
当時のイタリアは、この世の地獄を集めたような状況です。

なぜかと言うと、当時はアフリカ大陸の方からイスラム教のサラセンの海賊がやって来て、虐殺・略奪・拿捕を繰り返していたから。
そこで頑強な男達は捉えられて奴隷になり「ガレー船」の漕ぎ手になります。

当時の船のエンジンは、風と人力。狭くて暗い場所に、逃げない様に互いに鎖で繋がれて、ろくに飲食も与えられずムチで叩かれながら船を漕がされるんです。
これを読むだけで、「今の自分がどれ程恵まれているか」感謝すべき事がたくさん浮かんできませんか?
「自由ってこんなにありがたく素晴らしいんだ」と思えませんか?

また、違った角度から「建礼門院」という人の生涯も、非常に興味深いものです。
建礼門院は、平清盛の娘で高倉天皇の后。
わずか6才で壇ノ浦に沈んだ、安徳天皇の母親です。

かつては日本一の栄華に浴した女性が、実家や最愛の息子、名誉や地位を失い
都を追われて余生を過ごした生涯は「六道語り」として知られています。
清涼殿や紫宸殿の中で、大切にかしずかれ「いつ桜が咲くかしら」という事だけ気にかけていた生活から、持っていたものを全て失い、誰も来ないような侘しい場所で肉体労働さえするような環境になったのです。

私達も環境の変化に伴うストレスにさらされますが、建礼門院の波瀾万丈の人生に触れれば、自分も何とか新たな環境に適応できるような気持ちになれます。

他にも枚挙にいとまがないのですが「感謝すべき事が見つからない」「自分がとても幸せだとは思えない」と感じたら、ぜひ歴史に触れてみて下さい。

【参考文献】

「ローマ亡き後の地中海世界」新潮社 塩野七生
「建礼門院という悲劇」角川選書 佐伯真一

 

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