人生を成功に導く「ネガポジ感情の黄金比」〜感情美人への道Vol.59

皆さんも、まずは「幸せを感じる領域を増やそう」ということを、意識されてみて下さいね。

皆さまこんにちは。最近は風も秋らしくなってきましたね。
先月は、いくつか脳科学・心理学から見た「運のいい人」の特徴をご紹介しました。詳しくは『「運」がいい人になるための法則』をご覧下さい。

 

今回は、「運のいい人=人生の上昇気流に乗れる人」が持つ、「ネガティブ感情」と「ポジティブ感情」の具体的な比率をご紹介します。

感覚で構いませんので、今日のあなたは「イヤだな〜」「辛いー!」「悲しい」「どうしよう!?」というネガティブな気持ちと、「楽しい!」「ありがたい」「素晴らしい」「ピースフル」というポジティブな気持ち、どちらが多いでしょうか?

ノースカロライナ大学の心理学者バーバラ・フレドリクソン教授は、「人生でどんどん上昇スパイラルに乗れる人と、そうでなく下降スパイラルに陥る人とでは、決定的な分岐点がある」ことに気づきました。そしてメタ分析によって27万5000人に関するデータを集めたところ、ひとつの結論が得られました。それは「成功したから幸せなのではなく、幸せな気持ちが成功を生み出している」ということです。

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人生が上手く回り出すか、それとも後退してしまうかバランスのティッピングポイントをお伝えします。それは「ネガティブ感情」と「ポジティブ感情」の比率が「1:3(具体的には2.9013)」になっているかどうかです。

つまり、何か1つ辛い・悲しいネガティブ感情を経験したときには、そこから自分を引っ張り上げるために、ポジティブな感情を3回経験する必要があるのです。

ちなみに、自分のネガポジ比率がどれくらいになっているかは、下記フレドリクソン教授のサイトで計ることができます。
彼女の日本語の本はこのテストを日本語でできるようになっているのですが、あれこれ自分で計算しなければならないので、自動的に計算してくれる教授のサイトを使ってみて下さい。単語の意味が分かれば簡単に答えられます。

http://www.positivityratio.com/single.php

私がトライした所、ネガポジ=1:5という比較的高い数字でした。でも「ネガポジ=1:3」というのは結構ハードルが高いようで、これをクリアできるのはアメリカ人の5人に1人(全体の20%)だそうです。

 

どうしてポジティビティが高いと人生がうまくいくのでしょう?

それは運がいい人は、不運に当たらない人ではないからです。

むしろ、普通の人がへこたれてしまいそうな試練を何回もくぐり抜けています。ここで心の中のネガポジ比率が「1:3」になっていると、不運に見舞われても、そこから学び、意義を見つけて不運を幸運に作り替えていけるのです。1:3に届いていない人は、「もう自分ダメだ〜!」と底に落ちて行ってしまうのですね。この違いです。

ポジティビティが高い人達には、いくつか共通点があります。一番大きい特徴は「今の状況に意味と価値を見出す能力が高い」ことです。第二次世界大戦中に強制収容所に送られた精神科医、ヴィクトール・E・フランクルもその1人。彼は極限状況の中で、「自分は将来、この希有な経験を徹底的に観察し、後世に伝えるのが自分の使命である」という「意義」を見つけ、自身を絶望の淵から救ったと著書で述べています。

皆さんも、周りで全てが上手くいっているように「見える」人をよく観察してみて下さい。彼・彼女達は決して試練に直面しなかった訳ではありません。不運や不幸に巡り合ってしまったことを受け入れ、「だからこそ自分には何ができるか」を考えて行動している人ではないでしょうか? さらに共通点を言えば、こういう方達は大抵「自分のため」ではなく、「誰かのために」この試練がきっと役に立つ、という風に思考を転換させています。これは「利他的な行動」をするとオキシトシンというハッピーホルモンが溢れるので、さらにポジティビティ比に勢いをつかせるのではないかと思われます。

加えて、成功するには何回もの失敗がつきものです。

成功者とは失敗しない人ではなく、失敗しても勝負し続けられる人です。ポジティビティが高い人は実際に「視野」が広いですし、理性を司る脳の領域も活発に動きます。例えば、2002年にノーベル化学賞を受賞された田中耕一氏も、受賞のきっかけとなった発見は、実験の「失敗」が原因でした。

間違ってグリセロールとコバルトを混ぜてしまったのですが、「どうせ捨てるなら実験でもしてみるか」とこの混合物を熱エネルギー緩衝材として使用したことが大発見につながったのです。ポジティビティが高いと、失敗を単なる失敗では終わらせないのでしょう。

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私に限ったことで言えば、次の3つの心の大転換を自分に課してから、驚く程運が良くなりました。

①辛い状況を、将来誰かの役に立てるための必要な経験だと捉えた
②見逃していた幸せに気づけるようになった
③被害者意識を捨て、人生で起きる事全てに自分が責任を持とうと当事者意識を持った

今こうして偉そうに記事を書かせて頂いている私ですが、八年前にネガポジ比率を計ったら、おそらく1:1にも届いていなかったと思います。むしろ値は逆転していたはずです。

でも、訓練次第で「私たちは自分で思う以上に、いつ(ネガティブ感情とポジティブ感情の)どちらを呼び出すか選ぶことができる」のです。

ネガポジ比を1:3にするには、少し練習が必要です。わたしはこちらの連載記事を通して、少しでもそのコツをお知らせできればいいなと思いながら、毎回筆を進めています。皆さんも、まずは「幸せを感じる領域を増やそう」ということを、意識されてみて下さいね。

参照:
『ポジティブな人だけがうまくいく3:1の法則』バーバラ・フレドリクソン
『成功が約束される選択の法則』ショーン・エイカー

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