自分らしさを取り戻す 光の欠片を集めるストーリー 『光を紡いで』第3話
〈前編 「戊辰戦争で戦死した私との出会い」〉
音楽芸術セラピスト玲奈が、実際に体験した過去世のトラウマの記憶の癒しを、短編のストーリーで書き綴ります。
人生の上昇、才能や能力の開花に繋がる癒しと、魂の不思議なストーリーをお楽しみ下さい。
何気ない毎日の中で目に映る景色。
つい見逃したり無意識に目を逸らしてしまうものの中に、そこからの人生を変えてしまうような欠片が落ちていたりする。
そんな欠片は、輝いている事は殆どない。
大抵誰にも気付かれず皆に踏み付けられて、触る気にもなれない程に汚れている事が殆ど。
でも、自分にはなぜか分かる。
どんなに気付かなかったふりをしても、それが大切なものだとどこかがキャッチしている。
これは自分の一部なのだと。
~ 過去の私の欠片を手にする ~
その日は、いつもとは全く違う方法で、私は自分の欠片を手に入れた。
私の家に遊びに来た友人が持ってきたのだ。
昨日外を歩いていたら見つけて、とても綺麗な欠片だったので拾ったらしい。
何となく私に渡そうと思い、持って来てくれたのだった。
その欠片は、深く青い地球のような美しい色をした小さな石だった。
次の日私はその欠片を綺麗に洗い、何とも懐かしいような美しさに惹かれ眺めていた。
とても大切な物のような気がして、大切に磨き上げたくなり、この欠片も丁寧に磨いていく。
段々と意識が遠くなりながら、胸の辺りに何かがこみ上げ涙が溢れてくる感覚を感じていると、私の前にはぼんやりとした白昼夢が広がっていった。
青く美しい欠片を磨きながら私は時間を遡り、過去の私の人生と思われる映像を見ていた。
~ 記憶の鍵を開ける ~
見えてきたのは、数年前まで私が住んでいた家だった。
誰もいない静かな午後の晴れた日。
外から自分の家と庭を眺め、視界は段々と少し離れた山の方へと移っていく。
そこへ折り重なるように、沢山の兵士達が駆けて行く映像がうっすらと重なってくる。
土煙と共に沢山の兵がぶつかり、目の前で戦が繰り広げられている。
2つの時代が同時に重なりあって私の目に映っていた。
私が住んでいたその場所は、戊辰戦争の白河口の戦いで、戦いが繰り広げられた場所。
伝えられている歴史によると……。
西軍は小峰城を攻めるために、兵を3隊に分け攻撃をする。
一番の激戦地となったのは中央の稲荷山。
ここに陣地を構える東軍を攻めると見せかけ、手薄になった西方の立石山と、東方の雷神山を占拠し、西軍は稲荷山を周囲から包囲し激しく攻撃。
さらに城下へと突入し小峰城を占拠した。
そう言われている。
私の住んでいた家は、この東方の陣の雷神山の近くにあった。
そして先程見ていた山が、その雷神山である。
ここが手薄になった事から戦の流れが大きく変わってしまったとも言われる、皆の後悔の残る場所かもしれない。
激しくぶつかり合う戦いを、木の陰から息をひそめて見ている男がいる。
その男が、過去の私だった。
過去の私は武士のような雰囲気だ。
東北の玄関口となる白河の関からさほど遠くない場所に住んでいたようで、この場所からもそう遠くはない。
最近周辺でザワザワとした騒ぎが続き、この戦がどうなるのか気が気でなく様子を見に来たらしい。
過去の私は、どうしても会津藩を助けたかったようだ。
私にとって、会津藩の武士は憧れであった。
見た事もないような近代的な装備で戦う西軍に、どう頑張っても勝ち目はないと感じ、私は居ても立ってもいられない。
だからといって東軍に味方した所で、結果は目に見えているようなものなので意味がない。
過去の私はじっとしている事が出来ず、反射的に今目の前で戦っている優勢な西軍へと参戦した。
目的は、何とかして会津藩の力になるため。
戦いながらその機会を窺った。
東軍と戦いながらも、絶対に斬りたくはなかった。
何とかそっと逃がす良い方法はないかと想いを巡らせ、その機会が訪れる事を願った。
そして、目の前の会津兵と戦い、倒そうとしない私は自分が倒された。
私はその兵に、「本当は何としてでも助けたかった。どうか生きて欲しい」という最後の望みを託す。
相手の表情が一瞬変わったのを見て、私はそこで意識が薄れていった。
私が倒れ、その後も沢山の兵士達が倒れていく。
数日後、私を斬った会津兵をはじめ東軍は捕えられ、白河城と雷神山の間に流れる谷津田川に沿って、この場所から少し西へ進んだ場所へ集められる。
そして、西軍によって皆首を刎ねられた。
傷付いた東軍の兵士達は、自害した者もあった。
場面が変わる。
私は家の中から外を見ている。
先ほどまでの江戸時代ではなく、現代。
今から15年程前だろうか……。
そこで、2人の私が出会う事になる。
——中編「前世の自分と共に生きる」に続く——
『REINAのピアノヒーリング』
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