ココロセラピストが語る!
「サザエさんはサザエさんらしく自由に生きて欲しい」とは?

国民的アニメ『サザエさん』がパートへ出てすぐに辞めてしまうエピソードから、心理セラピスト的に「仕事ってなんだろう?」を考えます……

どうでもいいと言ってしまえばそれまでなのですが、気になったことがあります。それは国民的アニメ『サザエさん』です。ドラえもんに出てくるスネ夫に匹敵する不思議な髪形の魅力的なキャラクターです。

僕はあまりテレビを観ないのですが、ネットを観ていたらなんだかサザエさんがすごいことになっていたようです。

2015年4月26日放送のアニメ「サザエさん」(フジテレビ系)で、なんと! サザエさんがパートを始めるというエピソードがあったようです。非常に興味深いです。

サザエさんの何が問題なのか?

結論から言うと、サザエさんは誰に相談するでもなく自分からパートに出ようと面接を受けて採用されるが、すぐに辞めてしまったというだけの単純なストーリーです。

僕は純粋に「サザエさんらしいよね……」で、おしまいで良いと思うのですが、ネットの住人たちの間では、それはそんなに簡単な話では無いようなのです。

「仕事を何だと思っているんだ!!」と激怒している人たちがどうも続出しているそうなのです。

サザエさんは日本人代表?

サザエさんは、僕たち日本人の間では、古き良き日本人的な家庭の象徴のように思われている側面も確かにあると思います。だからサザエさんが専業主婦であることに関しては誰も不満を言わないのです。しかし、いとも簡単に仕事を辞めてしまうと、さすがに視聴者も黙ってはいられないようです。

確かにサザエさんは三世帯で仲良く暮らしていて、地域の人たちとも親しく交流し、理想的な日本人像ではあるかもしれません。そんな理想的なサザエさんに期待を裏切るようなことをしてほしくないという視聴者心理も分からなくもありません。

サザエさんは磯野家の人間であることを忘れてはならない!

ファンとしては身近な、もっとも身近なマンガキャラクターとして、親近感もあれば期待もあると思います。しかし! だからと言って視聴者がサザエさんの生き方を支配しようとするのは非常に問題な気がします。サザエさんがパートをいとも簡単に辞めてしまったとしても、それが良い悪いかはサザエさん自身の問題なのです。

サザエさんの影響力は計り知れないものは確かにあると思います。だからといって主人公としてあるまじき行為とか、日本人としてあるまじき言動だとか、周囲にとやかく言う権利は無い気もします。視聴者が個人的にどう感じて、どう思うかはもちろん別です。

サザエさんは自分が世間のオピニオンリーダーと自覚して生活しているわけではありません。当然、自分の生き方を誰かに押し付けたいと思っているわけでもないと思います。サザエさんは単なる(?)主婦なのです。

サザエさんは、生活に困っているわけでもなく、どちらかと言えば裕福な家庭で生活しているのです。「もっとも身近な日本人像」は僕たちが勝手に思い込んでいるイメージにすぎないのだということは決して忘れてはなりません。サザエさんは裕福な家庭で生まれ育った。マスオさんは一流大学卒で、そこそこ給料を貰っている(?)……となれば、サザエさんの生き方が平均的日本人と違うからと言って決して変ではないのです。

仮にサザエさんが簡単に仕事を辞めたことに対し、磯野家(フグ田家)で問題視されたのであれば、父・波平、もしくは夫・マスオに怒られたと思います。そして、近所の人たちにも悪評は流れて、いくらサザエさんといえども痛い目を見るはずです。軽くスルーされたのであれば、世間がどうあれ少なからず磯野家(フグ田家)では、さほど問題無いのでしょう。

確かに個人的なことを言えばサザエさんが羨ましいと思います。嫉妬したい気持ちも少なからずはあります。けれども、嫉妬していても自分の人生は決して好転しません。羨ましいと思うなら、自分がその立場に立てるように生きれば良いだけなのです。嫉妬ではなくサザエさんの言動に本当に問題があると感じるなら、自分はそれを反面教師にすればいいのです。

サザエさんだけが問題視されているような……?

もちろん雇用者側の立場から考えれば迷惑な存在と言えなくもありません。では雇用者側の別の視点を考えてみましょう。

辞めて欲しい人間ほどなかなか辞めてくれないなどという話もよくあると思います。サザエさんが仮に自己主張が強すぎたり、マイペースすぎたりして著しく使えない人材だったらどうでしょうか。「辞めてくれてよかった……」とホッと胸を撫で下ろす人もいると思います。そう考えると、あながち悪と言いきれない側面もある気がします。

僕は決してサザエさんの味方をしているわけではありません。しかし、最近よく思うのです。仕事の価値観というものは、今と昔ではかなり変わってきたのではないかと。昔のルールを引き継いでいる人たちもいると思いますし、どんどん変化して一昔前では信じられないような概念が普通になってきている気もします。

サザエさんは、決して僕たちに「仕事なんてめんどうになったら辞めてしまえばいいのよ!」と言っているわけではないのです。単純に笑って欲しかっただけだと思います。

もし、サザエさんに何らかのプロバガンダ的意図が隠されていたとするのなら、それこそスポンサーが下りてしまうと思います。スポンサー会社だって、きっと簡単に仕事を辞めるような人材は望んでいないですから。

そのようにあれこれ考えてみると、サザエさんが単に非常識とか根性無しとかいう話ではない気もします。「仕事ってなんだろう?」という、もっとスケールの大きな問いかけと捉えた方が良いかもしれません。

……と、たった短編1つで、ここまで盛り上がってしまうなんて、サザエさんの影響力って本当に大きいのだなと思います。

そんなに難しい話だったっけ、サザエさん……←わらうところ。