一宮千桃のスピリチュアル☆シネマレビューPART.75 「パパ、遺伝子組み換えってなぁに?」

子どもを持ったことをきっかけに“食”について考えるようになった、映画監督は「遺伝子組み換え生物=GMO」に興味を持つ。取材を進めていくが、アメリカでは表示義務すらないため……

遺伝子組み換え作物の謎を解く
現代人必見の驚愕ドキュメンタリー!

昨日、宮城ジョージの「99%がバカに洗脳された国NIPPON!」を読み終えた。読み終えて震撼したが、是非ともたくさんの人に読んで欲しい一冊だ。

しかしこの本に書かれていることを友人に力説すると、どん引きされてしまった。この感じは前にもあったな、と思ったら、10年ほど前にスピリチュアルなことを学生に力説したらどん引きされた記憶が甦った。スピリチュアルなことは人を今でも選ぶと思うが、10年前より受け入れる裾野が広がった気はする。が、この本に書かれていることはまだまだ一般の人には「はあ?」というレベルなのか、私の友人が無知すぎるのか……いや、洗脳された日本人がやはり99%ということなんだろう……。トリニティWEBの読者は違和感なく読めると思うので、是非読んで知り合いに薦めて欲しい。とにかくこの本に書かれていることを知ることが大切なのだ。

と、本のことを語ったが、今日紹介する映画はこの本の内容とリンクするのである。

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本作の冒頭で監督はアメリカの街の人々に「GMO(遺伝子組み換え作物)って知ってる?」と聞くのだが、驚くべきことに全員「知らない」の答え。それは表示もされていないし、情報を伏せられている部分もあるからなのだが、監督自身も詳しくは知らず、「GMO」周辺について調べて取材していく旅を撮ったドキュメンタリーである。監督自身が3人の子供の父親で、小さな息子たちはアイスクリーム大好き。しかし、そのアイスに使われている植物油脂や果糖ブドウ糖液糖は、遺伝子組み換えの大豆やコーンから出来ているのだよ。子供たちが、自分たちが知らずに一体何を食べさせられているのか、子育てパパはこの旅で驚愕することになる。

日本は遺伝子組み換え食品の輸入大国!
えっあんなものにも、これにも入ってます!!

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これはアメリカだけの問題ではない。日本は遺伝子組み換え作物への懸念が強いので「遺伝子組み換えではない」、という表示は義務付けられているが、加工されていたら表示義務はないし、何より、家畜の餌はほとんどがアメリカからの輸入のコーンや大豆カスなのだ。そして、アメリカで作られているコーンの88%、大豆の94%は遺伝子組み換え作物である。

その他にも植物油、醤油、コーンスターチ、薬の糖衣、コーンシロップ、チョコレートに使われるレシチン、スナック菓子など、ありとあらゆる加工食品に遺伝子組み換え作物は使用されている。だから知らず知らずのうちに日本人である私たちも山ほど遺伝子組み換え作物を食べさせられているのだ。

遺伝子組み換え作物は安全性に大きく疑問があり、将来的に人体にどのような影響があるのか分からないし、データも捏造されている。しかも、動物実験では食べ続けて1年目に腫瘍ができ、それは人間に換算すると30~40歳頃という。

私たちはまさにライブで遺伝子組み換え作物の人体実験をさせられているわけだ。

そして、この怖ろしい作物を作り出したのが、モンサント社という巨大企業。この会社はもともとベトナム戦争での枯葉剤を製造していた会社で、日本のカネミ油の垂れ流し事件のPCB製造や、牛成長ホルモン剤、除草剤ラウンドアップの製造など、悪名高きアグロバイオ会社で、あのロックフェラー傘下の会社なのだ。

監督はモンサント社にも取材を申し込むが、門前払いを食っている。

ロックフェラーについては前述の本を熟読して欲しいが、本作に出てくるハイチの地震についても本には言及されていて、合点がいくと背筋が寒くなる。

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自分が何を食べるかをチョイスする
その前に何を食べさせられているか知る

私は以前にも書いたと思うが、食べ物にうるさいし、健康オタクだ。特に最近は遺伝子組み換えやトランス脂肪酸や硝酸塩や、農薬や化学肥料やF1野菜など、かなり本を読みあさって詳しくなり、スーパーの野菜が不安でネットで有機野菜を注文するようになった。しかも、申し込んでいた農園が借りられることになり、自分で野菜を作ることにした。なので、この映画は知ってることがほとんどだったのだが、遺伝子組み換え作物の入門編としてはよく出来ていると思う。

とにかくだ。私たちは知らなくてはいけない。

自分が何を食べさせられているのか。無知でいることは一番罪が重いと知って、それでも私は遺伝子組み換え食品を食べる、有機野菜をネットで注文して食べる、と選択することである。自分の体は自分で守らないと誰も守ってくれない。私たちは食べた物でできているのだから。体も、もちろん精神も。

現代に生きる私たちには、必見作である。

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■東京・上映中

■大阪・5月9日(土)~ロードショー

■監督・出演 ジェレミー・セイファート

■出演 セイファート監督のファミリー、ジル=エリック・セラリーニ、ヴァンダナ・シヴァ

■85分