日本美術の創世記『縄文時代』~古代の芸術は女性的センスで産み出されていた?~

日本美術の創世記『縄文時代』。有名な芸術家や考古学者の理論により、「日本人の根源」ともいえる、「生命のエネルギー」と「現代人が忘れてしまったインスピレーション」を取り戻す。

日本の美術がはじまったとされている「縄文時代」。
日本人が美術的センスに目覚めたのは、弥生時代ごろだという説が長らく支持されていましたが、有名な芸術家の「岡本太郎」によってその常識が覆されました。

岡本太郎が注目する前から、縄文時代の遺物である「縄文土器」は出土していたのですが、あくまでも「考古学的な研究対象」だったのです。
しかし、偶然、上野の博物館に展示されている土器をみて、その芸術性を感じ取った岡本太郎が、自ら調査研究を開始して、美術誌に論文まで発表しました。

こうしたこともあって、縄文土器は現在では立派な「美術品として認められる」ようになったわけですが、岡本太郎が認めたように、縄文土器や土偶の姿はとても魅力的であり、現代にはない芸術的なセンスにあふれています。
特に土偶は魅力的であり、国宝に指定されているものが現在のところ「5体」もあります。
さらに、興味深いのが、すべて「女性」を形取ったものだという点です。

国宝に指定されている土偶は、「縄文のビーナス」「縄文の女神」「仮面の女神」「中空土偶」「合掌土偶」という名前がそれぞれついています。
最初の三体は、名前からもわかるように、女性的な特徴、とくに妊娠しているような風情が見て取れるのですが、中空土偶も合掌土偶も、みかけではわかりにくいものの、妊娠している女性を現している可能性が高いとされています。

縄文時代の土偶には、このように女性、特に妊婦をモチーフにしたものが多く、多産を象徴する「古代の女神を象った」ともいわれています。
こういった土偶を作った制作者がどんな人物だったのか、現代では知るよしもありませんが、日本の縄文時代に近い「旧石器時代」のアーティストには「女性が多かった」という研究結果が最近発表されました。

アメリカのペンシルバニア州立大学の「ディーン・スノー」という考古学者が、フランスやスペインの洞窟に描かれた壁画を調査し、そこに描かれた手形を分析したところ、「4分の3が女性」のものだということがわかったのです。

これは、「男性と女性で手の形が異なる」という生物学的な研究を元にしています。この手法は、現代人の場合は、性別の判定確率は60%程度だったそうなのですが、古代人は性差が大きく、よりはっきりとした判定をすることができました。

この調査によって、壁画に描かれた手形は女性のものであるという可能性が高くなりました。
手形は、絵の作者のサインであると考えられているために、壁画自体も女性が描いたとするのが自然といえるでしょう。

もしかしたら、単に手形だけが女性の仕事だった可能性もありますが、古代は狩猟が中心だったので、長く狩りに出かけている男性が芸術に時間を割いたとは考えにくいということもあり、神託を受け取るシャーマンとして活躍したり、そのインスピレーションを発揮したのは女性だったと考える方がしっくり来る気がしませんか?

あまりにも古い時代のことなので、今後はっきりとした確証が出てくることはないかもしれませんが、古代から脈々と女性のなかに流れてきたインスピレーションと芸術性。
それを充分に発揮させたいと思うのでしたら、「縄文土偶を見に行ってみる」ことをオススメします。
私たち「日本人の根源」ともいえる、「生命のエネルギー」と「現代人が忘れてしまったインスピレーション」を取り戻せるはずです。

Ancient art was created women.
Going to receive the energy of creativity from the Jomon clay figures.