中村うさぎさんコラム「どうせ一度の人生・・・なのか?」 part.11 「霊を視る」そのメカニズム

「霊が視える」……霊能者たちが嘘をついてるとは考えないと語る中村うさぎさん。その「視える」メカニズムについて、「共感覚」の視点からうさぎさんが考えます。

「どうして霊が視える人と視えない人がいるのか」

私は霊を信じないが、「どうして霊が視える人と視えない人がいるのか」という問題には大いに興味がある。前回の臨死体験の話でも書いたように、私は基本的にそういった現象は脳に起因すると考えている。

臨死体験の際に見る映像は、死ぬ直前に脳が見ている夢なのだ、と。
では、霊を視るのはどういうメカニズムなのか?

以下は、あくまで私の素人見解であり、まったくの仮説だ。

 

霊現象とか超能力とは関係なく、
この世の中には「共感覚者」と呼ばれる人たちがいる。

たとえば「音」が「色」で見える人。
彼らは音楽を聴いていると、目の前に赤や紫や黄色が見えるらしい。
また、「味」が「形」で見える人もいる。
ピリピリするスパイシーな物を食べると目の前にトゲトゲの映像が現れたりするそうだ。

これらの「共感覚者」たちは科学的に解析され、どうやら脳の配線の問題らしいと考えられている。
すなわち、「音」に「色」が見える人の場合、普通の人は「音」を感じ取る脳の部位と「色彩」を感じ取る脳の部位が別々なのだが、こういう人たちは「音」と「色」の感覚部位がパイプで繋がってしまっているわけだ。

したがって、「音」を感知すると、連動して「色彩」部位も活動してしまい、音に色がついて見える、というわけですね。

「音」「色彩」

この話を本で読んだ時、私はハッとした。
「10歳くらいまで霊が視えた」と言ってた友人の話を思い出したからだ。
この人に限らず、10歳くらいまで霊能力があったと話す人は結構多い。

10歳といえば、人間の脳が完全に配線を終えて完成する年齢である。
幼児教育が重要視されるのは、このためだ。

脳が成長を止める10歳までにできるだけ発達を促そうという理屈である。
10歳まで霊を視ていた人がその後視えなくなるのは、
この脳の働きのせいではないか?

10歳までの脳は成長期であり、
かなり未熟で可塑的なものである。
この時に未熟な脳がいろいろな配線を試し、「共感覚者」のように「音」の感覚部位と「色」や「映像」の感覚部位が一時的に繋がるような現象も起こるだろう。
「10歳までは霊が視えた」と言う人は、「音」や「光」や「味覚」などの外的刺激が「映像」として視えていたのではないか。
本人は自覚してないかもしれないが、何か特定の音や光などが「映像」を知覚させ、「何かがいる」ように視えていたのではないか。

「色」「映像」

 

これは私が自分で勝手に思いついた独自の推論なので、科学的根拠は一切ない。
が、自分的にはかなり説得力があるような気がする。

「10歳までに視えた」人たちは、その後脳の配線が完成して配線が途切れたため、普通の人と同様に何も視えなくなったのだ。
しかし、大人になっても視える人はいる。
これは私の説だと、一種の「共感覚者」ということになる。

 

私は霊能者たちが嘘をついてるとは考えない。

その人たちが「視える」と言うのだから、きっと本当に視えてるんだろう。
ただ、その「視える」メカニズムは、特殊能力などではなく、脳の現象だと考えているのだ。
だから、霊が視える人がいても、それは霊の存在の証明にはならないと思う。

証明するなら他の方法でやって欲しいと本気で願っている。

 

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