中村うさぎさんコラム「どうせ一度の人生・・・なのか?」 part.14 前世でも時空を超えても”私の本質”は変わっていないはずだ

実は中村うさぎさんは、前世が知りたい!? 頭ごなしに否定しているわけではなくて、あぁなるほどと、信じられる人を探しているのかもしれない。「時間や空間や性別を超えたって、私のままで長い旅をしている」それが中村うさぎさんの思う前世のようだ。はてさて?

「うさぎさんの前世は、中国のアサリ売りだそうですよ」
手術が終わって麻酔から目覚めた私に、執刀医のドクター・タカナシがニヤニヤ笑いながら報告した。
「アサリ売り? 何よ、それ!」
「知りませんよ。自分でそう言ったんだから。うさぎさんが睡眠薬と麻酔で眠っている間、僕が前世を尋ねてみたら、『中国でアサリ売りしてたの』って答えたんです」
「ふーむ……なんでまた、アサリ売りなんだろう」
「それ、僕も疑問思って訊いたんですよ。うさぎさんにしては地味な前世だと思って」
「だよね」
「そしたら、うさぎさんはこう答えましたよ。『最初は畑で野菜作って売ってたんだけど、野菜って育てるの大変じゃない? 手がかかるし。でも、アサリなら砂の中で勝手に育つから、あたしは掘るだけじゃん。こりゃ楽だと思って、アサリ売りに転向したの』って」
「おお! いかにも私の考えそうなことだ!!!」

私は驚愕したね。
前世だか何だか知らないが、これは間違いなく私の価値観だ!

中村うさぎ前世アサリ売り

面倒くさがりで努力が嫌いで、常に楽できる道を探している私。
そんな私に農業なんて務まるわけがない。
そこで「アサリなら勝手に砂の中で育つ」と考え、あっさりとアサリ売りに転向するあたり、まさに私そのものである!
この女は私だ!
間違いない!

「で、アサリ売りしてた私は、その後どうなったの?」
「なんでも年下のイケメンに惚れて結婚したはいいけど、そいつが全然働かなくて、一生そいつに貢いで終わったみたいです」
「…………(苦笑)」

中村うさぎ 前世 ひも旦那

これまた、いかにも私らしいエピソードだ。
現世でも、男にはさんざん貢いだしな。
なんか、あまりにも私の人生に近過ぎて、逆に嘘っぽく感じてしまうくらいだ。
「アサリ売り」くらいの意外性が欲しかったな。

しかしまぁ、今までいろんな霊能者や占い師から「前世」を聞かされたが(オペラ歌手だけでなく、中世の魔女とかもねw)、いかにも私らしいという点で、今までで一番納得できた前世だった。
私は前世を信じてはいないが、もしも魂が生まれ変わるとしたら、たとえ国籍や時代が変わっても「私の本質」は変わらないと思う。
そうでないと、生まれ変わる意味がない。

私は、時間や空間や性別や、場合によっては種目すら変えながら、私のままで長い旅をしている……

そんなふうに考えたほうが腑に落ちるのだ。

信じる信じないは別として、きちんと納得できる話を聞かせて欲しい。
こちらが「ああ、なるほどね!」と膝を叩くような話でなければ、金を払った甲斐がない。
だってさ、そうでないと、占い師や霊能者の言葉は、なんだか「言いたい放題の当てずっぽう」って感じになっちゃうじゃないか!
特に前世なんて、誰にも検証できないんだしさ。

そんなわけで次回は、私が出会った霊能者の話をしたいと思う。
どっかのお寺の坊さんだった。
この話をすると、私の基本的なスタンスを理解してもらえるかもしれない。
信じる信じないではなく、納得できるかどうか、なのだ。

 

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