【世界で1億ダウンロードされた大人気ゲーム】
「世界的に話題」となっているスマホゲーム「ポケモンGO」。ポケモンの産みの親であるはずの日本では配信が遅れ、世界的なブームが起きてから後追いするように7月22日にサービスが開始されました。サービス開始から「1週間程度で1000万人以上が利用」し、世界では1億ダウンロードを達成するという、まさに怪物レベルのゲームであるポケモンGO。その大きな影響力によって、様々な出来事が引き起こされています。
【神聖な場所がポケモンGOによって蹂躙される】
「ポケモンGO」では、歴史的な建造物や観光スポット、街中にある石碑といった場所が「ポケストップ」と呼ばれるアイテムを補給できるポイントや、「ジム」と呼ばれる戦いが行えるポイントになっています。このようなポイントは、「Ingress」というスマホゲームで蓄積された情報を元に作られたのですが、コアなファンはいたものの、一部だけでブームとなっていたIngressに比べて、あまりにも多くの人がプレイするポケモンGOは「参加者の年齢層が幅広い」こともあり、「公共の場を荒らしたり、迷惑をかけたりする」という問題が引き起こされています。
「長崎の平和公園や、広島の平和記念公園、さらには原爆ドーム」などは慰霊の場所であるにも関わらず、本来の趣旨を忘れてゲームだけをするために訪れる人が多いことから、ポケストップやジムを削除するように運営に申請を出しています。
【神社仏閣のポケモンGOへの対応】
このような慰霊の場所はもちろんですが、日本にコンビニよりも多く存在している「神社仏閣」にもポケストップは存在しており、お寺や神社それぞれで硬軟合わせた対応をしています。出雲大社をはじめとして、比較的ポケモンGOに厳しいのは神社であり、お寺の方は受け入れていた印象があったのですが、つい最近、和歌山県にある「根来寺」がかなり厳しい声明を出して話題となりました。
その声明とは下記のようなものです。
根来寺からのお知らせです。
「ポケモンGO」の境内立入を24時間、禁止いたします
又、根来寺駐車場はお参りの方々の駐車場です
車に乗っての「ポケモンGO」も禁止いたします
根来寺は国指定の史跡で境内は禁煙です
境内で「ポケモンGO」使用、喫煙を見つけ次第、警察に通報いたします— 総本山 根來寺(根来寺) (@negoroji) July 30, 2016
根来寺は国指定の史跡であり一宗教法人の祈りの場です。
国宝・重要文化財等保護の為、境内はすべて火気厳禁となっていますが、「ポケモンGO」配信以降、タバコの吸い殻がいたる所に散乱するようになりました。大変危険です。
境内で「ポケモンGO」使用、喫煙を見つけ次第、警察に通報いたします— 総本山 根來寺(根来寺) (@negoroji) July 30, 2016
要するに、境内での「ポケモンGO」を完全に禁止し、「プレイしているところを発見次第警察に通報する」というのです。行きすぎた内容のように思えるかもしれませんが、境内はすべて火気厳禁となっているにもかかわらず、ポケモンGOのプレイヤーによって吸い殻が散乱するようになったという状況を考えると無理もない措置のように思えます。このような動きはプレイヤー数の増加と共に増え続けており、「靖国神社」をはじめとして、いくつもの神社仏閣が禁止を打ち出すようになっています。
このようなマナーの悪いプレイヤーによる問題は日本だけでなく、世界的なものとなっており、宗教施設や公園がポケモンGOのプレイヤーによって美観を破壊されたり、犯罪がおこるなど、世界的大ブームになっただけあって、問題は山積みです。
【ポケモンGOがもたらす癒し効果】
このように紹介すると問題ばかりのように思えるかもしれませんが、ポケモンGOによって「癒しがもたらされたというケース」もあります。もちろん、ゲームとして楽しむことでストレス解消されるという面もありますが、この場合の癒しには「ポケモンGOならではの要素」が関係しています。
ポケモンGOは、一般的なゲームとは異なり、「外に出て歩き回る必要」があります。そのために、前述のような問題も引き起こされているわけですが、外に出ることで「鬱症状や社会不安症が改善」したというのです。
鬱の症状が出ると、エネルギーが極端に低下し、外出はもちろん、室内で行動するのさえ難しくなりますが、ポケモンGOは、外出するための強い動機付けとなり、さらに日の光をあびて運動することによって、「精神状態がいい方向に向かっていく」のです。実際、海外のTwitterでは、「ポケモンGOによって、鬱症状が回復し、社会不安症が改善しコミュニケーション力が向上した」という声があがっています。
しかし、ポケモンGOはセラピーを目的として作られたゲームではありませんので、逆にポケモンGOをやろうとしても、居住環境などからプレイをすることができずに「鬱症状を悪化させるというケース」もありますので、治療方法として気軽に取り入れるのは考えものです。
【そこにないはずのものが現れる世界】
Ingressという前例があったとはいえ、世界的人気キャラクターである「ポケモン」を利用したことで、子供から高齢者まで多くの人にプレイされるようになった、ポケモンGO。多くの問題を抱えているのは事実ですが、スマートフォンを通して、「現実世界の上に、非日常のモンスターが現れる光景」というのは、ある意味では、とてもスピリチュアルなものといえるでしょう。
目には見えない世界と、現実世界というものの境界は想像以上に薄く、なにかのきっかけですぐに「目の前に現れるもの」ですが、ポケモンGOを通してそういった感覚が多くの人の無意識に刻み込まれることで、「テクノロジーによるスピリチュアルな目覚め」が多くの人にもたらされる可能性も充分に考えられます。
多くの問題を抱えながらも、これだけ多くの人が楽しんでいる以上、ポケモンGOというゲームが、これからなんらかの形で定着していくことは確かですので、現実社会での対応はもちろん、スピリチュアルな世界がどのように変わっていくのかも、要チェックです。
(トップ画像提供/ポケモン公式サイト)