インド生活『村上アニーシャのアーユルヴェーダ』!Vol.3

薄毛や白髪になりやすい人はこんな人!体質と髪の関係

前回では、インド女性は髪がたっぷりあるのが普通。というお話をしましたが、私は以前から、「どうして人によって髪が太かったり細かったり、多かったり少なかったりするのか。」という疑問がありました。

私自身、子供の頃から他の人たちと比べて明らかに髪が少なく細かったことから悩み、どうにかして髪の量が普通にならないものかと、美容師に相談したり、高価なシャンプーを薦められるままに使ってみたり、自然の石けんシャンプーや、よいと思えたことはとりあえず一通り挑戦してみましたが、髪は一向に太くなることも増えることもありませんでした。

薄毛や白髪になりやすい人はこんな人!
体質と髪の関係

こうして、子供の頃から抱えていた髪の悩みは解決しないままに時は経ち、解決策を探すこともほとんど忘れかけていたその頃。インドハーブとアーユルヴェーダの教えに出会い、納得できるひとつの答えを見つけることができたのです。

アーユルヴェーダでは、「ピッタ体質」(火の要素が優勢な体質)の人は、他のどの体質よりも薄毛や白髪になりやすいと考えます。この「ピッタ」とは、アーユルヴェーダでいうところのドーシャと呼ばれる三つの物理エネルギー、

「ヴァータ」(「空間」+「空気」の組み合わせ)→ 空気要素
「ピッタ」(「火」+「水」の組み合わせ)→ 火要素
「カファ」(「水」+「地」の組み合わせ)→ 地要素

のひとつです。
それぞれのドーシャの遺伝的な割合の違いこそあれ、どんな人にもこの三つのエネルギーが体内に存在しています。アーユルヴェーダでは、どの要素が遺伝的に優勢かによって、ピッタ体質、ヴァータ体質、カファ体質に分類されます。(ほとんどの人は混合タイプといわれていますが、ここでは省略します)大雑把にいえば、もし髪が薄く、乾燥し、強いクセ毛で、枝毛になりやすいならヴァータタイプ。髪が細く、時機尚早の薄毛や白髪になりやすいならピッタタイプ。そしてカファタイプなら、髪の量はもともと多く、油っぽい髪質です。

ピッタ質が優勢なタイプは、熱い火の質がそのまま体やマインドにも反映され、その「熱さ」で文字通り毛根を燃やしてしまう傾向があります。ピッタ質について少し説明すると、

特質 → 熱い、軽い、強烈、突き通す、刺激性、鋭い、酸性。
身体的な特徴 → たいてい中肉中背。頭髪が赤毛、細い傾向あり。消化力が強い。
感情的な特徴 → 強力な知性。高い集中力。熱狂しやすい。野心的など。

火2 アニーシャ

ピッタ質のバランスが取れているときは、饒舌でウィットに富み、決断力が優れるなどの特徴がありますが、バランスが崩れると、短気でイライラしやすくなり、辛辣な言葉が増え、攻撃的になりやすく、また、湿疹、胸焼け、灼熱感などの症状が出やすくなります。

体質的にただでさえ薄毛や白髪になりやすいこのピッタ体質の人たちが、ライフスタイルや食習慣からピッタを悪化させ、弱った頭皮にさらに追い討ちをかけるように、化学シャンプーやストレートパーマ剤、ヘアダイなどを使い過ぎれば、薄毛や白髪への直行便はほぼ間違いありません。ピッタ体質な私は、この悪習慣を実際にやってしまっていたことになります。もしもインドでアーユルヴェーダに出会わなけれは、今頃頭髪が残っていなくても、なんら不思議ではありません。

ドーシャという三つのエネルギーの度合いは、生活環境や外部要因からの影響により変わることがあるので、もともとピッタ体質でない人でも、安心することはできません。体のピッタエネルギーを悪化させるような環境で暮らしていれば、薄毛や白髪の原因となり得るのです。ピッタは主に、アルコールや喫煙、コーヒーや紅茶、消化の重い肉類、油であげた食べ物、酸っぱいものの摂り過ぎで増大し悪化するといわれています。こういった食べ物が習慣化してしまうと、体内の熱を過剰に生み出し、血液を通じて頭部に到達し、毛根を壊してしまうのです。

インドの女性に薄毛が少ないのは、伝統的なヘアケア方法もさることながら、社会的な背景も関係していそうです。女性はまだまだ地位が低く、結婚することではじめて社会的地位を与えられ、専業主婦として旦那や子供のために最善を尽くすことが美徳とされています。ですから、社会的な野心を抱く機会はほとんど与えられていませんし(過度の野心もまた、ピッタ悪化に繋がるりっぱな要素です)、ピッタを刺激して悪化させるようなさまざまな要素(食習慣やライフスタイル)は、日本とは比べものにならないぐらい少なく、普通に暮らしている分には、ピッタを悪化させる環境要因はあまり見当たりません。

最後に、ピッタを悪化させないための簡単なアドバイスで、
今回は閉めたいと思います。

・たくさん笑って怒りを解放する(怒りはピッタと深く繋がっています)
・暑い場所で過度の運動をしない(体熱を上げすぎないようにする)
・ピッタ質を減らす食べ物、「甘い味のもの」「苦い味のもの」「水分が
たっぷりあるもの」を食べる
・頭皮にココナッツオイルを塗る習慣(頭皮が冷えるので、毛根が燃
えづらくなります)