新・神々の履歴書 — 日本の神様の起源⑤ 隕石とは何か? 空から落ちてきた女神 — 瀬織津姫〜後編

——前編はこちら——

 

人魚は女神の眷属、黄泉の国からの使者

ビジョンを見たのは、2007年のことで、翌年「崖の上のポニョ」が公開されました。
私は公開当時その映画を見なかったのですが、クライアントさんが、「あまりに自分のみたビジョンによく似ている」といって、パンフレットをもってやってきたことを覚えています。

同じようなビジョンを同時期に複数の方が見ることはよくあります。
特に、芸術家は霊感のすぐれた方が多いので、芸術的なイメージとして、こうしたエネルギー体の語り掛けキャッチしてしまうのです。

この時期、地底からの女神の語り掛けをキャッチした人はほかにも沢山いたのではないでしょうか。
地震の前、人魚のビジョンを見た方が複数いたことを覚えてます。

後になって分かったことなのですが、人魚は女神の神使(しんし)で、冥界と地上をつなぐ竜宮城の亀のような存在でした。

 

穢れを祓う水の女神 — 瀬織津(せおりつ)姫

さて、この空から落ちてきた女神は、我々の世界で何と呼ばれているのでしょうか?
死者が大勢流れてくる地底の入り口にいて、川岸にたって、水を浄化して穢れを祓っている。
——水の女神であり、穢れを祓う浄化の女神であり、黄泉の国の女神である……これに該当する方は、瀬織津姫ではないかと思います。
この女神は、一種の埋没神で、大和朝廷が日本に渡来する以前に、日本中で祀られていたとされる女神です。

 

女神の三位一体

「え? 瀬織津姫は黄泉の国の女神なの?」そう思われる方もいるかもしれません。
瀬織津姫は、三体の女神としてあらわされます。
瀬織津(せおりつ)姫、速開都(はやあきつ)姫、速佐須良(はやはすら)姫の三神です。

瀬織津姫が、穢れを川から海へもっていき、速開都姫が、潮の集まる海にいて穢れを飲み込み、息吹戸主の神が、その穢れを地底の根の国(黄泉の国)に吹き払い、速佐須良姫が、地底で穢れを消滅させます。
この3つの女神は、別々の女神ではなく、同じ女神の三身に他なりません。

地上に現れた時は瀬織津姫、すなわち水の女神、海の中に現れた時は速開都姫、すなわち海の女神、地底に現れた時は速佐須良姫、すなわち黄泉の国の女神とよびますが、現れる場所が違うだけで、すべて同じ一つの女神なのです。

彼女の本体は地底、すなわち黄泉の国にいます。
速佐須良姫が三神の本体なのです。

その方のビジョンには、息吹戸主の神らしきものも現れたことがあります。
海底にある廃墟のような竜宮城の近くに、地底に繋がる排水溝があり、恵比寿神か布袋様のような姿の男性が排水溝の上に座っていたのでした。

 

瀬織津姫は、地上に現れた速佐須良(はやさすら)姫

「速開都姫に速佐須良姫? そんな女神きいたことないけど?」
そりゃそうです。
人間は海底や地底にいけませんから、人の目に触れるのはほとんど瀬織津姫として現れているときなのです。
女神の本体は地底にいますが、水を伝って地上にやってくることができます。
女神は、湖や泉、温泉のそばによく現れます。

地底から湧いてくる水にのってやってくるのです。
彼女がやってくるときは、どこからともなく、水音がすることがありました。
地上に現れた際の女神は、水の女神とともに、豊穣の女神でもあります。
「なぜ、貴女は豊穣の女神なの?」とビジョンの女神にたずねると、
「人間がそう呼んだ。私が歩けば作物がなる」と、答えました。
女神は、人間の存在を知っていましたが、人間にあまり興味がある風にはみえませんでした。
われわれが道を歩くとき、いちいち蟻のことを気にしないように、人間のような別次元の小さな生き物のことなど、どうでもいいのかもしれません。
ただ訴えていたのは、空に帰りたい……でした。

 

縄文時代に日本中で祀られた、速開都(はやあきつ)姫

縄文時代、正確には大和朝廷伝来以前、この女神はあちこちで祀られていました。

天橋立はもともとこの女神を祀っていたところです。
女神は、水の中の島によく祀られています。

今でも、女神が祀られているところはありますが、だいたいが弁天様とか観音様とか、適当な名前で呼ばれているようです。

女神を祀っていた天橋立にあった島は、701年の大宝大地震の際に水没したと言われています。
ですが、本当の彼女の神殿は、島ではなく海底にあります。