昔の法律家はスピリチュアルだった?

貴族たちが「大まじめに穢れについて会議をしている」というのは、現代からすると想像が出来ませんが、かつてはそれだけ「エネルギー的な影響というのが重要だった」のかもしれません。

【法律家の地位の変化】

皆さんは「法律家」というと、どういうイメージをもつでしょうか? 現代の日本では、法律に携わる職業でポピュラーなものといえば「弁護士」があります。最近では数が増えすぎて職業としては厳しいという話もありますが、一般的に考えると「エリート」というイメージがあります。同じように司法試験に合格した「検察官」や「裁判官」などは、「国家公務員」でありながら、これまた特別なイメージがあります。

しかしながら、「1500年以上前の日本」では、法律を扱う公務員というのは、地位の低い人たち、すなわち「下級貴族がつく職業」でした。当時の法律である「律令」を学んで、法律的な見解を朝廷に伝える役割をもっていた人たちを「明法家」と呼びます。これは、当時は法学が「明法道」呼ばれていたことに由来しています。

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【平安時代の法律家】

現在では、法学というのは重要な学問であり、司法試験を突破した人は前述のようにエリート扱いされるわけですが、古代では「法学は学問として認められない」という風潮がありました。これは、律令の起源である中国が、「上級貴族は律令などを学ぶ必要はない」としていたことが要因のようです。

ですので、裁判官的な役割をもっていながらも、どちらかというと判決をだすというよりも、貴族間のもめ事にたいして、仲裁をしてどちらの顔もたつように律令を解釈したりするというのが、明法家の主要な業務だったようです。当然、地位が低いので上級貴族に逆らうことはできずに、「明法勘文」という事件にたいする法律的な文章を提出することはできても、それは「法的な拘束力は存在しないもの」でした。

最終的には、このような明法勘文を出すという権力もなくなり、明法道は衰退していくのですが、その理由のひとつとして、明法勘文の作成に律令の解釈に自説をいれる、明法家が増えてきたために、「法律が成り立たなくなった」というものがあります。 vintage-old-book-document-large

 

【穢れを解釈し認定していた】

法律をさまざまに解釈するというのは、現代でも使われていますが、成り立たなくなるほど自説をいれるようになったのは、平安時代頃に行われていた明法家の「もうひとつの業務」が関係しているように思えます。

そのもうひとつの業務というのは、現代の法律家では考えられない「スピリチュアルなもの」でした。それは、「穢れを判定する」というもの。当時の貴族にとって「穢れ」というのは、非常に重要な要素でした。穢れを受けた場合には、「公務を休むのはもちろん、誰にもあわずに家に閉じこもることもあった」ぐらいです。

では、それほど恐れられる「穢れ」というのは、どのようなものだったのでしょう? 「死」やそれに関するものが穢れというのは、比較的にわかりやすく、それだけに最も強い穢れとされていましたが、より些細なことすらも穢れとして考えられていました。たとえば、「動物や火事、生理中や出産時の女性」なども穢れとされていたのです。

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【穢れのランク付けと休暇申請】

穢れは死を最上級として、それぞれ「ランクがあった」のですが、元々、「目に見えるものではない」ために、どれぐらい影響を受けたのか、そして、どれぐらい公務を休む必要があるのかを解釈して、判断するのが明法家でした。貴族たちが「大まじめに穢れについて会議をしている」というのは、現代からすると想像が出来ませんが、かつてはそれだけ「エネルギー的な影響というのが重要だった」のかもしれません。

貴族の会議だけだと結論がでないために、律令によって穢れがどのように制定されるかを元にして、現象を解釈して穢れの強さなどを明法家が決めていたわけですが、元々が非常に曖昧なものだったために、強引な解釈なども必要になっていったことが、本来の法律家としての明法家の役割を変えていってしまった可能性が高いでしょう。

現在は「エネルギーレベルでの影響や、目に見えないものが、まだまだ軽視される時代」であり、当然ながら法律の世界にそういった要素が入ってくることはありませんが、もし、現代までも明法家が残っていたとしたら、裁判所で「呪いや穢れ」が大まじめに扱われていたかもしれません。皆さんは、そういう世界と現代の世界、どちらのほうがいいと思うでしょうか?

Lawyers had a spiritual energy decision.
Law business of the 1500 before.