『養生アルカディア 凝りを巡る哲学的考察とセルフケア』vol.5

風邪の原因は凝りや疲れや冷えや乾燥なのでしょうか? いいえ、そうではありません! これがなんとヒトの鼻の中にいるライノウイルスやアデノウイルスやコロナウイルスなどの常在性のウイルスなのです!

トリニティウェブ読者の皆様、だいぶ秋らしくなってきましたね!

コロコロコロ、リーンリーン、チチチチチ、と秋の虫たちの奏でる音楽はいつ耳にしても心地良いモノです。

さて、前回のウイルス論が意外にも好評で少し気を良くしているハリィーです。

ということで、今回も少しウイルスと関連する最もありふれた病気、「風邪は万病のもと」の風邪(かぜ)を未病治する養生セルフケアについて話をしてみます。

そう、あなたもこれを読めば風邪を完璧に予防できる!   さあ、コンプリート風邪対策マニュアル、いってみましょう。

 

『普通の風邪の原因はライノウイルスなどのヒトの鼻に常在するウイルスである』

そろそろ秋風も立って、涼しい風に吹かれることも多くなってきました。

今までの夏の様子で過ごしていると、うっかり風邪を引くことも多い今日この頃。

皆様の体調はいかがでしょうか?

古来より「風邪は万病のもと」などと言われますが、この風邪の原因がいったい何なのか?
皆様はご存知でしたか?

凝りや疲れが溜まると風邪をひくこともあるし、洗った髪の毛を乾かさずに寝てしまったり、乾燥した中に長時間いたり、寝冷えをしても風邪をひきます。

では、風邪の原因はこうした凝りや疲れや冷えや乾燥なのでしょうか?

いいえ、そうではありません!

これがなんとヒトの鼻の中にいるライノウイルスやアデノウイルスやコロナウイルスなどの常在性のウイルスなのです!

つまり、凝りや疲れ、冷えや乾燥などはこの常在性ウイルスが増える要因ということであり、もしも常在性ウイルスが増えても、それに勝る免疫力があれば、風邪をひくことはありません。

 

『ヒトの免疫力はヒトの2兆個の免疫細胞による』

免疫(めんえき)という言葉がブレークして、完全に一般化して久しいです。

この免疫という言葉の原義は「疫病(えきびょう)を免(まぬか)れる」です。

疫病というと、季節性インフルエンザなどの流感をイメージしますが、普通の風邪も疫病に含めてイイと思われます。

「風邪は万病の元」ですから、風邪を制する者は万病を制するのです。

さあ、ではいったいどうしたら、風邪を完璧に封じ込めることができるのでしょうか?

それには、やはり風邪に対抗できる免疫力の確保が重要になります。

では、どうしたら風邪に対抗できる免疫力を確保できるのか?

例えばもしも、ヒトの鼻の中にいる常在性ウイルスであるライノウイルスが冷えや乾燥を好環境に爆発的に増殖したとします。

しかし、どれほどこのライノウイルスの数が増大しても、これを片っ端から見つけて、見つけしだい攻撃を加えて、数が増えないように沈静化してしまえば風邪をひくことはありません。

このウイルスの増殖に対抗して、ウイルスを攻撃する細胞を免疫細胞と言います。

そしてウイルスを攻撃する最前線において、常に大車輪のように活躍するのが2兆個のヒトの免疫細胞のうちの自然免疫を担当するマクロファージや樹状細胞たちです。

とくに、このマクロファージという免疫細胞の力を引き出すことが、免疫力の確保においてキーポイントになります。

 

『マクロファージとはギリシャ語で「なんでも食べる」という意味をもつ免疫細胞である』

古いこれまでの免疫学では、マクロファージや樹状細胞などの自然免疫系の原始的な免疫細胞は、高度なシステムを有する獲得免疫系の免疫グロブリンを産生するB細胞や、抗原を特定して攻撃できるリンパ球のT細胞などよりも、一段劣る初歩的な免疫細胞である、というくくりでした。

しかし、近年の免疫学の進展により、今やマクロファージは一躍、免疫界のスターに躍り出ました!

マクロファージはその名の通り、ただやみくもにその細胞膜を伸ばして、まるでゲームのキャラのパックマンのように、片っ端から抗原となるウイルスやバクテリアや毒物などをパクパク食べる少しお馬鹿な大食い細胞とこれまでイメージされてきました。

ところが、そのパックマンなマクロファージの細胞膜には非常に厳密に異物を認識できる優れたレセプター(受容体)が存在し、このマクロファージの細胞膜レセプターが異物の素性やウイルスのDNAなどを識別することで、そこからすべての免疫系がスタートする仕組みだったのです!

ということは、マクロファージは言ってみれば免疫システムの最前線の司令官、そう、免疫細胞を束ねるボスだったのです。

ですから、ひとことで言えば、ボス免疫のマクロファージがいつも元気ならば、免疫システムは絶好調で、私たちは風邪をひくことはないのです。

 

『マクロファージを元気にするには、温熱とネバネバが有効である』

「免疫力を上げる」というキャッチフレーズが一世を風靡しています。

これを食べると免疫力が上がる、アレをヤルと免疫が向上する、とチマタには本当に多くの免疫情報が錯綜しております。

そんななか、私が注目して、これまで実践と実験を通してたどり着いた「免疫力を上げる」本命とは?

そう、それこそが、「温熱とネバネバ」の二つだったのです!

なぜ、温熱とネバネバなのか?

ズバリ!

この二つの因子はマクロファージの細胞膜レセプターに受容されて、マクロファージをめいっぱい元気にできるのです!

温熱刺激を与えると体内の細胞からヒートショックプロテインというタンパク質が分泌されます。

このヒートショックプロテインというタンパク質がマクロファージの細胞膜で受容されると、このヒートショックプロテインを受容したマクロファージは活性型の元気なマクロファージになることがわかっています。

またネバネバした食材を摂取すると、小腸にいる腹腔マクロファージの細胞膜にこのネバネバ成分が受容されて、やはり腹腔マクロファージが活性化されます。

つまりマクロファージを元気にできる二つのアイテムである温熱刺激とネバネバ摂取を励行すれば、常に私たちの体内マクロファージは元気いっぱいなのです。

元気なマクロファージがいつも体内にいてくれれば、例えうっかりライノウイルスやアデノウイルスやコロナウイルスが増殖しても、元気なマクロファージがこれらのウイルスを攻撃して、ウイルスの増殖をすぐに沈静化して抑えられて、風邪をひくことはありません。

ねっ、これで「風邪は万病のもと」の風邪を完璧に封じ込めるでしょ!

そう、ネバネバとヒートショックプロテインを手にすれば、あなたは今日から無敵の免疫力を手に出来るのです。

これが私が提案する新しい未病治ライフスタイル、「ネバネバヒート」な生き方です!

 

『ネバネバヒートな生き方で風邪を未病治し、万病を予防しましょう』

わたしはこのネバネバヒートなライフスタイルを実践するようになって、風邪を引かない記録をかれこれもう2年間ほど更新し続けております。

マクロファージがもっとも活発に活動する時間帯はヒトが睡眠している時です。

身体を温めて熟睡することで、マクロファージは睡眠中にウイルスに罹患された細胞のみならず、劣化した細胞やガン細胞までもその細胞膜で見つけて、すべてパックマンのように食べて分解処理してくれます。

あのルネサンスの巨匠レオナルド・ダ・ヴィンチはこんな事を言っています。

「夜はフトンをよく着るように」と。

寝冷えによるマクロファージの活性低下を予防する500年前の碩学からの優れた養生アドバイスです。

あと、ひとつ。

冷たいモノの摂取を控えて、温かいモノだけを摂取するようにすると、腹腔マクロファージを常に活性化状態に保てます。

体温よりも低いような飲食物の摂取を控えるだけで、免疫細胞の60%以上が集中する小腸の腹腔マクロファージが味方につきます。

昔の人がよく言ってましたよね。

「お腹は冷やしちゃいけない」って。

免疫のトレンドはとっくに「あったかいんだから~♪」の時代です。

さて、冷気と乾燥を好環境にウイルスが喜んで増殖する秋冬期に入る前に、まことにタイムリーな記事のご提供ができました。

ハリィーがお届けした万病を未病治する養生セルフケアの決定版、ネバネバヒートなコンプリート風邪対策マニュアル、いかがだったでしょうか?

前回の記事はこちら:
『養生アルカディア 凝りを巡る哲学的考察とセルフケア』vol.4