『気と友達になるセルフケア』
トリニティウェブ読者の皆様、いつもお世話になっております。
はやいもので、凝りを哲学的に考察しつつ、養生に役立つセルフケア情報を提供するという方針で始めた本連載も前回の記事ですでに10回を数えました。
ここ4回ほど続いたハリィーのドキドキ気論は、いかがだったでしょうか?
ということで、今回は少し、軽めにラフな気分で読むことができるドキドキ気論の第五弾として、気と戯れるとっておきのセルフケアについて、論考します。
どうぞ、リラックスしてお読み下さい。
『気は酸素と必須栄養素』
中医学、いわゆる東洋医学がそれなりに体系化されたのは、今から2300年前頃とされます。
もちろん当時はまだ今のような科学はありませんでした。
ですから、今の人間から見れば、当時から使われている中医学の気の用語はそのままでは理解できません。
しかし、例えば中医学で言う肺から取りこむ宗気(そうき)は、今の科学用語に置き換えれば、酸素と呼ぶことができます。
また五臓六腑から吸収する食べ物の水穀の気(すいこくのき)は、今の科学用語では必須栄養素と呼び換えることが可能です。
肺から取りこんだ酸素と腸から吸収した必須栄養素が、血液にのって全身の60兆個の細胞に送られることで、細胞は活き活きと活動します。
つまり呼吸と食事の二つのライフ・エッセンスに注目して、呼吸と食事を上質に吟味するライフスタイルは、宗気(そうき)と水穀の気(すいこくのき)を味方につける方法と言えます。
『気は呼吸と食事』
気と友達になる方法と言うと、普通は気功法や太極拳などのエクササイズを連想する方がほとんどかと思います。
また気を感じるには、そのようなある種の修行を積むことで、その修行の結果、ようやく感じ取れるモノというイメージが一般的です。
そこへもってきて、いきなり、「気とは酸素と必須栄養素のことだよ! 」
なんて聞いた皆さんは、恐らく面食らっていることでしょうね?
でも、私なりのアヴァンギャルドな解釈では、やはり気は酸素の事を指し、必須栄養素の事を指していると考えます。
だから決して特別な修行も、特殊な功法を積むこともなく、本来は誰でも簡単に気と仲良くなれると言いたいのです。
肺(はい)やお腹(なか)を使って、思いっきり呼吸してみる。腹式でも胸式でもイイから、体内に溜まった二酸化炭素を思いっきり吐き出す。
そのかわりにめいっぱいフレッシュな酸素を身体中に行き渡らせるように吸い込んでみる。友達や家族と共に、美味しい食事をワイワイと楽しむ。新鮮な野菜や果物、お肉にお魚、なんでもござれ。
美味しい、美味しいと、みんなでニコニコ食べる。
呼吸と食事のたった二つのセルフケアに気を配るだけで、あなたの身心の気はみるみる補充されて、パワーアップします。
『気はフレンズ』
東洋医学が体系化されて2000年以上も経つと、原初の体系が何だったのか? を忘れて、随分と現代人にありがちな頭でっかちな解釈が横行します。
気というモノは大まかに、①哲学、②法則、③物質の3つの視点で捉えることが可能です。
気は宇宙を構成し、支配し、成り立たせている根源的なナニカではあります。でも、そんな高尚な気だけでなく、もっと親しみやすい気が身近にあるのです。
酸素がなければヒトはたちまち息苦しくなって、窒息してそのままいれば、絶命してしまいます。
ですから、酸素はヒトにとっては絶対に必須の気です。
食べ物を食べなくても、ある程度は生きられます。でも、普通は食べ物を食べなくて、お腹が減ると、ヒトはチカラを出すことができません。
生きるチカラ、すなわち気力です。
中医学においては、気という用語を介して、人体内の気を縦横無尽に表現した。いわく、元気、真気、先天の気、後天の気、宗気、水穀の気、衛気、栄気、臓腑経絡の気、など。
しかし、これらをシンプルに整理してみると、ヒトはやはり、酸素と必須栄養素の、宗気と水穀の気によって養われる存在だ、と言えます。
スーッと酸素をめいっぱい肺に吸い込むとき。美味しい食べ物を食べて「ア~旨い!」と声をあげる時。その瞬間、ヒトは天地の気と融合し、宇宙と同化しているのです。
天人合一(てんじんごういつ)。
ヒトはいつも、天地とつながった存在です。気を難しく捉える必要なんてまったくありません。ただ呼吸を楽しみ、ただ食事を楽しみ、ただ生きることを活き活きと楽しむ時。
そう、ありのままの自分を生きる時。
ヒトは天地宇宙の気と同化し、気としっかりとつながるのです。
気は今この瞬間も、あなたを見守り、あなたを育て、あなたを導く、最良のフレンズです!