ここからは私の仮説なのですが、お祭りに七味唐辛子の屋台があるのは、この名残というか、このようなところから派生した文化なのかなと思います。元々の日本的なお祭りというのは、商業的な今でいう『フェス』という感覚とは若干異なり、感謝、祈り、慰霊などの言うなれば宗教的な意味合いがありました。そう考えると、健康祈願的意味合いで七味唐辛子が売っていてもしっくりくる気がします。
薬研堀から始まった七味とうがらしの歴史は、このように日本各地に広まり、それぞれの地域の食文化を映しながら、日本を代表するミックススパイスになりました。今では、蕎麦にかけるだけではなく用途も広がっていますよね。
ちなみに「しちみ」と呼んでいるのは京都からの影響だそうです。関東では元々、「七色唐辛子」 と呼んでいたそうですよ。
七味唐辛子の味は地域によって様々！？
七味とうがらしには、主となる唐辛子の他に、山椒やゴマ、シソや柚子、青のり、ケシの実、麻の実など、地域やお店によって使われる薬味や唐辛子が異なるようです。
一般的には、関東は唐辛子の割合が高く、関西は山椒などといった香りが強い薬味が多く用いられているようです。
屋台で売っている七味唐辛子は、市販のモノではなく屋台のおじさん（マスター？）がオリジナルでブレンドして売っている事が多いです。そこがまたこだわりがあって楽しいところでもあります。
風邪におススメ！？ 七味唐辛子の効能
七味唐辛子は地域やお店によって、配合が異なります。ここでは七味唐辛子に配合されている代表的な薬味４種類をご紹介します。
唐辛子
何といっても、唐辛子は七味唐辛子に欠かせない花形役者！ 辛さの決め手となるものです。
唐辛子に含まれているカプサイシンには唾液や胃液の分泌を促し、食欲を増進させる作用があります。アドレナリン分泌促進作用もあるため、新陳代謝を高め、身体を温めてくれます。また、血行を良くし、脂肪を燃焼してくれるので、ダイエットや成人病の防止にも効果的です。
更に、抗酸化作用が高く、老化防止にも効果的です。免疫力の向上や殺菌作用なども期待できます。
山椒
山椒の辛味成分はサンショールと言います。唐辛子や胡椒の辛味成分と同じ種類です。
独特の痺れる辛さと香りがポイントです。麻婆豆腐の味を左右するスパイスでもあります。
健胃、整腸、解毒、利尿、消炎効果が期待できます。また、魚の生臭みを取るので、鰻に山椒をかけて食べるのは理にかなった組み合わせなのです。
陳皮
文字だけ見ると、さっぱり意味がわかりませんが、陳皮とは蜜柑の果皮を乾燥したものです。蜜柑の皮と言うとゴミのイメージが強いですが、必ずしもゴミではないのです。血圧降下作用もあり、漢方では芳香性健胃、鎮咳薬として処方されることもあります。食欲不振、嘔吐、疼痛などに対しても効果があります。そう考えると、たかが蜜柑の皮ですが大切な資源だなと痛感します。
ケシ
ケシ（芥子）には鉄分が多く含まれているので、貧血予防に効果的です。カルシウムも豊富に含まれているので、骨粗鬆症の予防にも有効です。他にもコレステロールを下げたり、肌荒れやお肌の調子を整えてくれたりします。美容に最適ですね。
その他
他にも、七味唐辛子の原料はたくさんあって、実は全部で7種類というわけではありません。
繰り返しになりますが、作り手によって個性が大きく出ます。また、オーダーメイドで売っているお店もあるので、その人その人によって症状や好みに合わせて調合が変わったりもします。
「とりあえずラッキーセブンということで……」と、ゲンを担いで七味にしたわけではないと思いますが、縁起は良さそうです。ただ、昔から厄除けに七色の物を身につける風習があったようです。また、七種や七色は厄を落とすという言い伝えもありますので、昔からラッキーセブンとは言わなくても七は縁起の良い数字だったようですね。
ちなみに、六味だと「無味」、八味だと「蜂味」となってしまい、美味しくなさそうなイメージになってしまうので七味が無難なのではないかということで……という話もあります。ここまで来るともはや歴史と言うより都市伝説ですが、信じるか信じないかは、あなた次第です！
私は見たことがないのですが、七味唐辛子には売り口上があって専門分野（大道芸）として成り立っているという噂も聞いたことがあります。『ガマの油売り』なら聞いたことがありますが、七味唐辛子の売り口上もなかなか興味深いです。あの手の芸は、見ていてとても楽しいですものね！
お祭りでも、やっているところ、ないかな。知っている人がいたら、ぜひ、こっそり教えて下さいね。
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