【乙女座編2】モッくまくんのはれんちギリシャ神話分析 ~『闇』を手の中に含む乙女~

乙女座

こんにちは!
占星術家・セラピストの木星です。

前回の【乙女座神話1】では
「母が与えた獅子座の闇を
今度は父が洗練させて、娘に与えている」
そんなお話をしました。

「闇を洗練させるってどういうこと?」
「ヒドラの毒が、今度は何に姿を変えて
登場してる?」
そんなハテナを持った読者さんも
多いと思うんですよね。

その辺りを回答するために
神話をもう一つご紹介しましょう。

 

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ナルキッソスと水仙

美少年ナルキッソスは
その美貌から多くの人々や妖精に
求愛されておりました。

ところが自らの美しさに
おごっていたナルキッソスは
近づいてくる人々に冷淡で
情けを知りませんでした。

そんなナルキッソスの様子は
神の怒りを買い……。
やがて森深くへと、いざなわれます。
こんこんと湧き出る泉に
たどり着いたナルキッソス。
水を飲もうとその泉を覗き込みました。

するとどうでしょう。
そこにはかつて見たことも無いほど
美しい少年が居るではありませんか。
その姿は本当は、水面に映った
自分自身だったのですが……
一目で恋に落ちたナルキッソス。

乙女座

口づけをしようと水面に顔を寄せ、
その拍子に泉へ転げ落ちると、
そのまま死んでしまいました。

後に泉の周りには水仙の花が咲いたと言います。

 

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乙女座

モッくま
「ふーむ。
ナルキッソスの神話ですね。
となると『ヒドラの毒』が姿を変え登場した
ものって、コレーが摘んだ『水仙』ですか?」

木 星
「その通り」

モッくま
「ヒドラの毒 = 水仙
かあ……。なんだかピンときませんねえ
『闇』と言うには水仙は、美しすぎるでしょ?」

木 星
「言ったでしょ?『闇を洗練させた』って。

ナルキッソスの物語に出てくる水仙は
『自らを映す鏡』を象徴してる。

水仙って水辺に咲く花。
そして花弁の造形は曲線ではなく
面を成していて……その形状は鏡に
似てるでしょ?」

モッくま
「まあ、言われてみれば」

木 星
「ナルキッソスは

心の内側を見つめる = 内観

を怠った。
そのために『闇も光も己自身である』と言う
本質を見失い、闇に呑まれてしまったの。
死というカタチでね。

その後に、泉の傍らに咲き続ける水仙は
一種の注意喚起ね」

モッくま
「つまり『水仙』は
『内観』とか『心の鏡』とかを
象徴していると……?」

木 星
「そう。獅子座神話では
母が残した『闇』は
子(ヘラクレス)にはあまりに強すぎた。
それは狂気となり、死となって
輝く獅子座の背後につきまとった。

けれど乙女座では、父によって
『闇』は手のひらサイズの手鏡に変わる」

モッくま
「触れただけで死んでしまう
ヒドラの毒は
実際に多くの不慮の事故を招いたけれど……。
鏡の中に納まった闇は、
コントロール可能な印象を与えますね」

木 星
「それが『洗練』と言うことよ。

獅子座が時に制御不能な
孤独感や自信喪失に襲われる一方で
乙女座は
その闇を『内観』と言う形で
見つめ、観察し、コントロールする力を持つ」

モッくま
「『自我』に溺れて独りよがりになって
しまった、行き過ぎた獅子座を
乙女座では内観・観察に導いている
とも読めますね。でも……」

木 星
「なあに?」

モッくま
「コレーは水仙を摘もうとした瞬間、
冥府の神ハーデスに
さらわれていますよね?
これって『闇に呑まれた』とも
解釈できませんか?」

木 星
「確かにコレーは冥府へ落ちた。
けれど彼女は狂っていないし
自分を見失ってもいない。

何より冥府の神ハーデスは
コレーを妻として丁重に迎えている。

これは乙女座が自らの闇に呑まれず、
その主(あるじ)となるポテンシャルを
示しているのよ」

モッくま
「乙女座さんと言えば、
分析的で、物事の短所や細かい問題点に
すぐ気づくと言われていますが……。
これが『闇』を観察する力と
言えるのでしょうか」

木 星
「そうね。
闇をどこまでも掌握(しょうあく)する力。
冥府の王の妻ですもの。その力は並ではない」

モッくま
「乙女座さんと言えば、
自分を後回しにしやすいとか
慎重すぎるとか。
そんな面が強調されたりもしますが……」

木 星
「確かに。でもそうした一面も神話に
ちゃんと描かれていて、そして注意すべき点も
記されてるの」

モッくま
「なるほど。次回はその辺り
詳しくお願いいたしま~す!」

木 星
「自分の生まれた瞬間の
星の配置(ホロスコープ)を知りたい人はこちら。
http://moccuma.net/wp-content/plugins/horoscope/

モッくま
「それではまた次回~」

 

著:占星術家・木星
神話の絵:eARTh yukiyo

 

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