「朝は子供の食事も作るし早く起きるんです。決してサボっているわけでもないし、体にもとても気を使っています。」というA子さんはとても上品そうなスレンダーな女性だ。
主訴は若い頃に比べると格段にやる気がでないということ。
しかし、明らかな疾患はないとのこと。
「そうですか。朝はどんなものを食べるの?」と川嶋先生。
「えぇ、気を使って朝粥などにしているんです」
「うーん、それは消化のため?」
「そうです」
「では、その後はどうされるの」
「その後はしっかりと家事をしますよ。ランチは遅めで2時くらい。割と軽めですね。昨日の食事の食べ残しとか、子供たちのお弁当の残りとか」
「うん、それから?」
なんとなくのダラダラが実は致命的に眠れなくなる理由だった⁉︎
「大体午前中に家事は終わるので、午後は買い物位かしら」
「買い物の前後は何をしているの?」
「本を読んだりテレビを見たりとか、お昼寝したりとか」
「昼寝ってどのくらい?」
「30分くらいでしょうか? もう少し寝るときもあります。なんだか夜が遅くなっちゃってお昼が眠いんです」
「何時くらいに寝るんですか?」
「深夜の1時か2時くらいでしょうか」
「どうしてそんなに遅くなるんですか?」
「子供が寝るのを確認してから寝るんです」
「それって必要?」
「はい大事です。私にとって娘はとても大切なので」
「わかりました。ではズバリ言いますね。まず、娘さんが大事ならば早く寝ましょう。だってそうでしょう。お母さんが元気な方がいいじゃないですか? 娘さんはお母さんが自分が寝るのを見届けてくれることを期待していますか?」
「いいえ、娘ももう高校生ですから」
戦前でも咀嚼は1,500回。あなたは1日に何回噛んでいますか?
「そしてね、お粥は決して消化には良くないの。噛まないでしょ。噛むことが健康にはとても大事なんですね。朝、しっかりと噛んで唾液を出す、刺激で脳を目覚めさせる。縄文時代、人間は4,000回以上噛んでいたと言われています。戦前でも1,500回位だそうですよ。それに比べて、現代人は600回位と言われています。それに比べても少なくないですか?」
「私、全然噛んでいません。1日に300回とかくらいでしょうか?」
「そうですか。じゃ、噛み応えのあるものを食べることにしましょう。それから、お昼に体を動かさないと夜は眠くなりませんよ。お昼は交感神経が優位であるようにすべきなんです。でも、ソファでゴロゴロしていたりするために副交感神経が優位になってしまうわけです。お昼に体をしっかりと動かしてください。体を動かすのはあくまでも患者さんなんです。でも、僕は1駅でも2駅でも少し息切れする位に歩いてくださいとアドバイスしているんです。走らなくてもいいんです。体を動かすこと約束できますか? 自分の健康のためですよ。」
お風呂は38度くらいで30分くらいゆっくりと!
「お風呂ってどうなさっていますか? 何度くらいで入っていますか?」
「何度って考えたこともないですが、入る時間は10分くらいでしょうか?」
「ぬるめのお湯だとね、じっくりと浸かりたくなるんですね。もしかしたら、41度くらいで入っているかもしれません。体が温まるということはとても健康にとって大切なんです。ましてや、夜に入るお風呂はぬるめでじっくりと。そうすると、夜寝るモードに体のスイッチが切り替わっていくんです。夜寝る前に熱いお風呂に入れば、交感神経が優位になり、お昼モードになっちゃうんです。ね、このお風呂の入り方もすぐにできることですよね。」
「体に良いと思ってやっていることもこうしてチェックをしていくと少しずつ改善するだけでも、とても体のリズムが整うんです。まずはやってみましょう」
朝早起きでお昼寝して夜は深夜族。
余計な脂肪もついていないけれど、なんだか体が重い。
そんな方はアドバイスを実行してみませんか?
薬や注射を使わなくても自分が変わるだけで体調が変わる。
それって日本の経済も助けることになるんですよ。
川嶋先生からのお知らせ
第21回日本統合医療学会
http://jointconference2017.net/
川嶋朗(かわしまあきら)プロフィール
第21回日本統合医療学会 大会長。
現職は、東京有明医療大学 保健医療学部鍼灸学科 教授。
北海道大学 医学部医学科卒業、ハーバード大学医学部マサチューセッツ総合病院留学。
東京女子医科大学附属青山女性・自然医療研究所自然医療部門 助教授を経て現職に至る。
西洋医学の分野では、腎臓病、膠原病、高血圧などが専門だが、東洋医学にも精通し、気功、ホメオパシーなどを取り入れた統合医療の先駆者。