日本人の基盤的プラクリティから見えてくる、欧米人との食事とライフスタイルの違いとは?

どうして日本人と欧米人の間に平均平熱の違いがあるかというと、血液の比重が違うからだと言われています。欧米人のほうが赤血球の数が多いらしいのです。

 

■国によって平熱に差がある

アーユルヴェディックコンサルテーションを数多く行ってきて気づくことがあります。手足の冷えを訴える女性が多いことです。当校には「オイルトリートメント専門家養成コース」がありますが、施術の練習中に手がまったく温まらない生徒さんもいます。

私はかつて外資系企業に勤めていましたが、夏になると日本人女性社員と外国人男性社員の間でクーラーバトルが繰り広げられていました。暑がる外国人男性社員は空調の温度をもっと下げるように訴え、手足が冷える日本人女性社員は寒すぎると訴えるのです。ほかの例からも日本人と西洋人の体温感覚の違いがみられます。

日本人女性は妊娠5か月目から腹帯をします。胎児を守るためと、おなかの冷えを予防するためです。一方、西洋人の女性は出産間近になっても平気でヘソだしルックで外出します。

この違いはどこから来るのでしょうか。
現在の日本人の平均平熱は36度前後と言われています。50年前の平均平熱は36.9度くらいだったそうなので、大幅に下がっています。これに対してアメリカ人の平均平熱は37度前後だと言われています。アメリカ人といってもルーツはさまざまなので、ここでは欧米白人としましょう。

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どうして日本人と欧米人の間に平均平熱の違いがあるかというと、血液の比重が違うからだと言われています。欧米人のほうが赤血球の数が多いらしいのです。赤血球が多い分、血液の比重も重くなるのだそうです。

 

■ピッタの欧米人とカファの日本人

血液の比重と体温はどう関係しているのでしょうか? アーユルヴェーダ的にみると、血液はピッタの「ハウス」です。ピッタは火の質です。ピッタが多いと、そのハウスである血液も火の質が高まり、火の質が多い血液が体を巡ることによって体温が上昇するのです。

一方、体温が相対的に低い日本人の基盤的プラクリティはカファだと言われています。プラクリティとは生まれたときに決まる体質のことです。

もちろん、個々人のプラクリティは人によって違います。ヴァータ体質の人もいれば、ピッタ体質の人、カファ体質の人もいます。しかし、日本人全体の基盤的なプラクリティはカファです。欧米人ほど筋肉質ではなく、どちらかと言うとポチャポチャしています。欧米人のように矢を射ぬく感じで理論的に話す人も相対的に少ないように思われます。

日本人は比較的性格が穏やかで、変化が苦手です。どこからみてもカファです。カファは冷たい質なので、平均平熱も欧米人より低いのかもしれません。

 

■カファを健康にしてオジャスを高めよう

日本人の基盤的プラクリティはカファだと思われますが、それにもかかわらず昔の日本人は平均平熱が37度近くありました。日常生活の中で体を動かすことが多かったし、醤油、味噌、根菜類、そばなど温性の食べ物が食事の中心だったからだと思われます。37度はベストな平熱だと言われています。消化力が適切に高まり、オジャスを増やし、アーマの蓄積を防ぐのです。体の生命力とも免疫力とも言われるオジャスはカファの精髄です。

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ところが現代の日本人は平均平熱が36度近くまで下がっています。その要因は下記のようにいろいろあります。

1. 筋肉量の低下
2. 冷暖房などが整っている住環境
3. 運動不足
4. 過度のストレス
5. 食習慣の乱れ、冷たい食べ物や飲み物の過剰摂取

36度まで体温が下がると消化力が低下し、カファの精髄であるオジャスが減り、アーマが形成されます。オジャスつまり免疫力が減少すると、いろいろな病気に罹りやすくなります。日本人の二人に一人は生涯のうちに1度はがんに罹患すると言われています。「1度は」というのは治る人もたくさんいるからです。高罹患率の要因の一つは「体温低下→オジャス低下→アーマ蓄積」だろうと考えられます。基盤的プラクリティがカファの私たちは、平熱を上げてオジャスを増やすことが病気予防の第一歩です。そのために次のことを心がけましょう。

1. 運動をして筋肉をつける。
2. サトヴィックな温性の食品を積極的に食べる。
3. ジャンキーなものを食べない。
4. 生野菜や冷たい飲み物を摂りすぎない。氷入りの飲み物は禁物。
5. ストレスを緩和するために呼吸法や瞑想を定期的に行う。
6. 湯船につかる。足湯をする。
7.素足を避ける。

ただし気をつけることがあります。日本人の基盤的プラクリティはカファですが、個人レベルではピッタ体質やヴィクリティがピッタの人もいます。ヴィクリティとはドーシャが乱れた状態をいいます。こういう人は温性のものばかり食べるのはよくありません。さらにピッタを増やすからです。この点を判断するのはむずかしいので、アーユルヴェディックコンサルテーションの専門家がいるのです。

 

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