日本にもあったハロウィンっぽい行事

ハロウィンは日本では「お正月」が近いものといえるかもしれません。また、スピリチュアルな視点からみると、ハロウィンは「あの世とこの世の境目が曖昧になる」といわれています。つまり、すでに亡くなった人とのコミュニケーションをとることができる特別な日なのです。

街中はすでに「ハロウィンムード」が漂っています。最近ではクリスマス前の一大イベントとして確立した感じもあるハロウィンですが、日本にも古来からハロウィンのような行事があったことをご存じでしょうか?

そもそも、ハロウィンの成り立ち自体が意外と日本では知られていません。どちらかというと、仮装をして馬鹿騒ぎをするという面ばかりが取り上げられがちですが、本来は「スピリチュアルな自然崇拝の日」だったのです。

 

【ハロウィンの起源は古代ケルト】

古代ケルト人は、現在の「11月1日を新年」としていました。その新年の始まりを祝うための「感謝祭」を前日から行っていたものが「サーウィン」。

ケルト人は歴史などを文字で記録するという文化がなかったために、いつ頃からこのようなお祭りが行われていたのかは、はっきりとしていません。しかし、考古学者の研究の結果、少なくとも「2000年以上前」から行われていただろうといわれています。このサーウィンがハロウィンの起源なのです。

本来のサーウィンでは、「家畜の皮を剥いで、その皮を身につけて儀式を行った」といわれています。

動物の霊と一体化し感謝するための儀式と、死者や霊と同化し悪いものを寄せ付けないようにするための仮装が、いつしかひとつのものとなり、感謝祭の要素がなくなったものが、現在の「ハロウィンの仮装」なのです。

 

【ハロウィン=お正月?】

このように考えると、ハロウィンは日本では「お正月」が近いものといえるかもしれません。

また、スピリチュアルな視点からみると、ハロウィンは「あの世とこの世の境目が曖昧になるといわれています。

つまり、すでに亡くなった人とのコミュニケーションをとることができる特別な日なのです。

 

【ハロウィン=お盆?】

日本にもこのような、あの世とこの世が曖昧になる日があります。それは、「お盆」。

ご先祖様が戻ってくる日として、今でも大切にされていますが、西洋でのハロウィンは、お盆と同じような意味ももっているわけです。

 

【日本にもあったトリックオアトリート】

さらに、ハロウィンといえば、子供たちが家々を訪ね歩いて「トリックオアトリート」といって、お菓子をねだるというのも有名ですが、このような行事も日本には存在しています。

まずは、季節的にハロウィンのちょっと前、9月末の「中秋の名月」、いわゆる「十五夜」に行われていた「お月見どろぼう」です。

こちらは、この日だけは、「人の畑に植わっている芋を取って良い」という風習がはじまりとなったものだといわれています。それが時代と共に変化してきて、子供たちが家々をまわって、「お月見のお供えを盗む」というような行事に変わっていきました。

その結果、子供たちは月からの使者であり、首尾良く「お供えを盗られたならば、翌年はいいことがある」という縁起担ぎが生まれました。そうなると、お供えする方も、子供たちがお団子を盗みやすいようにと、縁側の盗りやすい位置に配置するなどして、なるべくお供えを盗んで貰えるようにしたのです。

一部の地域では、まだこの風習は残っていますが、さすがに、何も言わずに盗むというのはまずいということもあり、「お月見くださ~い」「お月見どろぼうで~す」といったかけ声をかけながら、子供たちが家々をまわって、お菓子やお団子を貰うようになっているようです。

 

【感謝祭とトリックオアトリート】

次に行われるのが、ハロウィンの後になる11月下旬頃に行われる「十日夜(とおかんや)」。

こちらは、稲の刈り取りが終了したことを感謝する、いわば【感謝祭】なのですが、その時に「稲刈り後の藁を束ねて、子供たちが、地面を叩きながら村を歩き回ります」。この行為は、「地面に霊力を与えて次の豊作を祈る」とともに、モグラを追い払うという意味もあるとされています。

生命力にあふれた子供によって害獣を避けて、来年の実りをもたらすパワーを地面に与えるこの行事は重要なものとされており、人々は子供たちを歓迎して地面を叩いて貰って、そのお礼として「お菓子やお小遣いをあげていた」のです。

 

【狐面の仮装でトリックオアトリート】

最後に年が明けてから、2月の初午の日には、「いなりまんねんこ」という行事があります。

こちらは、「稲荷万年講」と書きますが、通常のお稲荷さんを祀る稲荷講とは、ちょっと異なっており、一部地域で行われる風習となります。子供が「きつねのお面をかぶって」、歌を歌いながら、家々をまわってお菓子を貰うというのです。

歌の意味がちょっとわかりにくい上に、成立もはっきりとしていないのですが、仮装をして家々をまわって、お菓子を貰うという意味では一番ハロウィンに近いかもしれません。

 

このように見てくると、はっきりとした四季があり、その折々でさまざまな神々や精霊に感謝を捧げるお祭りを行ってきた日本では、ハロウィンのような行事もある意味では普通のものだったのかもしれません。

最近のハロウィンは、オバケの仮装ではなく、芸能人やアニメキャラクターのコスプレなど、とにかく仮装さえすればなんでもありといった雰囲気ですが、元々のハロウィンは「西洋のお正月やお盆であった」ことを考えて、少なくとも死者や霊に関する仮装にして、異界と現世が近くなっている時期であるということを、しっかりと意識して過ごしたいものです。

 

Halloween of origin.
Japanese Halloween.

前回の記事:1000年以上も続く、今なお皇室で行われている魔除けとは?