癌になった時、どう受け止めたらいいの? どこまで戦うの? すべては「心の治癒力」が肝心となります。黒丸尊治Dr.

ガン告知の受け止め方、取り組み方、大切な人を亡くした時の乗り越え方。共通するのは「心の治癒力です」

「私が癌!? どう戦うの?」「大切な人を亡くして立ち直れない……」。突如 癌という大きな壁が現れたとき、果たして私たちは強い意志を示し、立ち向かうことができるのでしょうか?
そんな時、癌に対する強い心の持ち方を教えてくれるのが“黒丸尊治”先生。「希望」が持てる緩和医療をモットーに、日々の臨床に取りくむ名医に「心の治癒力」の大切さを聞いてみました。
黒丸先生は癒しフェア in OSAKA 2015でもご講演されます。

ガン告知の受け止め方、取り組み方、
大切な人を亡くした時の乗り越え方。

共通するのは「心の治癒力です」

黒丸先生 Interview
Question1:
がんになってしまったら、どう受け止めたらいいですか?
最初は落ち込むし、誰かに相談もするでしょう。しかし、1カ月位したら落ち着いてくる方が大半です。つながりや関わりのある人や物、気持ちを落ち着かせてモチベーションを上げてくれる何かが、必ずどこかの時点で現れますから。その後、自分の進みたい「方向性」が見えたら楽になります。じたばたするのもその人には必要な心の過程。がんと向き合い、心を癒す大切な時間です。自分で問題を解決し、乗り越えていく力、つまり「心の治癒力」が発揮される時を待ちましょう。

スクリーンショット 2015-02-02 10.58.54Question2:
徹底的にがんと闘う方が、人生の満足度は高いのでしょうか。
その人の主観によりますよね。西洋医学を重視する人なら最先端治療を徹底的にやるのが満足でしょうし、自然に任せる、一人で静かに過ごすことが満足だと思う人もいる……。あくまで主観の世界ですから一般的な枠にあてはめず「こうしたいという生き方が得られたかどうか、現実を受け入れ、今の自分でOKだと言えるかどうか」、それが満足度を測るものさしになるのではないでしょうか。すべてはその人の感じ方、主観です。決してマニュアルに当てはまるものではありません。

Question3:
大切な人をなくした時、その現実をどう受け止めたらいい?
立ち直らなきゃ、と思うと不自然な流れが起こります。
くよくよしても構わない。くよくよしつつも気が晴れることを少しずつ同時並行でやってみる。その過程のなかで、気付いたら気持ちが楽になっていることがわかるでしょう。どうぞ、自分の感情を自分で操作しようと思わないでください。自然の流れに任せておいて、それ以外のことにも意識を向けてみる。
すると、四六時中悲しみがこびりついていることは無くなるはずですから。それもまた人間が持つ「心の治癒力」です。

黒丸先生黒丸尊治先生プロフィール:
信州大学医学部卒。2002年11月より彦根市立病院緩和ケア科部長。「希望」が持てる緩和医療をモットーに日々の臨床に取り組んでいる。著書「緩和医療と心の治癒力」(築地書館)など。彦根市立病院緩和ケア科部長

 

TRINITY50号より