【鼻毛のサインはスサノオのサイン】
毛の話ばかりで恐縮ですが。
「カールおじさんのひげ」がセント=ジャーメイン、「揃った鼻下のひげ」がセラピスベイのサインならば、「鼻毛」はスサノオです。私の場合。
危険個所のアラーム、場の浄化宣言、「スサゆかりの場所すぐそば」的なお知らせ、「それ自分いきますんで」という立候補、「超重要事項それ」などなど。
そんな時に、いきなり鼻毛が伸びる。
かきむしりたくなるほどに。
しかも両鼻。
(注・感覚として伸びているので、実際に鼻毛が伸びているわけではない)
【触覚感覚の衝撃】
今日は都内へ車で出かける予定、という日。
先輩霊能者りえちゃんを車で迎えに行く途中、背後に気配を感じた。
なにか大きな太い柱のようなものが二本、車にまたがっているような。
「なんだこれ?」
イメージをもう少し具体的に視ようとしたその時だ。
もさもさっ
もさもさもさっ
え? すね毛? すねがかゆい。
明らかにこれ、すね毛だよね?
運転中で危ないが、脱毛処理が甘かったわけではあるまい、と、自分のすねを触ってみる。
うん、生えていない。
すると、車にまたがっているもののイメージがより鮮明になってきた。
ん? 柱じゃないねこれ。
人の足だ。
巨大な足が、私の車にまたがって一緒に進んでる……。
これ、こいつのすね毛だったのかっ!
何が何やらわからないまま、すね毛の足と共に待ち合わせ場所へと車を走らせた。
【確証を得られないすね毛・鼻毛の主】
こういうのはりえちゃんに聞くに限る。
あと、陰陽師ますじ。
ますじのバックには阿弥陀如来がついているから間違いない。
えーと、まずはりえちゃんだ。
「すね毛の足が車にまたがっています」
一般的には頭のおかしい人の会話に聞こえてしまうだろうが、事実なのだから仕方ない。
そのまんまを伝えてみた。
すると、そんな私をまるごと包み込むようなあたたかなまなざしでりえちゃんはこう言った。
「もっと深くリーディングして」
ですよね~。
はい、深く。
その瞬間だった。
もさもさっ
もさもさもさっ
ん? 鼻毛? 鼻の穴がかゆい。
明らかにこれ、鼻毛だよね?
鼻毛の処理も甘かったわけではあるまい。鼻をもぞもぞ触ってみる。うん、伸びてない。
「なにしてんの、みぽ」
「や、鼻毛が伸びたみたい。放射状に鼻からはみ出ちゃってるみたいな感じ。なんだろ、これ?」
深くリーディングしたはいいが確証を得られないまま、私たちは都内へ出かけたのだった。
【点と点が繋がって】
なぜそういうことになったのかは今もってまったく謎なのだが、その日私たちは用事を済ませた後、都内のとある神社へ向かった。
不穏な空気の漂うその神社は、もともとそこにあったふたつの神社を別の場所に移転させてまで作った神社であった。
それまでどうして気づかなかったのか、そこは、車で横を通り過ぎるたびにいつもひどい頭痛に襲われるという場所だった。
あ~、この神社に反応していたのかぁ……と、妙に納得しつつ、なんだかわからないけどすごくやる気になっている私にまたがる巨大なすね毛の足の主。鼻毛はますますぼうぼうだ。
「りえちゃん、なんかこの鼻毛の人、すごいやる気になってるけど」
「ん? まじか。縁のある方なのかもね」
移転された神社のうちのひとつは、氷川神社だった。
昔埼玉にある氷川神社に行った時、ひどい頭痛と吐き気に襲われて、気を失いそうになったっけな。
神社を出たとたん、調子が元に戻ったけど。
思い出したとたんだった。
鼻毛マックス。
「りえちゃん?」
今自分が思い起こしたことと鼻毛マックスな状態を伝えると、りえちゃんはにやにやしながらこう言った。
「スサノオか」
誰。
なんで。
【毎日を、スサノオと共に】
氷川神社のご祭神がスサノオなのだということを、りえちゃんは教えてくれた。
「みぽ、スサノオは、伊弉諾尊(イザナギノミコト)が禊祓(みそぎはらえ)をした際に生まれた神様なんだけど、伊弉諾尊の左目から生まれたのがアマテラス、右目がツクヨミ。んで、スサノオは鼻から生まれたの(笑)」
え。
だから鼻毛?
新しい。
なんて思いつつ、後日、りえちゃんと一緒に、スサノオたちの姿を描きおこしたりして、神様たちに親しんだ。
鼻毛の伸びる生活は今もなお、続いている。
鼻毛、それは私の信仰心の証。
鼻毛、それは私が天命に生きることの証。
真剣な姿勢であるにも関わらず、「鼻毛」というだけでどうもふざけた感じになってしまうのはなぜなんだろうか。
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