☆正しく糠床を見る、ということ。美味しい糠漬け糠床を作る心構えとは

ありのまま糠床をみれば、「美味しさや不味さなど、彼ら(菌や微生物)の知った事ではない」、という事です。

☆正しく糠床を見る、ということ。

これまで糠漬けや糠床の話をしてきましたが、実はこれが美味しい糠漬け糠床を作る心構え、となっています。
糠漬けを作るプロセスなんかを心の動きと合わせて見てみると、まず「美味しい糠漬けを作りたい」という思いが沸いて、次に「糠床を作るための知識」を得ます。

そして実際に「糠床を作る」という行為になります。

それで作ってみて「あ~不味い」とか「美味い」とか、結果になってくるわけですね。
不味いとか美味い、というのは結果の部分で、不味いか美味いか、というのを決定づける物は、結果よりその前の段階、原因の部分ですね。

とりわけ、知識と行動、この部分が美味いか不味いかを決める、という事になってきます。
これを一言でいうなら「経験」「感覚」です。
そして美味い糠漬け、糠床を作るために、正しい知識と正しい行動、が必要になってくる、というわけです。

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糠床をありのままみると、そこに美味しい糠床、糠漬けなど存在しません。
美味い不味いを決めるのは人間の感覚なので、実際糠床には美味い不味いを作る要素はないのです。
出来た糠漬けに関して、人間が食べるという事においては、不味いものを無理やり食べる、というのは心身共に良くありませんから、当然美味しい物を食べるという選択になってきます。

ですので、美味しい糠床、糠漬けを作るなら、ありのまま糠床を見て、人間が美味しいと思えるような糠漬けを作る糠床を作る、というよりも「仕向ける」必要があります。

 

☆「作る」ではなく「仕向ける」

糠漬けを作っているのは菌や微生物である、というのは前回書きましたが、美味しい糠床を作る時に、正しく糠床を見れば、そこに美味しい糠漬けを作ろうという菌や微生物は「居ない」というのが解ります。
彼らは何も人間の美味しい糠漬けを作るために糠床に生きているわけではないのです。

という事は、糠床に野菜を入れても、美味しくなるとかならないとか、そんなものは糠床の知った事でなく、人間が美味しいと思う菌や微生物の働きがある場合に限り、美味しい糠漬けが出来る、というのが正しい見方です。
ありのまま糠床をみれば、「美味しさや不味さなど、彼ら(菌や微生物)の知った事ではない」、という事です。

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そんな一見非情とも取れる彼らに、どうやって私たち人間が美味しいと思える糠漬けを作って貰うか。
因果の法則を逆から見れば、結果を美味しい糠漬けにするなら、原因を美味しい糠漬けが出来るもの、にすればいいのです。
この原因の部分に全てがかかっていますが、前途したように「作る感覚」糠床は出来ていませんので、人間側から見ると「仕向ける」という事が重要になってきます。

これが人間が食べて美味しいと思える糠漬けが出来る原因になる、という事になります。

次回は具体的にその仕向け方をご紹介します。

 

京都で創業明治5年の漬物屋「井上漬物店」
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