一宮千桃のセンスアップ☆シネマレビューPART.304「嵐が丘」

嵐吹き荒れる丘での濃密愛憎劇
時代を超えて魅了するラブ・ストーリー!!

エミリー・ブロンテの「嵐が丘」は何度も映画化されているけど、今回再びの新解釈を加えての映画化だ。「嵐が丘」と言えば私はケイト・ブッシュの歌を思い出す。原作はかつて少し読んだのだが、読みにくくて断念した。
今回の「嵐が丘」は監督・脚本・製作をエメラルド・フェネル、製作・主演を
マーゴット・ロビーという女性ふたりによる野心作だ。なんとも濃密で激しく、どろどろで、ワイルドで下世話で汚くも美しく忘れられないインパクトのあるラブ・ストーリーとなっている。
久々に息詰まる思いで展開を見守った古典的愛憎と復讐の濃密な映像体験。
開巻からの不快な音楽が耳を離れない。しかし、その不快さはこの物語を象徴するように次第に観るものの意識に深く刻まれてくる。ここに登場する人物は皆狂っているのだと。度を越した愛情は人を狂わせる。狂気の悲劇を堪能し、見終わって嵐の中を歩ききった気持ちになった。
それは、衝撃的で快感だった・・・。

 

キャサリンの未練か? 覚悟か?
長い長いケープのウエディングドレスに仰天!!

父親が連れてきた孤児はヒースクリフと名づけられ、アーンショウ家で暮らすことに。
そこの娘キャサリンは父親の愛情を得られない寂しさからヒースと仲良くなり、ひと時も離れない子供時代を過ごす。やがて大人になったふたりは、愛し合いながらも冷たくあたったりと素直になれず、複雑な関係を保っていた。キャサリンはヒースを愛しながらも近所に越してきた大金持ちのリントン家のエドガーが訪ねてこないかと日々待っていた。
そして、あるきっかけでエドガーと知り合い、彼に求婚される。
キャサリンはヒースを愛していると求婚を断ろうとするが、召使の策略でヒースは屋敷を出て行ってしまう。裏切られたと思ったキャサリンはエドガーと結婚。
そして5年後、ヒースが帰ってくる。大金持ちとなって。キャサリンは動揺するが・・・。

衣装が凄い!! キャサリンが結婚してからとっかえひっかえ変える衣装は50着以上はあるだろう。しかもちょっとどんな生地だよ? というような斬新な生地とデザイン。髪型やアクセサリー類も凄まじい過剰さとど派手さ。ちょっと下品でもある。
でも、ウエディング・ドレスのケープの長さには仰天した。岩だらけの荒野を純白のドレスで歩く、後ろ姿のなっが~いケープがどこまでもどこまでもはためく。凄いよ、このシーンだけでキャサリンの未練と覚悟が見て取れる。お金かかってるなあ。

 

女性監督が描く異様な世界観を堪能
セクシーなジェイコブ・エロルディ注目!!

そして、ヒースクリフ役のジェイコブ・エロルディの野生的でセクシーな風貌とルックス。2メートル近い長身とムキムキの体躯。ボサボサの長髪。時に汚らしくもあるのだが、色気むんむんなのだ。初見の役者だが、いいなあ。アカデミー賞では「フランケンシュタイン」の助演男優賞でノミネートされていた。これから出てくるな。
で、マーゴット・ロビーはキャサリン役にはちょっと歳いきすぎている感じもしたかな。
あと、女性監督だからか、妙に血とか、泥とか食べ物とか汚さを過剰に演出してるのが少々気になった。下世話な描写を躊躇してない。赤裸々に描くという。男性監督みたいにロマンチックに美しく描く気は皆無。私は夢夢しい世界も好きなので、んーっ??と思ってしまった。まあ、どろどろの愛憎劇で、舞台も荒れた屋敷と丘だからもあるからか。


しかし、これは女性監督ならではの視点と私は見た。それらを豪華な衣装で対比している部分もあって、異様な世界観を形作ってはいる。それも含めてこの世界をどっぷり堪能できるのだろう。
ちょっとこの古典的な悲劇に圧倒されました。
ラブ・ストーリーはやっぱいいよね。

 

監督・脚本 エメラルド・フェネル
原作 エミリー・ブロンテ
出演 マーゴット・ロビー ジェイコブ・エロルディ ホン・チャウ シャザト・ラティフ
アレソン・オリバー マーティン・クルーンズ
※136分
※2月27日(金)から全国ロードショー

配給:東和ピクチャーズ・東宝
©2026 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.