一宮千桃のスピリチュアル☆シネマレビューPART.150 「ちはやふる -結び-」

かるたはやっぱ、良いな、日本人で良かったな、こんな映画を作れる日本人は凄いな、と思わせてもくれる作品である。

日本人の誇るべき百人一首かるた
傑作シリーズの最終章はまたも感動の嵐!

ケント・ギルバートさんの著書で、日本人の文化的レベルの高さを挙げている箇所で百人一首のことが書いてあった。

千年以上前の和歌を現代に至るまで、脈々と廃れることなく庶民に受け継がれ親しまれてきたアイテムというだけでも稀有。

また、かるたをするには和歌を全部覚えないといけないのに、当時から庶民レベルでこのかるたという遊びは浸透していた。
これは、驚くべき文化度の高さであると。

そんな国はないらしい。
なるほど。確かに。
日本は自国の素晴らしさをもっと認識するべきである。

本作の競技かるたという題材も競技として現代に残っていて、漫画になる前から人気があったと思う(その殺気立った凄まじさで?)。
もちろん、漫画、映画化の効果は絶大だろうけど。
私も子どものころは、お正月には百人一首のかるたをしていた。

 

前に進む、挑戦する。が人生には肝要
それを思い出させてくれる一作!

本作の袴姿で競技カルタに挑む若者たち。
その凛々しい姿にうっとりする観客は少なくないだろう。
「上の句」「下の句」に続いての最終章、本作「結び」は、前二作以上の感動をくれる秀作となっている。

主人公三人の歴史を見る思いで、何度も号泣してしまった。
成長著しい若者たち。
彼らの姿は前に進んでいく勇気をくれる。
挑戦、何かに挑むことの大切さも思い出させてくれる。
人間て、すぐに大切なことを忘れたり、元気じゃなくなったりする。
素晴らしい映画はつかの間でも、顔を上に上げさせてくれる力を持つ。
このシリーズ、三本とも傑作と、稀有なシリーズだと今更ながら思う。

今回は、千早たち瑞沢高校かるた部が、三年生になり最後の全国大会を目指すという展開。
しかし、幼馴染の太一が突然練習に来なくなる。
進学や千早への気持ちで揺れる太一は、ひょんことでかるた名人、周防と懇意になる。
千早たちと戦いたいと、もう一人の幼馴染、新も地元の高校でかるた部を作り全国大会に勝ち進んでくる……。

 

広瀬すずの抑えた演技に涙!
全国大会大興奮の決戦に涙!!

新しいキャラも多数出て、俄然面白い。
ギャグも効いている。
そして、泣いたのは、千早が太一の喪失を過去の出来事を回想しながら畳に顔を押し付けて静かに泣くシーン。
震える千早の背中のカット。
広瀬すずは、こういう涙をこらえるとか、静かに泣く演技はぴか一である。
私はこれを見て、ダーッと号泣!
太一の大切さを今更ながら千早は気づくのだ。

そして、クライマックスの全国大会!!
これはもう手に汗握る展開で、ええーっのかるたの稀な手? になって、そんな戦いの手(パターン)があることも知らなかったので、興味津々でもあり、固唾を飲む決戦だった。
勝利を祈りました、マジで(笑)。
そこからの怒涛の展開とラストまでまた涙涙……。

はあ~っとラストは気が抜けそうになった。
それくらい前のめりで見ていてこの最終章のラストは感動の嵐だった。
役者たちの絶妙なアンサンブルは特筆だ。
皆キャラに嵌まって、キャラを生きたシリーズだと思う。

 

日本人はやっぱ、凄いのだと感心!
和歌の美しい響きが心地良い

かるたの世界を漫画化した末次由紀の功績は素晴らしいが、本作の映画化を企画したプロデューサーも素晴らしい。「のだめカンタービレ」に続く青春映画の傑作シリーズの完成だと思う。

かるたはやっぱ、良いな、日本人で良かったな、こんな映画を作れる日本人は凄いな、と思わせてもくれる作品である。
和歌が若い人にも広まればいいな。
だって、劇中で読まれる和歌の美しい響きは耳に残り、ほんと心地良いのだ。
個人的には松岡茉優演じるクイーンが好きです。

 

監督・脚本 小泉徳宏
原作 末次由紀
出演 広瀬すず 野村周平 新田真剣佑 上白石萌音 矢本悠馬 森永悠希
松岡茉優 賀来賢人 松田美由紀 國村隼

※128分
©2018映画「ちはやふる」製作委員会  ©末次由紀/講談社

※3月17日(土)全国公開

 

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