やりたいことはハートに聴いてみよう~この現実は幻想?

般若心経の色即是空、空即是色は、色(形ある物質)は空(実体がない)であり、空(実体がない)は色(形ある物質)であると説いていて、色と空の区切りがないことを示しています。 全く対照的なものであるにも関わらず、この二つは分けることができません。

「おぎゃぁ」と私たちが生まれたとき、もうすでに世界がそこにあり、お父さんやお母さんは私たちよりも先にいた、と私たちは思い込んでいますが、本当にそうなのでしょうか?

 

「人間が観測するまでは、人間と人間の宇宙は存在しない」という実験結果が2015年5月に世界的科学雑誌Natureに掲載され、世界に衝撃を与えました。

一方、非二元では古来より「この現実は幻想」ということを言っています。

この二つがつながっているのか、どの程度までつながっているのかは、科学者でない私にはわかりませんが、少なくとも「この現実は幻想」だということが双方の認識としてあるようです。

私たちを含むこの現実が幻想なのだとしたら、別々の個々の存在だと思っている私たち自体も存在しないことになります。

では「私たち」という存在は何なのでしょうか? 何が一体真実なのでしょうか?

個々の存在ではないとしたら、「個々の存在でないもの」というシンプルに考えるのがよいのかもしれません。

だったら「一つのもの」「ワンネス」とも言えるのでは? という意見もあるかもしれませんが、「この世界は幻想」というのがたとえ真実であっても、その世界がみえているということも真実であるということが、悟後の修行によってみえてきました。

「幻想」という言葉は、まやかしや嘘のような印象を私たちに与え、無味乾燥なものを連想させますが、非二元の「幻想」というのは、真実としての存在をもあらわしています。

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「幻想」と「真実」……相反するものが同時に真実であって、決して分けられないものなのです。

般若心経の色即是空、空即是色は、色(形ある物質)は空(実体がない)であり、空(実体がない)は色(形ある物質)であると説いていて、色と空の区切りがないことを示しています。
全く対照的なものであるにも関わらず、この二つは分けることができません。

それはまったくもってどこに自分の理解を落とし込めばいいのかが分からなくなるほど、深遠で謎なのです。

非二元で「この世界は幻想である」が一人歩きして、「私がいないなら、殺人みたいなこともしても自由なの??」「物事が決まっているなら、がんばる意味がない」と解釈されている方々も多くいらっしゃいます。

でも非二元は、「この世界は幻想である」という教えではなく、「二つでない」というものです。
幻想だけではないし、物事が決まっているという、区切りがあるものではありませんという教えなのです。幻想も真実も存在し、物事が決まっていることも真実だし、決まっていないことも真実なです。

区切りがない、分けられない、非二元はそういうものです。

なので、あなたの苦しみが覚醒(悟り)体験によって、解放されるかはわかりません。

だから苦しみの救いをそこに求めるのではなく、また「起きることが起きる」ということを安易に解釈し、自分の失敗や怠慢の隠れ蓑にするのではなく、この幻想の中で生きていく決意をしていくことが大切なのだということを、私は私たちの本質である、純粋な意識そのものである“それ”から教えられたのです。

「やりたいことはハートに聴いてみよう」シリーズをお読みいただきありがとうございました。

次回からは新しいシリーズを連載させていただきたいと思います。

 

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