令和6年9月メッセージ — 次々と迫りくる艱難と対峙する私たちは、近づく人生の夜明けを前にそれでも“生きたい”と願う

9月

株価大暴落の余波と台風、自民党総裁選の動揺の中で — 七赤金星9月は、社会不安の中でも運命のパートナーとの交流に心躍らせる時

9月を迎えました。先月末に発生した台風10号は、九州から本州を縦断し、各地で大きな爪痕を残しています。被害に遭われた地域が、一刻も早く復旧されることを願ってやみません。

経済面では先月、日銀の2度目の利上げ決定により急激な円高が進み、これを原因として日経平均株価が過去最大の下げ幅を記録する、いわゆる“植田ショック”と呼ばれる大暴落が起きました。家計に悪影響を及ぼす円安を抑える意味での追加利上げ宣言でしたが、暴落を見ての事実上の撤回宣言後も、株価は乱高下を繰り返しています。その家計に於いては、“物価の優等生”と呼ばれる納豆、卵、豆腐、牛乳が今月、相次いで値上げを予定し、一層苦しくなることが指摘されています。非正規労働者や年金生活者にはとっては、まさに死活問題とも言えるでしょう。

政治面では、岸田文雄首相が退陣を表明し、後任を決める自民党総裁選が今月末に行われます。今年は三碧木星・甲辰の年ですが、正月にこの『TRINITY』誌上で述べた通り、“甲”の年は総理大臣の交代が多く起きている年です(『三碧木星甲辰・令和6年のスタートにあたって — 目の前の世界全てが革まる“雷鳴”に、私たちは恐怖を覚えつつもその閃光に一縷の希望を託す』参照)。

多くの有力議員が立候補を表明していますが、今回は結党以来の危機に喘ぐ自民党最後の切り札として、史上初の女性総裁か、40代の最年少総裁が選出される可能性が高いでしょう。特に高市早苗国務大臣(昭和36年3月7日生三碧木星)、小泉進次郎議員(昭和56年4月14日生一白水星)は今回、新総裁に就任する運気が高まっています。今後の国運を大きく左右する総裁選だけに、注視しておきたいものです。

白露を迎える9月7日、月運が八白土星から七赤金星に移ります。七赤金星は、“沢”を表す星です。沢は水、潤いのイメージですので、歓楽、遊び、お酒との縁が強調されます。また一方で“邂逅の喜び”、“恋愛”、“接吻”“有終の美”といった面も強調されます。

今月は、夜の歓楽街での気分が高揚してのワンナイトラブや、飲酒を伴うトラブルには、特に注意したいものです。一方で、“邂逅の喜び”“接吻”の意味もあるように、先月からの流れでここ数年関係が途絶えていた異性の友人と再会したり、友人関係だった男女が突如親密な関係となったり、長くつき合ったカップルが漸く結婚に辿り着くなど、喜ばしい出来事もありそうです。

9月の月運の干支は、“癸酉(みずのととり)”。秋に降る、恵みの雨のイメージです。“酉”は親切、世話好きも意味します。今月は、友人や同僚の面倒をよく見て、人へ奉仕をすることで自身の運気もアップするようです。あなたが周囲にとっての“恵みの雨”の如く、周囲の人々の心に潤いを与え、癒してあげましょう。

二十八宿は“危宿”。今月は、組織の論理や社会の常識よりも、自分の意志や“自由でいたい”という気持ちが高まるようです。混乱や不安定な方向に魅力を感じてしまう傾向があるので、その点は注意しましょう。また、所属している組織から外れた行動をとるよりも、目上の人の言うことに従った方が吉と出そうです。極力はみ出さずに、常識的な振る舞いを心がけましょう。

重要な契約や勝負事に関しては、大安の1日、6日、12日、18日、24日、30日、百事吉の13日、一粒万倍日の12日、17日、24日、29日に設定すると良いでしょう。デートや告白、プロポーズを考えている方は、上記の日を選びましょう。なお、今月の暗剣殺は西となります。この方位への旅行等は、極力避けましょう。また、26日からは再び天一天上となります。家の掃除さえしっかりしておけば、今月末は方位に障りはありません。

旧い過去と未来への展望が入り交じる9月 — “魂の出逢い直し”で、人生を塗り替える情熱的な恋愛を育む実りの秋を

西洋占星術の観点で言えば、海王星は年末まで、魚座で最後の逆行中です。先月も大規模な台風が全国各地で大きな爪痕を残しましたが、今月も引き続き豪雨や土砂災害などの発生が懸念されます。また今夏、多発した食中毒にも、細心の注意を払いましょう。

恋愛や金運を表す金星は、ホーム・天秤座に入っています(~9/23)。この時期は美意識が高まり、新たなメイクやファッションに強く関心を示したり、恋人を求める気持ちが強くなり、積極的に異性とコミュニケーションを図る行動が多くなる時です。 この夏に知り合った友人、知人との関係に発展がみられ、新たな恋愛がスタートする方も多いでしょう。

2日には、5月から水瓶座で逆行していた冥王星が、逆行するあまり山羊座まで戻ります(~10/12)。正式な風の時代を前にした、最後の“地の時代”のムードに世間が包まれる時です。端的な例を挙げれば、今月は自民党総裁選が行われますが、若手や中堅議員が清新な総裁候補を推しても、結局は元首相などの長老が指名した候補が、多数派を得て当選という形になるでしょう。改革の機運が一時的にしぼみ、旧体制、旧い思考が再び影響力を増す一ケ月となりそうです。

また同日、天王星が牡牛座で最後の逆行を開始します(~2025.1/31)。この8年間、豊かさや美意識の面に於いて大きな社会変革を促してきた天王星ですが、来年夏の双子座への移動を前に、人間一人ひとりに働き方、お金の使い方の再点検を要請しています。大きなパラダイム転換の瞬間に立ち会っているという認識を、確かにしましょう。

3日10時55分には、乙女座で新月を迎えます。しっかりと過去を整理整頓し、後悔ややり残したことを浄化することで、現状が良い方向へ大きく動き出す時です。翌々日の5日には、火星が蟹座に入ります(~11/4)。この時期は、自分の故郷やルーツ、実家といった、“これまでの自分を形づくったもの”への思いが、強まるかもしれません。何年も実家に帰っていない人は帰省して地元の旧友と会ったり、親孝行をしたりすると、エネルギーが充填されるでしょう。

9日は、逆行で獅子座まで戻っていた水星が再び、乙女座入りします(~9/26)。出逢うべき人とこの秋、“出会い直す”ことで、より良い方向へタイムラインが切り替わる時です。親しくなりたい人には、“奉仕”の精神を忘れないようにしましょう。

18日11時34分には、魚座で満月を迎えます(ハーベストムーン)。部分月食となるこの満月では、自身の感情が大きく揺れ動き、過去と未来の狭間で心身が浄化され、それまでの自分と満月以降ではガラッと人格が変わるような雰囲気になるかもしれません。誰に対して自身の“無条件の愛”を注いでゆくかを考えてみるのも良いでしょう。新たな恋人や信頼する相談相手ができた人は、純粋な気持ちを相手にぶつけてみましょう。

そして23日には太陽が天秤座へ、金星は蠍座へと移動します。ここから冬にかけて、篩(ふるい)にかけられそれでも残った人間関係の中から、強いパートナーシップを繋ぐ恋人や結婚相手の候補と、親密になるきっかけがあるかもしれません。秋分でもあるこの時は、社会では贈収賄や利権などの政界スキャンダルや、外交などの国際問題が浮上し、各国の政権が大きく揺らぐ暗示もあります。社会的な混乱と不安の只中で、一緒に手を取り合って社会に立ち向かう為のタッグを組む、そんな唯一無二の相手と未来への夢を語り合う、9月の終わりとなりそうです。

最後に、今月は、25歳の若さで夭折した、チュニジアが誇る伝説の詩人・アブー・カースィム・アッシャーッビー(1909〜34)が残した唯一の詩集から、「生への願い」を引きましょう。

 

もしある日、
人々が「生きたい」と願ったら
運命は応えてくれるだろう
夜は明け染める
手鎖は切れ落ちる
生命を追い求めない者など、
切に望まない者など
煙と消えていく、
吹き散らされる


チュニジアでは2011年、ジャスミン革命という民主化運動が起き、23年に亘り独裁を続けたベンアリ―政権が崩壊しましたが、その際に多くのアラブ人がこの詩を思い出したと言います。愛と生命をテーマに創作活動を続けた若き詩人は、僅か25年の生涯で、圧政に苦しむ多くの後世の人々を鼓舞する美しい詩を、あたかも自らがこの世に存在した証明のように遺し、早々に天国へと還ってゆきました。

人間の人生の値打ちとは、単に長生きしたことではなく、たとえどんなに短い生涯であったとしても、そこから絞り出すように魂の願いからの行動を見せ、この世に生まれてきた痕跡(業績)を残すことにあります。

同じ時代を生きた人々だけでなく、後世を生きる子孫の世代に、何を残せるか。それを考える秋にするのも、意義のある時間の使い方かもしれません。国内外に激震が走る9月となりそうですが、TRINITY読者の皆様にとって“正しい命の使い方”を探し当てることができる季節となりますよう、祈念しております。






(了)

 

 

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