令和5年2月メッセージ —— 底知れぬ暗闇の中でも人生を捨てなかった私たちは、待ちわびた無条件の愛の共振に身を震わせる

2月

物価上昇、凶悪事件の頻発と暗い世相の厳冬に — 二黒土星2月は、激しく入れ替わる人間関係の中で精神の安定を図る時

2月を迎えました。旧暦に於いても正式に新年となり、文字通り気持ちも新たにスタートを切る時期ですが、残念ながら明るい材料を見つけるのが、難しい世相となっています。先月発表された12月の消費者物価指数は前年より4.0%の上昇と、昭和57年以来、41年ぶりの上昇率となりました。都市ガス料金や電気代のほか、ハンバーガーや炭酸飲料など、生鮮食品を除く食料が大きな上昇幅を見せる一方で、肝腎の給料は上がらず庶民は悲鳴を上げています。このような苦境を反映してか、先月はネット上でホームレスをからかい晒し物にしたり、回転寿司で他の客が注文したものにいたずらをする動画が出回るなど、人心の荒廃をまざまざと見せつけられる出来事が問題となりました。全国的な強盗の多発も、市井に大きな不安を齎しています。日本人の霊性、波動の低下は、世界の不安定化に直結します。このような状況下にあっても、改めて“業”(カルマ)ではなく“徳”を積み、自分の周りだけでも穏やかな環境を維持したいものです。

立春を迎える2月4日、月運が九紫火星から八白土星に移ります。ここからが正式に令和5年、癸卯四緑木星のスタートとなります。八白には“交代、曲がり角、断絶、廃業、終止”といった象意があります。
また“改革、連絡、再起、復活”といった面も強調されます。八白は、“山”を表す星です。山の天候は変わりやすいという意味から、今月は多くの人の気分がコロコロ変わりやすく、周囲に迷惑を掛けやすくなるかもしれません。また、運気も急変しやすいので、好調だった状況が突然、不穏になったり、その逆の場面になったりするという可能性があります。“廃業”や“終止”の象意もあるように、経済面に関しては今月も厳しい状況が続くでしょう。

一方で、“連絡”“復活”の意味もあるように、ここ数年、関係が途絶えていた旧友と再び行き来するようになったり、またはSNSを通じてご縁のある方から連絡が来たりと、人間関係が新旧入り乱れ、大きな変化が訪れる時です。この時期に交流する人は、前世も含めてご縁の深い人と言えます。大きな時間の流れの中で、“人間交差点”を肌で感じる一ヶ月となりそうです。

2月の月運の干支は、“甲寅(きのえとら)”。春を迎えた、大樹のイメージです。今月は、これまでと比べて精神面では安定し、力強い生命力が漲る一ヶ月となりそうです。未来に明るい展望を持てる出来事が起き、これまでよりも気持ちが明るくなれる場面が多いでしょう。周囲の人とも基本的には旨くやってゆけますが、負けず嫌いで頑固な面が出てくると、攻撃的になってしまう傾向があるので注意しましょう。

二十八宿は“参宿”。今月は、明朗快活で周囲に多くの人が集まり、その支えと交流の中から、新しい道が開ける暗示です。小さなことにクヨクヨせず、エネルギッシュに動き回ることで、自分の夢や希望にグッと近づける気配です。ただ、勢い余っての舌禍や他人を傷つける行動は、運を下げるので注意しましょう。重要な契約や勝負事に関しては、大安の1日、7日、13日、19日、23日、一粒万倍日の2日、5日、12日、17日、24日、百事よしの22日に設定すると良いでしょう。告白やプロポーズを考えている方も、上記の日を選びましょう。なお、今月の暗剣殺は東北ですが、4日~19日は天一天上となります。この期間は部屋の掃除をしっかりしておけば、方位に障りはありません。遠方へ旧暦明けの初詣を予定している方は、この期間に設定しましょう。

全天体順行で、必要な環境、モノ、人脈が揃い始める2月 — 絞り込まれた心地好い人間関係の中で、自分らしく生きられる時代が到来する

西洋占星術の観点で言えば、先月23日に牡牛座の天王星が逆行を終え、全天体順行期間に入りました(~4/21)。これまで滞っていた様々な問題が解消され、人生の新しいステージにふさわしい場所や仲間など、必要なものが春までに順次揃ってゆきそうです。火星は双子座、木星は牡羊座にいます。これまで、旧来の価値観と新世代の価値観がせめぎ合う中で維持されてきた世の中のシステムが、立春以降、いよいよ新しい価値観の流れに収斂され、その勢いはさらに強くなりそうです。一方、バイアスのかかった報道やフェイクニュースも目立ってくる気配があるので、錯綜する情報の洪水の中で、何が正しい選択かを見極める眼力が必要となるでしょう。

6日は3時29分に獅子座で満月を迎えます(スノームーン)。この時期は、色々と新しい人生を送るために必要な環境、人脈がトントン拍子で揃ってくる感覚を肌で感じることができるでしょう。自分の個性を押し殺すことなく、趣味や得意分野を評価されることで、自信がつく時です。一緒にいて心地好い仲間と過ごし、底抜けに楽しい時間を過ごすことができそうです。また、告白をきっかけに新しい恋愛が始まる方もいらっしゃるでしょう。“生きていることが楽しい”という気持ちに、満たされる時です。15日の魚座での海王星と金星の合、17日の水瓶座での土星と太陽の合を経て、20日16時6分には魚座で新月を迎えます。この時期は、男性と女性が1対1で、恋愛や結婚などで親密な関係を築くタイミングとなるでしょう。本物のお相手がやってくる時です。この時期に始まった人間関係は強固な信頼で結びつき、最期まで続くご縁となるかもしれません。すべてを受け入れるような無条件の愛の共振に、良い意味で身を震わせる真冬となりそうです。

今月は、戯曲『どん底』で知られるロシアの文豪、マキシム・ゴーリキー(1868~1936)の名言を引きましょう。

“人生は、本当に辛いもの。

だが、自分で捨てるほどひどくはない”

ゴーリキーは10歳の時に実母を肺結核で亡くし、孤児となったのち19歳で一度、人生に絶望し自殺未遂を図りました。その後再起を果たし、新聞記者に。いくつかの短編を執筆した後、35歳の時に代表作『どん底』を発表します。救いようのない貧困層がそこから這い上がろうとするも、決して抜け出せない絶望を彼自身の幼少期と重ねつつ描いたこの作品は、海外でも上演されるなど、各方面で激賞を受けます。“死”と隣り合わせの少年期を送った彼は、“生”にこだわり、努力を重ねたことで、自分の進んだ道で、成功を収めることができたのでした。

ゴーリキーがもし、19歳の時に自殺を遂げていたなら、その後の作家としての名声はなく、彼の短い人生は悲劇のままで終わっていたでしょう。しかし希望を諦めず、生きることを選んだからこそ、その後の人生で“それまでの努力の配当”とも言える、大きな成功が待っていたのかもしれません。

現在の日本は、給与とは反比例に物価が上がり続ける状況が続き、私たち庶民の生活、苦しくなってゆく一方です。叶えたかった夢や進路を、金銭的な事情で諦めざるを得なかった方もいらっしゃるでしょう。なかには現実的に、“死”というものを考えた方もいらっしゃるかもしれません。しかし、生きることを諦めずに頑張っていれば、必ず、道は開けるものなのです。

外の寒さは一層厳しさを増してゆきますが、『TRINITY』の読者の皆様にとっては、心から信頼し合える“魂の仲間”と笑い合いながら、“生”の喜びを噛みしめることができる2月となりますよう、祈念しております。


 

(了)

 

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