世界最古の栽培物であり、人類の原器と呼ばれる幸運のアイテムとは?

ヒョウタンは「人類の原器」とも呼ばれています。 9月15日からは、上野にある「国立科学博物館」において、「世界のヒョウタン展」が開催されます。

【世界最古の栽培物】

私たち人類が農耕をいつ頃から始めたかということには諸説あります。植物学者として著名であり、現在は「一般財団法人進化生物学研究所」の理事長兼所長をつとめる湯浅浩史氏は、もっとも最初に栽培された作物はヒョウタンではないかという説を唱えています。

これは根拠のないものではなく、南アメリカの遺跡から1万年以上前のヒョウタンが出土しています。このことから、世界最初かどうかははっきりしないものの、世界最古の栽培物であったことはほぼ確定しているのです。

 

【ヒョウタンは人類を新天地へと誘った】

なぜヒョウタンは、そんなに古くから重要視されていたのでしょうか?

ヒョウタンは食用にすることも可能ですが、古代の人は「水を保存するための天然の容器」として使っていたようなのです。人間は水を飲まないと死んでしまいますが、現在のようにさまざまな素材で容器を作る技術がなかった時代は、泉や川などの水が流れる場所の近くに居住するのが一般的でした。

しかしながら、人口の増加や、渇水、環境の変化などの理由で、そういったオアシスから遠く離れて、新しい土地へと向かった人たちも存在していました。この中には、冒険者として未知の土地を目指した人もいたことでしょう。そんな人たちにとって、まさに「命綱となるの水を持ち歩くためにはヒョウタンが必要だった」わけです。

 

【世界各地のヒョウタンが上野に集合!】

このようなことから、ヒョウタンは「人類の原器」とも呼ばれています。

9月15日からは、上野にある「国立科学博物館」において、「世界のヒョウタン展」が開催されます。

このような展示会ができるだけあって、ヒョウタンは、私たちお馴染みのくびれがあるものだけでなく、ストレートなものを含めて様々な形をしたものがあります。用途としても、楽器として使われるもの、儀式用のもの、さらには仮面まで、多種多様にわたって世界各地で利用されてきたのです。

 

【現代まで語り継がれるヒョウタンの逸話】

歴史が古く、世界各地で使われているだけあって、ヒョウタンには「逸話」も沢山存在しています。

『日本書紀』には人柱になりかけた人が、「ヒョウタンを使って川の神へと伺いを立てる」という手法で、自らの命を救ったという逸話がでてきますし、豊臣秀吉もヒョウタンと深い関係があります。大阪府のシンボルマークでもあり、新大阪駅にもモニュメントとして設置されている「千成瓢箪」は、秀吉が「馬印」として使っていたものが元になっています。

江戸時代に書かれた『絵本太閤記』という書物の中で、信長から馬印としてヒョウタンの印を授かった秀吉が、戦に勝つごとにヒョウタンを一つずつ増やしていき、最終的には無数に増えたヒョウタンを、千成瓢箪と呼ぶようになったという逸話があります。そのため、今のようなモニュメントとなっているのですが、こちらは創作であり、本来秀吉が使っていた馬印はヒョウタン一個だったようです。

 

【縁起物としてのヒョウタン】

では、なぜヒョウタンを馬印にしていたのかというと、そもそも古い時代から「ヒョウタンは縁起物」として考えられていました。

ヒョウタンには前述の水だけでなく、植物の種なども入れられていました。水と同じく食糧は生命線です。そういった食物を守るものであったヒョウタンは、「生命のシンボル」とされ、いつしか「ヒョウタンの中に入れた種は必ず芽が出る」という言い伝えが生まれたのです。これが、さらに発展して、「幸運を招き、生命を守るもの」と考えられたわけです。

また、形が末広がりであることや、3つ集まると「三拍(三瓢)子」そろう、6つ集まると「無病(六瓢)息災」というように「」という音にひっかけた語呂合わせとしても縁起がよいものと考えられていたようです。

形に関しては中国ではくびれから、女体と同一視し、「子孫繁栄」や「商売繁盛」といったイメージもあるのだそうです。

 

【ヒョウタンが持つエネルギー的機能】

スピリチュアルな視点からみても、ヒョウタンというのは、非常に特徴のある道具です。

その形状から、「一度吸い込まれたものは、内部からなかなか出られない」というイメージがあります。これは有名な『西遊記』に登場する、名前を呼ばれて、答えると吸い込まれてしまう「紅葫蘆」によって、一般的にも広く知られたイメージといえるでしょう。

このような作用によって、「ネガティブなエネルギーを吸い取って、外に出さないようにしておく」という使い方をすることも可能なのです。反対に「よいエネルギーを蓄積しておくための道具」として使うこともできますので、「風水ではエネルギーを調整するためのアイテム」として、ヒョウタンが使われることもあるのです。

今ではほとんど活用されることもなくなり、あまり見かけることもなくなったヒョウタンですが、古来から存在し、縁起物としてさまざまな活用がなされている、「とてもスピリチュアルなアイテム」ですので、ひとつ手に入れてみることをオススメします。

また、もっと深くヒョウタンについて知りたいというかたは、前述の展示会にいってみるというのも面白いかもしれません。ヒョウタンのもつ歴史とスピリチュアリティをより深く学ぶことができるはずです。

 

Gourd secret.
Gourd power to accumulate energy.