第49回★繊細で華やかなレースの魅力
ヨーロッパの長い歴史のなかで、衣服や装飾として愛され続けた繊細で華麗な透し模様のレース。
「レース」の語源は糸や縄等の輪郭をとった穴という意味を持つラテン語の「ラク(Laqueue)」や、フランス語の「ラシ (Lassis) 」からきているといわれています。
イギリスでは16世紀よりスコットランドなどで手芸として親しまれてきましたが、17世紀頃からは衣服や装飾として、襟や前飾り、裾飾りなどにレースが使用される「レース装飾」が王侯貴族の間でもてはやされました。
これらの贅をこらしたレースは、富と権力を誇示する重要なアイテムとして、なくてはならないものとなり、なかには宝石よりも高価なレースもあったのだとか。
偉大な王侯貴族の肖像画などを見ると、確かに豪華なレースを贅沢にあしらった衣装を纏う姿をよく目にします。
この時代は職人が繊細で複雑なレースを作ろうと、ハンドメイドで編んでいたため、想像を絶するような時間と労力がかかっていました。
18世紀に入ると、フランスでロココ様式が生まれ、レースは優雅で洗練されたものへと変化し、その後19世紀頃には産業革命の歩みとともに「機械編みレース」が登場。
レースの需要は一気に大衆化され、ランジェリーやインテリアの装飾として豊富に用いられるようになりました。
時代を超えて愛されてきたヨーロッパならではの華麗なレースは、英国各地のアンティーク・マーケットやレース専門店でも見ることができます。
イギリス旅行の際には自分好みのレースを探してみるのもオススメです。
ベッドやソファにレースを飾るだけで、部屋がロマンティックでエレガントな印象に。
花のガーランドを持って飛び回る3人のエンジェルが描かれた趣のある絵画のようなレース。
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