誰もがロマンを感じる奇想天外な「夢」の世界!~徐々に解明されている、科学的側面から見た夢の正体とは~

夢

眠っている間に見る夢は、現実では考えられない奇想天外な内容が多く、途方もなくロマンを感じる人もいるでしょう。私自身も、中学生のときに毎日鮮明な夢を見るようになってから、夢が持つ神秘に強く惹かれ続けてきました。

夢に関する本は2種類に分けられる

夢に関する本は数多く出ていて、大きく2つの種類に分けられます。ひとつは、夢で見た事象に、「どのような意味が持たされているのか」を調べる夢占い(夢判断)の本。そしてもうひとつは、脳が夢に及ぼす影響など、科学的な側面から夢について研究された本です。

夢判断の本は、元はフロイトやユングの考えがベースにあります。しかし出版を重ねたり、インターネット上で広がったりすることで、昨今では個人の経験則に基づいたものなど、明確な根拠のない内容が増え、「占い」の域を出ないのが現状です。ここでは、夢についての「科学的側面」の研究から、どのようなことが分かってきているのかを、ざっと記載しようと思います。

REM睡眠時に夢を見る

1950年代にアメリカで、「REM睡眠」という睡眠パターンの一種が発見されました。この睡眠状態に入っている人間は、目玉が左右にスピーディーに動いています。そして、体は深く眠っていますが、脳は通常通りに働いている状態です。

ほとんどの人が、このREM睡眠時に夢を見ていることが分かったのです。この発見によって、脳と夢に関する研究は一気に進みました。

夢

睡眠が始まってから、約1.5時間後にREM睡眠が発生します。一晩でこの1.5時間の周期を何回かくり返し、明け方になるほどREM睡眠の時間が長くなっていきます。6時間や7,5時間など、睡眠時間は1,5時間単位で取るとスッキリ起きられるといいますが、それにはREM睡眠が関係しているのですね。

どのような記憶が夢に反映されるのか

夢の内容を構築するものは、何なのか……フロイトは「前日に満たされなかった願望が、夢に現れる」唱えました。例えば、その日にお菓子をもらえずに不満を抱えた子供は、その晩に、お菓子をもらう夢を見て、欲求を満たすというのです。

そのため、長く「前日の記憶が、夢の内容に強く影響する」と考えられてきました。しかし研究が進むと、前日の記憶と一週間前(7日前)の記憶の2通りが、強く夢に反映される可能性が高いことが分かってきました。

これは、人間が何かを記憶する脳のシステムが、二段階になっているためです。一度脳に入った情報は、すぐに海馬で処理され、短期記憶となります。これが前日の記憶です。そして約7日後には脳の新皮質に送られて情報が再処理され、長期記憶になります。

このことが要因で、前日もしくは一週間前の出来事が、夢に表れやすい……と考えられているのです。実際にご自分の夢を確認すると、前日や一週間前に出来事が多く表れていることに、気がつくかもしれませんね。

夢には「危機へのシミュレーション」の役割もある

別の研究では、「夢にはポジティブな状況より、ネガティブな状況が多く表れる」ということも分かっています。

例えば感情では、心配や悲しみ、怒りなどネガティブな感情を抱える場合が8割適度であり、幸福感など肯定的な感情を抱える場合は、2割程度なのです。このことなどを理由に、「夢には、危険な状態のシミュレーションの役割がある」という考え方が存在しています。

夢

例えば、「来週は皆の前でプレゼンをしなければならなくて、イヤだなあ」と思っているとします。そうした場合に、「プレゼンをしている自分」が夢の中に現れるのです。これは、夢でのシミュレーションを通して、大失敗をするような危険を回避するためであると考えられます。

他には多くの人が見る夢で、「何かに追いかけられる夢」「高所から落ちる夢」等があります。これらも夢の中で恐怖を体験することにより、現実での危機に備える……という役割があるようです。こうした内容の夢に、心当たりがある人も多いのではないでしょうか。

今後も解明されていく夢の世界

あくまでもざっくりとですが、現在夢について見えている科学的側面について、ご紹介しました。夢には人類発祥から受け継がれてきた、アカシックレコードのような大きな記憶の塊があり、人々の夢はそこにつながって引き出される……という説もあります。

現在はまだ、夢占い(夢診断)と科学的側面が、明確には融合できていない状態のようです。誰もがロマンを感じる、夢の世界。今後の研究でどのようなことが解明されていくのかが、期待されますね。








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