五感にストレートに働きかける人工のパワースポット〜養老天命反転地〜

自分自身の感覚を改めて自覚し、さらに人との絆を通して、新しい感覚を得ることのできる、この不思議なスポット。夏の旅行先の候補に入れてみるというのはいかがでしょう?

【有料施設なのにパワースポット?】

岐阜県にある「養老天命反転地(ようろうてんめいはんてんち)」をご存じでしょうか? 「天命を反転する地」という、なにかとてもパワフルさを感じさせる名前を持つこの場所は、養老公園内にある「有料施設」です。「有料施設なのに、パワースポットなの?」と思うかも知れません。確かに、神社仏閣のように、自然や信仰のエネルギーが感じられる場所ではありませんが、「れっきとしたパワースポットといえる場所」なのです。

こちらは、世界的に有名なアーティストである「荒川修作」氏と、そのパートナーで詩人である「マドリン・ギンズ」氏が30年以上に渡る構想を実現した「アート作品」。作品といっても、実際に体験することのできるテーマパークでもあるのです。

 

【不思議な名称と謎の内部構造】

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本体の名称も不思議ですが、メインパビリオンの「極限で似るものの家」をはじめとして、「宿命の家」「地霊」など、個別のパビリオンにも、タイトルだけだと、いったいどんなものなのか、想像もできない名称がついています。

メインパビリオンである「極限で似るものの家」は、岐阜県の形をした屋根がついており、いかにも芸術作品のような外見をしていますが、その本質は「内部」にあります。複数の入り口を備え、机や家具は上下左右を無視した場所に配置され、通路は狭く、不規則な傾斜すら存在しています。言葉で説明するとさっぱりわからないと思いますので、その内部動画をご覧になってください。

 

なんだか、パワースポットというよりも、「お化け屋敷や心霊スポットなのではないか?」と思うかもしれませんが、こちらの本質は何度か家を出入りするとわかってきます。毎回違うところから入って、中を歩き回ると「思わぬことが起こる」のです。

 

【普段使わない感覚を体感し、天命を反転する】

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園内で配られていたパンフレットには「思わぬことが起こったら、立ち止まって20秒ほどかけてよりよい姿勢をとってください」や「違和感があったならば自分の名前を叫んでみてください」という記載があります、さらにはヘルメット及び運動靴が無料貸し出しされており、「救急箱も常備されている」のです。

絶妙の配置や構成によって、パビリオンを出入りすることで「バランス感覚はもちろん、遠近感が揺さぶられ」ます。このために、まともに歩けなくなり怪我をする人も多かったために、ヘルメットなどが貸し出されているわけです。なぜ、このような作りにしたのでしょうか?

私たち人間は、「視覚に頼って行動することが多い」のですが、それをあえて狂わすことで、「普段使っていない感覚が発揮され、なおかつ誰かと一緒にそんな体験をすることで絆を深めることもできる」というのが作家の狙いなのです。そして、最終的なテーマは、タイトルにもあるように「天命反転」、これは死から逃れることができないという、人間の天命を反転させるという意味です。普段使わない感覚まですべて体感することによって、「死へと目を向け、そこから解き放たれる」ことを体感する「養老天命反転地」は、人工的に作られた場所でありながら、「立派なパワースポット」なのです。

自分自身の感覚を改めて自覚し、さらに人との絆を通して、新しい感覚を得ることのできる、この不思議なスポット。夏の旅行先の候補に入れてみるというのはいかがでしょう?

【今回紹介したスポット】
養老天命反転地
岐阜県養老郡養老町高林1298-2養老公園内

Artificially-made power spot.
Escape from death.

 

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