クリスマス前にやってくる怖〜い存在 悪いサンタ「クランプス」とは?

そのサンタクロースは怖い姿をしていますが、「人を傷つけたりはしない存在」として知られており、むしろその怖い姿によってクリスマスの「悪霊を祓う」役目ももっているのです。

【クリスマスを恐怖に変える存在】

クリスマスといえば、小さな子供ならば「ワクワクと、指折り数えてその到来を待つ」ものですが、そんな子供たちを「恐怖のどん底に突き落とすような存在」がいます。サンタクロースと一緒にクリスマス前に現れる、その存在は「クランプス」と呼ばれています。クランプスとは古いドイツ語で「かぎ爪」を意味する言葉からきており、その名の通り、「長いかぎ爪と山羊のような角」を持っています。

その恐ろしい見た目と、サンタクロースに同行することから、キリスト教的な「悪魔」という概念が適用されがちですが、実際にはクランプスの歴史はかなり古く、「1600年以上の歴史がある」ともいわれているのです。非常に強面であり、怖い怪物ではあるのですが、実際には悪いことはしません。

 

【11月末から12月上旬に登場するクランプス】

ドイツやオーストリアなどでは、ちょうど今頃の季節、「11月末ごろから12月上旬」にかけて、サンタクロースと一緒にクランプスが町に現れます。その怖い姿だけでも、なかなかインパクトがあって、小さな子供は泣いてしまいそうですが、クランプスは「悪い子供に罰を与える存在」とされているのです。「よい子はサンタクロースからプレゼントが貰える」のですが、「悪い子はクランプスが手に持った鎖で脅されます」。それでも改心しない場合は、クランプスが背負った「籠や袋にいれて連れて行かれてしまう」というのです。

クランプスが登場する行事は地方によって行われる日程が異なるのですが、もっともポピュラーなものとして、「12月5日の聖ニクラウス祭前夜」があります。このときは、何十体もの凶暴な顔をしたクランプスが街中を歩きまわって、子供や女性を脅かしていきます。なぜ、女性が入るのかというと、はっきりとしたことはわからないのですが、クランプスに女性にイタズラをする「夢魔」の要素があるからだとも、たんに女性の方が脅かしやすいからだともいわれています。

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【双子だったサンタクロース】

楽しいクリスマスと、怖いクランプスが結びついた理由にも諸説あるのですが、比較的有力なものとしては、「悪いサンタがクランプスになった」という説があります。それによると、「サンタクロースは元々双子だった」のだそうです。こちらは、ドイツの古い伝承なのですが、それによると、一般的に知られている紅白の衣装を着たサンタの他に、「黒と茶色の衣装を着たサンタ」も存在しており、そちらはプレゼントを渡すのではなく、「悪い子供を罰していた」というのです。この悪くて黒いサンタと、古くから存在していたクランプスが融合した結果、現在のような形になったというわけです。

前述したように、クランプスは怖い姿をしていますが、「人を傷つけたりはしない存在」として知られています。むしろ、その怖い姿によってクリスマスを邪魔する「悪霊を祓う」という役目ももっているのです。悪魔のような姿を持ちながら、どちらかというと「神のようにも見える存在」であるクランプス。非常に似たような存在が日本にも居ることをご存じでしょうか?