意外と謎が多い除夜の鐘。その秘められたパワーとは?

除夜の鐘というのは、煩悩ではなく、参拝者や鐘の音が聞こえる地域の人たち全員を浄めてくれる、今年最後の大々的な浄化のチャンスということになります

 

大晦日に欠かせないものといえば、「除夜の鐘」。
「年末の風物詩」ですが、なぜ除夜の鐘が鳴らされるのかという由来については、意外と知られていません。除夜の鐘という風習は中国から渡来したのではないかといわれていますが、いつ頃から広まったのかは定かではないのです。

また、除夜の鐘をつく回数についても、「108回」というのが有名ですが、その回数についても諸説あります。

除夜とは?

ちなみに除夜の鐘の「除夜」とはなにかご存じでしょうか?

こちらは「大晦日の夜」を示す言葉です。大晦日の別名が「除日」であり、その夜だから「除夜」というわけです。
大晦日に、なにを除くのかというと、「古い年」を除くことで、新しい年を迎えるのです。
つまり、除夜の鐘とは、大晦日につかれる鐘という非常にストレートな意味になります。

 

鐘をつく回数はどうやってきまった?

そんな除夜の鐘をつく回数として、もっともポピュラーといえる「108回の由来」について、最も知られているものとしては「煩悩の数」というものがあります。

「煩悩」とは、「悟りの境地を妨げるすべての精神作用」を示しています。煩悩というと、なんだか悪いもののように思えますが、あくまでも悟りを妨げるものであって、煩悩があるからこそ、人間は社会的な成功を得たり、情熱的な行動を行ったりすることができるともいえます。

この煩悩を、「目、耳、鼻、舌、身、意」の六根に、それぞれ「良、普、悪、楽、苦、無」の6つの感覚を、あわせて36種類、さらに、それが「過去、現在、未来に作用する」ことから「36×3で108」としているようです。

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しかしながら、煩悩の数というのは、実際には正式に定まっていません。人間の感情や欲望などは、それこそ無限にあるといえますので、「煩悩は無限とする説」もありますし、仏教の宗派毎でも微妙に異なっているのです。

こうしたことから、そもそも108というのは、「語呂合わせ」ではないかという説もあります。

「四苦八苦」を取り除くことから、「4×9」+「8×9」=「108」というわけです。こういった語呂合わせは、江戸時代頃の人が好んでいたので、後付けではないかといわれていますが、前述のように煩悩を108とするのも、かなり無理矢理感がありますので、どっちもどっちといえるでしょう。

また、お寺の鐘が古来は時計としての役割を果たしていたことから、月の「12」と「二十四節気」、さらに「七十二候」という季節の区分をすべて足すことで108になることから、108というのは「1年」をあらわし、それらが過ぎ去ることを表現しているともいわれています。