前回から、アーユルヴェーダにおいて最も知られているハーブ薬のひとつ、トリファラについてお伝えしていますが、今回は、トリファラから得られるダイエット効果についてお伝えしたいと思います。
太る原因として、もっともありがちなことは、不活発な便通。
私たちが食事をするたびに、腸管は消化管を潤滑にするために、ある特定の量の消化粘液を生産するといわれています。
そして長い期間をかけてゆっくりと、この消化粘液のいくらかが、消化管の中にゆっくりとたまり、体が栄養を吸収し毒素の除去を助ける腸絨毛(小腸内壁の輪状ひだに存在する突起のことで、食べたものの栄養吸収の効率を良くするための体のしくみ)を徐々に詰まらせていきます。
そしてトリファラは、こうして徐々に溜まった腸内の余分な粘液や毒素を流すクレンザーのような働きがあることから、私たちが食事からとった栄養分の吸収を助けるため、結果的に減量にも役立つというわけです。
トリファラは、そもそも痩せるための薬というわけではないのですが、現在アメリカで活躍するアーユルヴェーダドクターは、トリファラの減量効果について、次のようなエピソードを語っています。
『……2、3年前、約10年ほど会っていなかった一人の患者に再会しました。彼女は私に、私が10年前に彼女の診察をした時、実行するように彼女に伝えたことを確実に実行したら、25kgも痩せたというのです。私は恐る恐る彼女に「私はあなたに、どんなことをしろと言ったんだい?」と尋ねました。
すると彼女は、減らしたいだけの体重を徐々に減らしていくために、毎食後にトリファラというハーブ薬をとるように提案したと言いました。
そこで私は、彼女のために作った診察記録を読み、思い出しました。
彼女は遅い消化力とそれほど酷くはない便秘の症状があり、小麦、乳製品、大豆、ナッツ類をさけることでそれをコントロールしていました。
これは私の患者たちによくありがちなことでした。
彼女は余分についてしまった体重を落とすために、トリファラを使い続けて理想的な体重を手に入れ、その後はもうトリファラを飲む必要はなくなっていました……。』
トリファラを毎食後にとると、消化器官をホウキで掃除するような働きが得られ、腸壁にいつのまにか居座ってしまってる粘液を引っ張り、腸絨毛を洗浄した状態にするため、より効率的な消化プロセスが実行できるように助けます。
そして、次にとる食事を効率的に吸収して同化するための準備ができるわけですね。
★他の便秘薬とは異なる、トリファラのユニークなお通じ効果
一般的に、ハーブ便秘薬には、主に二つのタイプがあるといわれています。
ひとつは下剤と呼ばれるもので、センナなどがそれにあたります。
この類いのハーブ薬は、便通に直接的に働きかけるか、肝臓と胆嚢の胆汁の分泌を促進して働きかけるかのいずれかの方法で、腸の蠕動運動を刺激します。
便通を強要する下剤を使いすぎると、体に保存されているミネラル分や体の健康維持に不可欠なビタミンB類が消耗され、腸内の有益な微生物をアンバランスにしていまうことがあります。
その結果、慢性的な疲労状態や貧血症といった虚弱体質になりやすくなるといわれています。
ふたつめのタイプの下剤は、潤滑性の膨張する下剤です。
これは鎮痛ハーブで、オオバコやリンシード(亜麻仁)がこれにあたります。
こういったハーブは栄養価がより高く、通常、肝臓や胆嚢に直接的に働きかける顕著な効果はなく、それよりも、液体を吸収して膨らむスポンジのように働きます。
このため、腸の中をホウキで掃くような効果が得られます。
トリファラは、栄養価とともに、血液と肝臓の浄化作用もあるハーブ薬です。
鎮痛作用や潤滑作用のある下剤のような効果は少しだけしかありませんが、胆液の流れと蠕動を刺激する成分が含まれています。
栄養価の面では、ビタミンCが豊富で、強壮剤となるような他の重要な栄養成分が含まれています。
こうしたトリファラの持つ高い栄養価は、体の蓄えを薄めることなく、ユニークな形で腸を洗浄し、解毒するといわれています。
このため、トリファラは今、世界でも稀な、価値あるハーブ薬のひとつとして、注目を浴びています。
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