アーユルヴェーダで使われてきたハーブたち ~万能ハーブ・アロエ《前編》~インド生活『村上アニーシャのアーユルヴェーダ』vol.64

アロエは体から過度の熱を除去するだけでなく、血液、肝臓、脾臓を浄化しバランスをもたらすハーブといわれ、また、抜け毛や禿げの原因となる頭皮の皮脂腺中の過剰ピッタをなだめるので、髪を強化し抜け毛を防ぐハーブとしても有名で、インドのヘアオイルの原料としてもよく使われています。

さて今回からは、私がインド生活を送る中で出会ってきた、さまざまなアーユルヴェーダ伝統のハーブについてお伝えしていきたいと思います。
第一回目の今回は、アロエです。

 

■インド産の巨大アロエにひとめぼれ

アロエは、日本にいた頃から、形的なものや醸し出す雰囲気に妙に心惹かれ、いつも愛用していたハーブだったのですが、インドで暮らすようになり、インド産のアロエをはじめて見た時、日本のアロエよりも5倍から10倍はある巨大アロエの葉肉の肉厚さと存在感に、一目ぼれしました。

また、インドはアロエの産地だけあり、さまざまなメーカーがアロエの葉肉から作ったジェルを製造販売していて、クオリティもピンからきりまであり、毎日、目に入ったアロエジェルは片っ端から手に入れては、試しまくった日々。

インドらしいどぎつい香料が効いたものもあれば、成分が限りなく99%ナチュラルに近いものなどもあり、自然の成分に近いものは保存料も微量しか含まれていないのですぐにカビが生えてきたりもしましたが(買ったときからすべてカビが生えているものもありました)、こういったことはインドでは日常茶飯事。

いい意味で、物を買うときは自分の目ですみずみまでチェックして、納得してから買うという習慣が自然に身につきました。うっかりチェックを忘れた日は、「……やられた。」と悔しい思いをしたことも……。

慣れるまではいちいちチェックをしなければいけないのでめんどくさいこともありましたが、今思えば、こういった生活をしてきたおかげで、いいものや本物を見つける勘や、怪しいものを見分ける感覚のようなものが養われ、結果的に「自分の目や勘を信じること」が強化されたように思います。

 

■アーユルヴェーダにおけるアロエ

さて、話はアロエにもどりますが、日本にいた頃には知らなかった、アロエの薬効の幅広さ。たったひとつの植物が、スキンケアやヘアケア、さらには内服までなんでもござれの万能ハーブは、アーユルヴェーダではたくさんありますが、アロエもそのひとつ。

アロエは一般的に、肌に使われるハーブとしても有名で、肌に潤いを与え、炎症を抑え、小じわを減らし、傷を早く治し、肌の輝きを促進するために、石鹸や美容アイテムなどによく使われています。

一方、アロエの味は主に苦味で、苦味はピッタを減らすためのすばらしい強壮剤として、アーユルヴェーダでは伝統的に、主に内服するためのハーブとして用いられてきました。

アロエは体から過度の熱を除去するだけでなく、血液、肝臓、脾臓を浄化しバランスをもたらすハーブといわれ、また、抜け毛や禿げの原因となる頭皮の皮脂腺中の過剰ピッタをなだめるので、髪を強化し抜け毛を防ぐハーブとしても有名で、インドのヘアオイルの原料としてもよく使われています。

アーユルヴェーダによれば、禿げや時期尚早の白髪、薄毛は、体の過度の熱、つまりピッタ質が毛嚢を「燃え上がらせた」結果と考えられています。

アロエは、体から過度のピッタを除去するために最も効力を発揮するハーブとして、すすめられるハーブです。

他、貧血治療や女性のための媚薬ハーブとしても使われ、インドではアロエは、「若い女の子」「処女」という意味合いの言葉、クマリ(kumari)と呼ばれることもあり、生殖組織へ青年期のエネルギーを授けるハーブとして、このように呼ばれているのだそうです。

確かに、アロエのみずみずしい葉肉ジェル部分が醸し出す雰囲気は、どこか処女に相通じるものがありますね。

★次回後編では、アロエの効果的な使い方をご紹介したいと思います。

 

《村上アニーシャ さんの記事一覧はこちら》
https://www.el-aura.com/writer/%E6%9D%91%E4%B8%8A%E3%82%A2%E3%83%8B%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A3/?c=73188