今回は、二重のドーシャタイプの三つ目、「ヴァータ+カファ」タイプです。
■ヴァータ/カファの二重タイプ
(ヴァータとカファドーシャの質が組み合わされた気質):
ヴァータもカファも、どちらも「冷たい」質を持つという点で、共通点があります。
このタイプは、身体的に過酷な冷えがある純粋なヴァータタイプと比べれば、カファ質の身体的強さを併せもっているので、それほど酷くありません。
ただ、体質的にどうしても冷えやすいために、いつも消化プロセスにおいてなんらかの障害が出やすく、特に便秘になりやすいといわれています。
また、粘液が過剰に生産されてしまうことから、呼吸疾患にもなりやすい体質で、いつも寒そうにしていることも特徴です。
このタイプのポジティブな面は、繊細で謙虚で柔軟性のあるところ。
想像力がたくましく、芸術的で、他人をよく気遣います。
非暴力的で、他人を攻撃するという発想がなく、ベクトルが自分を責める方へと向かいがち。
まさにピッタタイプとは真逆ですね。
このタイプの人たちは、実は生の中で何かをやろうとする意欲、いいかえれば「火」の質が決定的に欠けています。
そのため、どうしてもエネルギー、やる気、情熱、興味、といったものに関心が薄く、一方で同時にたくさんのものを欲しがる傾向もあるようです。
基本的に受身で弱く、依存的。
過剰に繊細で極端に女性的で、他人から言われたことに同意しつつも、それを行動に移すための男性的なエネルギーにかけています。
このため、もし男性でこのタイプの場合は、間違いなく草食男子といえますね。
また、他人の思いのままに自由自在に変化するような、とらえどころのないカメレオンのような人格をしていることがあるのもこのタイプの特徴で、軽くてオープンでフワフワしてたかと思えば(ヴァータの質)、急に深くなり、やたらと隠したがりになったりと(カファの質)、ヴァータとカファの正反対の質を合わせ持つために、態度が両極にコロコロ変わります。
ピッタタイプの火の質がかけているので、一貫性がなくちぐはぐです。
感情的にも精神的にも常に不安定さがあり、カファの深く感情的な質がヴァータの過剰に活発なアップダウン質とくっつき、とても怖がりですぐに傷つくようなところがあります。
そして、一度感情的に深く傷ついてしまった場合、いつまでも残ってしまいます。
また、他人に対し、基本的には温かい反応を示しますが、いつも同じように反応することは、このタイプの人たちにとっては気質的に難しいことなのです。
また、判断力や善悪を見分ける能力は乏しい傾向があるといわれ、好ましくない人たちに容易に振り回されたり、感情的な悪影響を多大に受けてしまうことも。
■このタイプの人たちが健全であるために:
一般的にこのタイプの人たちは、世間知らずになる傾向が強いとされ、他人に敏感で繊細なこのタイプを利用しようと近づいてくる他人が隠している動機に対して、もっと現実的に見れるようになる必要があります。
優しいだけではダメ。
自分を守るために戦うことも時には必要です。
自分を軽々しく人に使わせてしまったり、コントロールされることがないように注意しなければなりません。
このタイプの人たちは最もセラピストへ依存しやすく、自分の抱える問題に中毒しがちなタイプといわれています。
恐れにチャレンジし、自分をもっと信頼すること。
それがアーユルヴェーダからのアドバイスです。
そして身体的には、とにかく何よりもまず、温かく保つこと。
「火」の熱さが足りていないこのタイプは、ピッタを増やすような食べ物をたくさん食べてバランスをとりましょう。
酸味や塩味、刺激性の食べ物。
唐辛子や黒コショウ、生姜といった、刺激性があり体を温める効果の高いスパイスを多めに摂りましょう。
これらはすべて、ピッタを高め、世の中で生きていくための、そして自分を守るための闘争心ややる気を養うためにも間接的に役立ちます。
一度このタイプの人が、正しい方向へ向きさえすれば、持ち前の深い繊細さや、愛や優美さといった質を生かし、自分を癒す力を発達させることができるといわれています。
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☆☆☆次回は、最後の7つめの気質、めったにお目にかかれない稀なタイプ「ヴァータ/ピッタ/カファの三重タイプ」についてお伝えします。
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