■リンパと食べ物の感情的側面〈後編〉~ラサと感覚+感情の繋がり~インド生活『村上アニーシャのアーユルヴェーダ』vol. 151

ハーブ

アーユルヴェーダの教えでは、私たちが普段食べる食べ物のそれぞれの味や匂いは、特定の消化過程と感情に繋がっています。
(例えばカレーのおいしそうな匂いや、焼きたてのお菓子の匂いを嗅いだだけで幸せな気分になれるのはこのためです。)

食事の最初の匂いや香りで、口の中、鼻の中、そして脳の感情センターから始まる特定の消化過程が、感情によい影響を与え、胃の中や消化管のいたるところで感情的に刺激され、消化をスムーズにしていきます。

食べ物の味は「ラサ」と呼ばれるように、感情も「ラサ」という同じ名前がついています。
最初のリンパ液、つまり消化のラサは、味とそれに関連した感情を、体のあらゆる細胞に伝達します。

アーユルヴェーダによれば、味によって誘発される感情が違ってくるため、バランスのとれた感情状態を生み出すには、各食事において主要となる6つの味すべてを取り入れることが重要になります。(それぞれの味がもたらす効果について詳しくは、バックナンバーvol.117をご覧ください)

 

★6つの味の好みと、それに対応する感情について

さて、それぞれの味は、次のような状態や感情に繋がっています。
これらの味のどれかが、長期間に渡り偏ってとりすぎていたり、欠けていたりする場合、感情的あるいは生理学的にアンバランスが引き起こされる可能性があると考えられています。

*甘い → 満足感、履行
*酸っぱい → 排尿、洞察、意識の高まり
*塩辛い → 欲求、人生への熱望、情熱
*辛い → 外向性、駆動、野心的
*苦い → 動的、焦点を当てる
*渋い → 内観、精神明瞭、構成

アーユルヴェーダによれば、食事の最中の私たちの気分、感情、そして環境が私たちのラサの状態を決定します。
また、感情を作り出す腸内(この場所でセロトニンの95%が作られ、蓄えられています)の微生物は、私たちの環境や気分、感情に大きく影響されます。

このため、食べ物の味とそれに対応する感情は、食べることから養われた微妙なバランスを維持したり、回復させたり、または混乱させたりします。

またこれらの腸内微生物は、消化力、解毒、免疫力、気分、エネルギー、ホルモン、身体の機能の大部分といったものすべてに、特定の感情的な影響を及ぼします。

ハーブ

(インドのベジタリアンアペタイザー〈前菜〉)

 

★6つの味の欠如から生まれる感情

ある特定の味が長期間にわたり不足すると、次のような感情の状態につながると考えられています。

*甘い味が欠如すると ・・・ 不満足感につながる
*酸っぱい味が欠如すると ・・・ 衝動的、不注意、しつこさ、散在につながる
*塩辛い味が欠如すると ・・・ やる気のなさ、無関心、先延ばしにつながる
*辛い味が欠如すると ・・・ 受動的、非対決になる
*苦い味が欠如すると ・・・ 悲しみ、失望につながる
*渋い味が欠如すると ・・・ 鈍さ、まとまりのなさ、物忘れにつながる