アンガーマネジメント Vol.29「相手の怒りを煽る謝罪・同情を引く謝罪」

自分が意図的に、もしくは結果として何かやらかしてしまった場合、謝罪したり責任を取ったりしなければなりません。立場が上の人ほど、その一挙手一投足が注目されます。
本来は、謝罪すれば相手も少し落ち着きそうな気もしますが、なかには謝罪が下手な人もいて、こういう人は残念ながら謝罪しているのに相手を余計ムカつかせてしまいます。今回は相手をムカつかせる謝罪・矛を収めたくなる謝罪について解説します。

自分を守ろうとしてはいけない

まずは、「これを謝罪でやったらいけない!」という悪い見本から。
どうにかして逃げ道を探ろう、釈明しようというのが人間の性ですが、謝罪に限っては言い訳をしてはいけません。なぜなら、謝罪会見などに集まっている人はその人の言い訳なんてこれっぽっちも聞きたくないからです。例えそれが本当だとしても、この場で自分を守るような言葉は慎んだ方が無難です。

一番記憶に新しいのは、都議会での「早く結婚しろ」というヤジを釈明した鈴木議員。今回の場合、最初は発言を否定していたかと思えば「早く結婚してほしいという意味だった」と聞いた人全員が首をかしげるような言い訳をしていました。
また、長崎の原爆資料館で、語り部の70代の男性に「死に損ないのくそじじい!」と中学生が暴言を吐いた件で、この生徒が通う校長は謝罪した折「暴言の前に、態度が悪い生徒1人に出て行け!と(語り部の人に)言われた」と余計な一言を付け加えてしまいました。

いずれも自分の正当性を少しでも主張したいとの思いから、このような事を言っているのかと思いますが、このような一言を付け加えると同情が集まるどころか相手の神経を逆撫でします。

価値を上げる謝罪とは?

ではどうすれば相手が矛を納めてくれやすくなるか、というと、「すべて私の責任です。申し訳ありませんでした」と、一切言い訳をせずに謝罪する事です(もちろん、やってないのに謝る必要はありません。今回はあくまで何かやって引責する場合の話です)。

良い見本は、Wカップで予選敗退してしまった日本を率いたザッケローニ監督。試合の翌26日の会見では、「今回のメンバーは私が選び、戦術も私が決めた。責任はすべて私にある」と辞任の意思を表明しました。するとコメント欄には、Wカップ中は監督の采配に文句を言う人ばかりだったのですが、「ザックありがとう!」「淋しいな」というコメントが多数寄せられました。

もっと時代を遡ってアメリカ南北戦争。南軍の伝説の総司令官リー将軍の話をしましょう。激戦のゲティスバーグの戦いで、彼の部下であるピケット将軍が突撃作戦を失敗し、これが実質南軍敗走のきっかけとなりました。リー将軍はピケット将軍の失敗を他に転嫁しようと思えば、いくらでも言い逃れができましたが、南部連盟の大統領ジェファーソンにこう言って辞表を出したそうです。「これは全て私が悪かったからだ。責任は私一人にある」

過ちの言い逃れをする事は誰にでもできます。でも、自分の過失を潔く認め、言い訳を一切せずに謝罪する人を見ると、むしろその人の価値が上がるように感じませんか?

ついつい言い訳をしたくなるものですが、相手は言い訳なんて聞きたくない、という事を、言葉を選ぶ時の参考にして下さいね。

 

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